設備投資に活用したい事業再構築補助金 (その1)

 

1. 事業再構築補助金とは

 今年度から実施されている事業再構築補助金の実施予算は1兆円超で、これまでの経済産業省の補助金の中でも、補助金額の最高額が1億円と大型の補助金です。2021年9月21日に3次募集が終了し、この後、4次募集、5次募集、更に、来年度も実施の可能性があります。

 この補助金の趣旨は、新型コロナの影響が長期化する中、経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編など、思い切った事業再構築に意欲を持つ中小・中堅企業の挑戦を支援するものです。(図1:補助金活用イメージ 参照)

 補助対象経費は、建物費、機械装置・システム構築費に加え、外注費、広告宣伝・販売促進費、技術導入費などです。設備投資系の補助金と言えば、ものづくり補助金がすっかり定着しました。ものづくり補助金は基本的に機械装置・システム構築費が対象ですが、事業再構築補助金は工場の改修など、建物費も対象となります。

 

図1.事業再構築補助金の活用イメージ(出典:経済産業省「事業再構築補助金の概要」)

 

2. 事業再構築補助金の申請枠について

 3次募集の時点で、「通常枠」「卒業枠」「グローバルV字回復枠」「緊急事態宣言特別枠」の4つの申請枠があります。最も応募者が多い「通常枠」の申請要件は以下の4点です。

事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること。

2020 年 4 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年または 2020 年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少しており、2020 年 10 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年または 2020 年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して 5%以上減少していること。(※)売上高に代えて付加価値額を用いることも可能。

事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。補助金額が 3,000 万円 を超える案件は認定経営革新等支援機関及び金融機関と策定していること。

補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価 値額の年率平均 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること。

なお、3次募集まで終わりましたが、募集時期の違いによって申請枠や要件の多少の変更がありますので、応募する際は、必ず最新の公募要領を確認して下さい。

 

3. 事業再構築指針の類型について

 事業再構築補助金では、事業再構築の内容について、以下の5つの類型を定めています。

① 新分野展開
 中小企業等が主たる業種や事業(売上高構成比率の最も高い事業が属する日本標準産業分類に基づく大分類の産業)を変更することなく、新たな製品を製造、または新たな商品やサービスを提供することにより、新たな市場に進出すること。

② 事業転換
 中小企業等が新たな製品を製造、または新たな商品やサービスを提供することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することをいう。

③ 業種転換
 中小企業等が新たな製品を製造、...

または新たな商品やサービスを提供す ることにより、主たる業種を変更すること。

④ 業態転換
 製品または商品やサービスの製造方法、または提供方法を相当程度変更すること。

⑤ 事業再編
 会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を行い、新たな事業形態のもと、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換のいずれかを行うこと。

 各類型と要件の関係については図2をご確認ください。詳細は、経済産業省「事業再構築指針の手引き」に記載されています。

 

図2.事業再構築の類型と要件(出典:経済産業省「事業再構築指針の手引き」)

 

 次回に続きます。

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