現場診断・指導について(その6) クリーン化について(その66)

 

現場診断・指導で企業を訪問すると、経営者や担当の方が現場に連れて行ってくれて、クリーンルームの中に入って「さあどうぞ」という場合があります。現場を見られるのだからと、大体の場合はクリーンルーム内は奇麗になっています。でも、そのクリーンルームを取り巻く環境はどうでしょうか。

 

例えば、クリーンルームと廊下の間にある壁には、ダンパー(換気扇のような感じです)が付いています。あるいは二次更衣室にもあるでしょう。

 

この目的は

  1. クリーンルームを陽圧にし、その余剰空気を室外に排出すること。
  2. 停電などで空調が止まると室圧が下がる。その時ある圧力まで下がると、ダンパーについている錘によってダンパーが閉じ、外部からの汚れた空気の入り込みを防ぐこと。

 

このダンパーに大量に埃の塊のようなものが付着しているものがあります。これはクリーンルーム内の空気が排出される時に、一緒に排出された汚れが付着するのです。つまり、クリーンルームと言えども奇麗ではないということも知っておきたいです。

 

さらにダンパーが室圧変動で激しく閉じるような場合、金属同士の接触による金属粉などが発生、飛散します。それを防止するためにパッキンが取り付けられています。このパッキンが外れている場合もあります。これではダンパーが閉じる時、パッキンが間に挟まってしまい、その隙間から汚れた空気が入ってしまいます。

 

きちんと閉じた場合は、通電までが短時間であればクリーンルーム内の清浄度をある程度良い状態で保持されるので、作業開始までの時間が短時間で済みます。しかし汚れた空気が入り込んでしまうと、通電後清浄度が作業開始レベルに到達するまでに相当な時間がかかります。

 

ダンパーもクリーンルームが正常かのチェックポイントです。チェックする労力が短時間で済むのに対し、クリーンルームが汚れてしまって清浄度が回復するまでの労力(清掃など)、作業開始までの損失時間は非常に大きなロスです。

 

中小企業ではクリーンルームを新規に作る場合、大きな費用負担になります。

 

そこで、他社で不要になったクリーンルーム(主にはパーテーションなど)を譲り受けている例もあります。それを工事する業者で、クリーンルームの知識がない場合は、様々なチェックが抜け落ちている場合があります。

 

事例を紹介すると、パーテーションの繋ぎ目などに隙間があったり、穴が開いている場合がありました。こうなると、クリーンルーム内は陽圧であっても、その部分から空気が漏れてしまいます。空気が漏れる場合、ゴミは入ってきませんが、虫が入ることがあります。

 

多くの虫は紫外線へ向かう性質があるので、室内の蛍光灯の光に向かうこと、またわずかな気流の吹き出しも虫にとっては大きな情報です。虫がクリーンルームに入っても餌がないので死んでしまいます。その死骸が小さなゴミとなって飛散します。

 

空気が外に吹き出しても、どこか別のところから入り込んでいる場合もあります。これらは汚れた空気なので、清浄度が低下します。また、停電などの場合は、クリーンルーム内の圧力が外と同じになるので、汚れた空気が入り込みます。空気が漏れる場合は、エネルギーの損失にもなるので、室圧を確保するための費用が嵩みます。

 

クリーンルームを守るには、その直前で入り口にクリーンマットを設置するなど、いわゆる水際作戦ではどうしても持ち込まれます。あるいは気が付かないところから汚れた空気やゴミ、異物、昆虫の入り込みがあります。クリーンルームを取り巻く環境も改めて見直してみましょう。良く見るとチェックポイントが明確になるでしょう。

 

3~4年ほど前に、新潟県の企業からの要請で2回講演に行きました。

 

小海線というローカル線で佐久平、そこか...

ら北陸新幹線に乗り換えました。この小海線の沿線にある精密関係の会社がありました。会社の建物の中から防塵衣を着用した人が数人出て来て、構内の路上で話をしているのです。

 

小海線で移動する機会が何回かあったので、いつも同じ窓側に座って観察していました。毎回ではないですが複数回確認しました。恐らく日常的でしょう。何か事情があるのかも知れませんが、いまだに建物の中はどうなっているのか、何を作っているのか気になっています。

 

ゴミ捨てくらいは防塵衣を着用したままでも良いだろうというところもあります。何のために防塵衣を着用するのか見直してみませんか。

 

次回に続きます。

 

◆関連解説『環境マネジメント』

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