防食の分類とは:金属材料基礎講座(その75)

 

◆ 防食の分類と防食技術

 金属の腐食はイオンとして溶出したり、さびなどの腐食生成物を形成することです。金属の状態よりも、イオンや酸化物の方が化学的に安定するため、腐食反応は自然現象といえます。それに逆らって、金属を腐食から防ぐことを防食といいます。その分類例を図1に示します。大きく分類すると皮膜防食、電気防食、耐食材料、環境制御の4種類になります。

図1.防食の分類例

 

 皮膜防食とは金属表面に膜を形成して、水や酸素などの腐食環境を遮断して腐食を防止する方法です。例えば、めっきには亜鉛など他の金属を皮膜することです。塗装は樹脂のような非金属の皮膜をすることです。他にも溶射や陽極酸化処理などがあります。

 電気防食とは、腐食電流の反対の防食電流を発生させることで腐食を防止する方法です。主に犠牲陽極法と外部電源法があります。犠牲陽極法は電位の異なる材料を接触させて、犠牲陽極から元となる材料に防食電流を発生させます。外部電源法では直接材料に防食電流を流します。

 耐食材料とは、炭素鋼よりも耐食性のよいステンレス鋼などを使用することです。耐食性の高い材料は他にもチタン合金や耐食合金...

などがあります。

 環境制御とは腐食性物質の抑制や除去を行うことで、腐食を抑制することです。腐食抑制物質は防錆(ぼうせい)剤やインヒビター(阻害物質)と呼ばれます。

 

 次回に続きます。

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

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