単結晶とは?単結晶と多結晶の違いやソーラーパネルにおける特徴・発電効率を解説

 

医薬品をはじめとして、新規な有機化合物の研究開発を進める際には、結晶多形現象に遭遇することが多いようです。また、物性改善のために塩、共結晶のスクリーニングを進める場合や、晶析プロセスをスケールアップ際にも、結晶多形に関する基礎知識は不可欠です。しかし、結晶については多くの研究分野との学際領域でもあるので体系立てて学習するための機会は多くはないのではないでしょうか。

今回は、単結晶とは?単結晶と多結晶の違いやソーラーパネルにおける特徴・発電効率を解説します。

【目次】

    1.「単結晶」とは

    単結晶とは、1個の結晶内のどの部分を覗いても、原子配列の向きが全て同一であるものをいいます。単結晶内の一定方向では、原子は必ず等間隔に並んでいき、同じ方向の断面では、すべてに同じ原子の配列模様が現れる特徴があります。単結晶の集合体が、多結晶と呼ばれています。

     

    2.「単結晶」と多結晶の違いとは 

    ソーラーパネルには、太陽光のエネルギーを電気のエネルギーに変換するために、半導体の役目を担う「太陽電池」が使用されています。

     

    今、最も注目される太陽電池は、ペロブスカイト太陽電池で、フレキシブル・軽量基板にも印刷法で作製できます。特に、フレキシブル軽量太陽電池として注目されるペロブスカイト太陽電池は、透明導電性基板です。

     

    太陽電池を構成する最小単位をセルといいますが、このセルがいくつも組み合わさっていくことで、発電を行うことが可能になります。太陽電池の主な原材料は3つあり、シリコン系、化合物系、有機系があります。そして、最も一般的に多く利用されているのが、シリコン系であり、シリコンは「ケイ素」と呼ばれる物質のことをいいます。ケイ酸質の鉱物や岩石をさまざまな方法で加工を行い、製造されたものが、単結晶シリコンと多結晶シリコンになります。

     

    単結晶は、ケイ石を加工して純度を高めた地金を指します。一方の多結晶は、単結晶の製造過程で出来たシリコン粒などの不良品・端材を再利用して出来たポリシリコンのことです。簡単に表現すると、単結晶は一枚板で、多結晶は合板という違いがあります。

     

    (1)シリコン、シリコーン、炭化ケイ素について 

    まず、シリコンですが、シリコンは「ケイ素」と呼ばれる物質のことをいいます。シリコンという言葉とシリコーンという言葉が混同して使われています。シリコン(Silicon)はケイ素原子や金属ケイ素などのことを指しますが、シリコーン(Silicone)は、-Si-O-結合に有機基が付いた高分子化合物のことを指します。また、広義には、有機ケイ素化合物全般をシリコーンと言う場合もあります。

     

    そして、炭化ケイ素ですが、セラミックス基繊維強化複合材料は、セラミックス単体の脆さを大幅に改善し、大きな破壊抵抗を示すことから、金属材料に代わる高信頼性耐熱材料として注目されています。なかでも、炭化ケイ素(SiC)基繊維強化複合材料は航空宇宙産業、原子力・核融合分野、高温ガスタービン等のキーマテリアルとして研究開発が国内外で進められています。セラミックス基繊維強化複合材料において繊維/マトリックス界面は優れた機械的特性を発現させるために極めて重要な役割を担っており、繊維表面に最適な界面層を形成し、最適な界面制御することが高性能セラミックス基繊維強化複合材料の実現において重要です。

     

    (2)多結晶シリコンの特徴 

    多結晶とは、微小単結晶から構成された結晶体で、各々の単結晶は様々な結晶軸の方向を持ちます。セラミック・金属は多結晶体です。太陽電池等は、多結晶シリコンを使用しています。発電効率が2~3%減少する特性があり、再利用、製造コストの軽減を目的としているため、コストの削減が期待できます。

     

    (3)単結晶シリコンの特徴

    日本において、最も流通して普及している太陽電池の原料です。単一のシリコンの塊を材料として作製され、純度が高いのですが、製造工程が複雑になります。多結晶シリコンよりも高価な値段になり、ソーラーパネルに使用する際に、見た目にムラが無く、高品質で美しい見た目に仕上がります。

     

    ◆ 東北大学で開発された「単結晶」熱電変換材料とは

    2020年、東北大学大学院工学研究科、応用物理学専攻の斎藤氏、林准教授、宮崎教授、清華大学共同研究ファンド(東北大学)の支援、清華大学の李敬锋教授の研究グループなどにより、高い熱電変換効率を持つ単結晶の熱電変換材料の開発をする手法を発見しました。

     

    単結晶に点欠陥を導入していくことを定義して、その基盤の技術を確立しました。熱電変換材料は、熱エネルギーから発電できる材料のことをいいます。温度差をつけた際の起電力と電気伝導率が高くなり、熱伝導率が低くなるほど、熱電変換効率が高くなる特性があります。この実験の成果により、熱エネルギーを電力に変換するエネルギーハーべスティングの実現が期待されることとなりました。

     

    3. 単結晶・多結晶のソーラーパネルの比較 

    製造工程、発電効率、コストなどがソーラーパネルの素材によって異なります。また、単結晶と多結晶でも、外観に差が出ます。

     

    (1)製造工程

    ソーラーパネルは、シリコンが含まれたケイ石を溶解してインゴットを製造します。これが、パネルの最小単位「セル」です。これを接合することでソーラーパネルが完成します。単結晶は、ケイ石を加工、純度を高めたものを指します。多結晶は、単結晶の製造で出来たシリコン粒を利用して出来たポリシリコンです。

     

    (2)外観

    多結晶は、若干まだら模様になっていますが、結晶が規則正しく並んだ単結晶は、表面にツヤがあります。

     

    (3)発電効率

    単結晶が発電効率に優れています。パネルは、素材によって太陽光を電気エネルギーに変換する発電効率が異なりますので、発電効率は重要な要素です。発電効率=変換効率で表され、変換効率が20%以上あるソーラーパネルが高性能でます。単結晶の変換効率は最大20%程度です。多結晶は、単結晶と比べると発電のロスが多く、変換効率は最大15%程度です。

     

    (4)コスト

    単結晶は、製造コストが高く、価格も比較的高額です。多結晶は製造コストが低くく、安価で販売されています。同出力の折り...

    たたみ式ソーラーパネルで、単結晶と多結晶では、1万円以上の価格差が生まれます。

     

    4. まとめ 

    多結晶は微小な単一結晶から成る結晶体で、それぞれの結晶はさまざまな結晶軸の向きを持っています。セラミックや金属は多結晶体です。太陽電池などでは、多結晶シリコンが利用されています。この種のシリコンは、発電効率が2〜3%低下する特性がありますが、再利用や製造コストの削減を目指しており、コスト削減が期待できます。

     

    一方、単結晶シリコンは日本で最も一般的に流通し普及している太陽電池の原料です。単一のシリコンの塊から作られ、高い純度を誇りますが、製造工程が複雑です。そのため、多結晶シリコンよりも高価になりますが、ソーラーパネルに使用する際には、外観にムラがなく、高品質で美しい仕上がりになります。

     

    単結晶と多結晶のソーラーパネルを比較すると、製造工程や発電効率、コストなどが異なります。また、外観も単結晶と多結晶では異なります。

     

    ◆  関連解説記事『金属材料基礎講座(その14) 結晶粒微細化』

     

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