クリーン化4原則-6 クリーン化について(その31)

 

 連載その16で『クリーン化4原則+監視の重要性』について述べました。ここでは、下図のクリーン化4原則について個別に解説しておりますが今回は前回に続き、クリーン化4原則-6 「発生させない」についてお話します。

図1. クリーン化4原則 

 

1. 段ボール、ボール紙について

 クリーンルームではない作業エリアでは、段ボールなど発塵(はつじん)しやすいものを持ち込み、開梱しているところを見掛けます。これは段ボールの屑(くず)が沢山(たくさん)発生し、清掃するのも大変です。わざわざゴミを発生させてから清掃することになり、清掃しても確実な除去はできません。

 この場合は一度室外で開梱し、他の容器などへ入れ替えて持ち込むようにしたいものです。クリーンルーム以外でも、このようにクリーン化4原則の“持ち込まない、発生させない”の考え方は共通です。

 同じような事例ですが梱包、出荷エリアで、屋外のターミナルに届いた段ボールの束をそのまま室内に持ち込み、そこで梱包を解き、段ボール箱を組み立てているところがありました。沢山の段ボール屑(くず)を持ち込み、また発生させてしまうため掃除も大変です。製品はビニール梱包して段ボールに入れていました。そのビニールには静電気でゴミが付着しこれも除去が大変です。

 その職場の責任者が、段ボール会社に出向き、事情を説明しゴミが出ない方法はないか、双方で検討したそうです。その結果、段ボールを切断する刃の形状を変更することで、ゴミの発生を少なく抑えることができたそうです。切断する刃の形状変更に費用がかかりましたが、ゴミの発生を少なく抑える刃をPRすることで、取引先を増やすことが見込めるため、協力的だったとのことです。提案型の商売です。

 発生してしまったものをどうするか…。この事例は大勢で清掃しても綺麗(きれい)に除去できないことを、自分たちだけで困っているのではなく、上流であるメーカーにも一緒に考えてもらった結果生まれた効果です。発生源である上流から抑えるのは、問題が小さいうちに抑えることです。もちろん全くゴミが出ないわけではないですが、極端に発生量を抑えることができた例です。

 【テープ類の芯に使われているボール紙】

 クリーンルーム内であっても、安全通路(労働安全衛生規則で80㎝以上確保)の表示をする場合、白色の幅広テープを使うことが多いと思います。白色ではなく、薄黄色の蛍光テープを使う場合もあります。理由は、停電などで天井の照明が消えた際、床のテープが光ることで、それを伝い避難ができること以外に、火災発生時に、天井から降りてくる煙と床の隙間を這(は)いながら逃げることができます。テープはこのように使う場合もありますが、いずれも芯(しん)はボール紙のものが多く、使っている間に、ごみが発生し、飛散します。

 最近ではプラスチック製の芯も多くなってきています。それに伴い、使用後のプラスチック芯はメーカーで回収しているところもあります。

 同じような幅広のテープで、黄色と白のテープ(通称トラテープ)があります。安全確保が必要な場所、危険を周知する場所には多く見られますが、ボール紙の芯であれば、同じように注意しましょう。

 このほかセロテープも芯がボール紙...

です。代用品としてスコッチテープ(芯がプラスチック製)を使う場合もありますが、テープ自体がちぎれやすいので、あまりお勧めはできません。電気関係の修理などに使う絶縁テープも同じですから、よく観察しましょう。

 これらのテープは、使うときに静電気が発生(剥離〔はくり〕帯電)するため、使用場所や使い方も注意しましょう。プリンターのインク箱などもボール紙のため、どのように持ち込むか、ルールに含めておきたいものです。このようにクリーン化4原則の“持ち込まない、発生させない”の考え方で周囲をよく見回すと、もっと色々なものに気が付くかもしれません。 

 

 次回に続きます。

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