QFDの作成手順 後半 QFD(品質機能展開)の勘どころ (その3)

 今回は前回のQFD(品質機能展開)の勘どころ (その2 QFDの作成手順 前半)に引き続き、QFD作成手順の後半を説明します。

 

【ステップ4】 要求品質展開表の作成

 要求品質を上位の項目から展開していく方法と、下位の項目を抽出して目的展開していく方法とがあります。実務では、多くの場合下位の項目を抽出してそこから目的展開やKJ法でグルーピング化していく方法がとられます。なお、「目的展開法」については、仕事を行う上で非常に重要な考え方です。図1に、ロボットをテーマとした場合のKJ法と目的展開から作成した要求品質展開表の一部を例示しました。

  

図1 要求品質展開表の作成例

  ここで、KJ法によるグルーピング化について要点のみを説明しておきます。抽出した要求品質の中で、まず重複しているものは外し、似ているものどうしのグループで括ります。次に、集まった小グループの要求品質群に表札(見出し)を付け、要求品質群がいわんとすることを具体的に表現していきます。これを三次レベルぐらいまで繰り返します。

 

【ステップ5】 品質要素展開表の作成

 ここでは、【ステップ3】で得られた要求品質項目それぞれを、技術の世界の言葉に表現し直す作業を行います。お客様の要求を的確に表現できる「品質を評価する尺度となりうる要素」を品質要素として用います。要求品質(お客様の言葉)から変換して品質要素(技術の言葉)を抽出し、一次、二次、三次ぐらいまでをKJ法的にグルーピング化して、表1のような品質要素展開表を作ります。これを見て気づくように、実務上は製品などの仕様書とほぼ同様と考えればよいでしょう。

 品質要素を具体的に示したものが、QFDハンドブックに例示されております。それを参考に表2によく使われる品質特性を抜粋しました。その他、企業の技術プロセスや製品仕様書などから抽出してみましょう。

 表1 品質要素展開表(ロボットの例)

 

表2 典型的な品質要素(QFDハンドブック:日本規格協会)

 

 【ステップ6】 品質表の作成

 品質表は、マトリクスの各マスの中に要求品質と品質要素の対応の強さを◎、○、△の記号を用いて表現します。なお、◎は強い対応がある、○は対応がある、△は対応が予想されることを示しています。

 

【ステップ7】 要求品質の重要度と企画品質の設定

 品質表ができたら、要求品質に対する市場の要求の強さを、重要度として調査します。それぞれの「要求品質」がどれくらいの重要度なのかを◎、○、△または5段階評価で算出します。また、競合他社の要求品質に対する充足度も確認し企画品質を5段階評価で設定します。 

[注] 企画品質とは、自社製品の評価レベルをどのくらいにするかを5段階評価で設定したものです。

 

【ステップ8】...

品質要素の重要度と設計品質の設定

 次に、各要求品質に対する重要度から品質要素の重要度にウェイトを変換して、重要品質要素を選定します。その品質要素をどれくらいにすれば要求が満足できるかを考え、その値を決定します。つまり、対象製品の品質目標となる目標規格値などが設計品質になります。

 

参考文献

[1] 大藤正/小野道照/永井一志: QFDガイドブック、日本規格協会

[2] 粕谷茂:SEのスピード発想術、技術評論社

 

【関連解説:商品企画七つ道具】

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