リーン製品開発の全体像 – 統合プロダクトチーム

 

 前回の「リーン製品開発の全体像 – イベント駆動型のプロセス」に続けて解説します。

 

◆ 統合プロダクトチーム IPT(Integrated Product Team)

 どんなプロジェクトでも、スコープ(システムやプロジェクトの範囲)を定義し、それを達成できるチームメンバーを選び、役割と責任を明確にしてからスタートすることが大切です。

 あくまでも「人」が、新製品開発の中心です。プロセスやツールは「人」の活動を支えるためのものです。

 リーン製品開発では、クロスファンクション(部門横断型)チームが、コラボレーションを通して、下図のように利益を生み出す製品を創造していきます。そのチームを統合プロダクトチーム (IPT: Integrated Product Team)と呼びます。

 

 

 

 プロジェクトリーダーが中心となって、コアIPTを形成します。

 単にコアチームと呼ぶ場合もあります。コアIPTは例えば、デザインエンジニアやソフトウェアエンジニア、マーケティング、テクニシャン、製造エンジニアなどで構成されることでしょう。付加価値を生み出す中心となるのがコアIPTです。新製品開発では、このコアIPTが中心となって成果物を生み出していきますので、チームはそのための専門知識を有していなくてはなりません。

 コアIPTを補完するのが拡張IPTです。新製品を開発する上で、コアIPTのコンピテンシーにないものを、拡張IPTから提供してもらいます。

 拡張IPTは例えば、コンサルタントや営業、品質保証、購買、サプライヤーなどで構成されます。また、要件を明確にするため、顧客がプロジェクトに直接関与し、拡張IPTのメンバーとなる場合もあります。

 コアIPTと拡張IPTを支えるのが、IPTインフラです。

 例えばシニアマネジメント、人事、施設、財務、IT、総務などで構成されます。私のお勧めは、直接プロジェクトのスポンサーになってもらうシニアマネジメントを一人任命してもらうことです。

 クロスファンクションで活動するコアIPTが、乗り越えられない障害が発生した場合、エスカレーション先が不明確ですと右往左往することになります。事前にエスカレーションする先が明確になっていると「困ったら、あの人に頼めばいいから安心」と、プロジェクトリーダーの精神的な負担も和らぐでしょう。普段からスポンサーとコミュニケーションをとり、進...

捗状況や障害となる可能性を伝え、いざとなったら助けを乞(こ)うようにしましょう。そして、プロジェクトを成功に導くのです。

 次回に続きます。

 【出典】ピディアック株式会社 HPより、筆者のご承諾により編集して掲載
 【用語解説】リーン開発:製造業を中心に行われているリーン生産方式の考え方(リーン思考)を、ソフトウェア開発に応用した手法。
       コンピテンシー:高業績者の行動特性。
       エスカレーション:段階的な上位(上司など)への相談や対応要請すること。

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