~第2ステージ:コスト、生産性因子選択 実験計画法実施マニュアル(その6)

 

 今回は第2ステージのステップ5「コスト、生産性因子選択」についてお話いたします。

 現行の研究方法は出力を製品目標に一致させることを最優先するため、出力を目標に一致させた後、原価低減・生産性向上・信頼性向上・ばらつき削減などを後(あと)改善活動として実施します。開始すると出力は上下しながら目標から離れていくため、技術者は条件変更範囲を狭く制限します。ところが、このような制限下では前述の原価低減などの後活動はほぼ不可能となります。結果、ばらつき問題を積み残した状態で製品化され、下流側で問題を発生させることになります。

 タグチメソッドでは、第1段階でばらつき削減を優先して取り上げます。この時点では、ばらつきの十分な減少を優先している段階のため、出力値は不問とします。第2段階は、ばらつきを小さく保持した状態で出力を目標に調整します。この時前者はSN比(db)、後者を感度(db)で実施します。

 設計者に規格内という出来上がり目標を与えることは正しいことですが、制御因子のふり幅に出力を規格内という制限を与えることは、技術者の設計自由度に制限を与えてしまうため誤った考え方です。

 ローコスト、高生産性を実現する水準の選択について、以下にチェックリストを用意しましたので、ご参考にしてください。

チェックリスト

  1. 低コスト、低原価とするためコストを下げる水準、例えば低コスト部品、低エネルギー処理、低価格薬品、小型部品が採用されているか
  2. 高生産性を期待できる水準、例えば短時間処理、均一性向上、小型化、軽量化につながる水準があるか
  3. 重厚長大よりは軽薄短小に相当する水準が存在しているか
  4. 実験設備からの水準制限と技術者が採用したい水準幅を比較し、適切な水準を決定せよ
  5. 目標コストを実現する多数の要因が存在しているか

 開発研究...

はコスト(製品原価+金利他)を目標内とした後、品質目標に達するように改善を進めた方が良いと思います。通常は品質優先となるため、コストが成り行きで決まってしまい、競争力のない商品になっています。研究すればするほど部品の高級化が進み、高原価製品になってしまうという現象も考えものです。

 次回は「第3ステージ:わりつけ『内側直交表へのわりつけ』」について解説します。

◆関連解説『SQCとは』

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