アノードとカソード 金属材料基礎講座(その53)

 

◆ 電気分解 ~ アノードとカソード

 自由電子は導線など金属の中を動くことができますが、水溶液などの電解質中を動くことはできません。反対にイオンは電解質中を動くことができますが、導線の中を動くことはできません。電解質には金属イオンなどの陽イオンと塩素イオンなどの陰イオンが存在しています。ここで金属と電解質を接触させると、金属中は電子が動き、電解質中をイオンが動くため、全体として電気の流れ(電流)が発生します。

図1.電子とイオンの動き

 

 図1のように2枚の電極を導線でつなぎ、電解質に浸して電圧をかけると電流が発生します。電解質では陰イオンがアノードに引き寄せられ、陽イオンはカソードに引き寄せられます。そしてアノードでは陰イオンから電子が電極側に移動します。この電子が導線を通って、カソードに到達します。カソードでは電子を陽イオンに渡します。電極反応として電流が流れ込む反応(電子を放出する)をアノード、電流を放出する反応(電子を受け取る)をカソードと呼びます。アノードは酸化反応、カソードは還元反応になります。

 一方、アノード、カソードを混乱させる理由として和訳すると正極、負極または陽極、...

陰極という名称があります。電池反応においては電位の高い方を正極、低い方を負極と呼びます。これはアノード、カソード定義と異なるので混乱や誤訳が生じています。

 

 次回に続きます。

 

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

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