新規開拓のどこを見ればよいか 中国工場の品質改善(その72)

 前回のその71に続いて解説します。

【第4章】中国新規取引先選定のポイント

◆ 初回生産への立ち合いと量産後の不良率を確認

 量産立ち上げ時は、いろいろ問題が起きますので必ず立ち会ってください。想定外の問題など生産委託先では対処できず、設計側でないと判断できないこともあります。生産上の問題に加え、検査がきちんとできているか、基準はこちらが要求した通りになっているかなど流出防止が機能していることも確認します。

 諸々確認をして仕様書を取り交わしたとしても実際にすべてが問題なく生産できるとは限りませんので、量産開始後に先方の生産状況を確認しましょう。不良率が高い場合は、何らかの手を打たないと問題が起きる可能性が高いといえます。

 中国で起きる問題としては、作り易い部品や材料に勝手に変更してしまうことです。ですからそのような場合は、こちらからフォローをしてあげることが必要です。例えば、品質改善支援をして不良率を下げるようにすることや、許容できるところはしてあげることなどです。

 ただし、無制限に許容するということではありません。あくまでも可能な部分についてということです。

 取引先が出来ると言ったのだから、不良率が高かろうとこっちには関係ないという考え方ですと、長い目で見たときに良い関係は築けません。やはり取引先にも適切な利益を取らせないと商売は長く続きません。

【中国異文化コミュニケーション】

◆ 中国人と信頼関係を築くコミュニケーションの取り方

(1)日本式はほどほどに

 中国人と日本人は外見的には近いものがありますが、気質や考え方、習慣、常識、価値観など中身においては、多くの面で異なっています。日本で上手くいったからといって日本式のやリ方をそのまま持ち込んでも、上手くいかないケースが多々あります。日本式のやリ方を押し付けず、その良い点を活かしつつ中国流にアレンジすることも必要です。

(2)中国人との接し方

 前述したように、中国工場の日本人は常に見られていると考えてください。中国工場に駐在した経験のある人は実感しているのではないでしょうか。それほど中国人は、赴任して来た日本人をよく見ています。例えば実力。「今度来た日本人はどのくらいできるやつなのか」と値踏みをしています。さらに「どのような態度で接してくるのか」、給料もいくらなのか知っています。
 中国人とうまくいかなかった失敗パターンの典型的な例を二つ紹介します。

①上から目線で接する

 若い日本人が、知らず知らずの内に中国人を見下している言動や態度がみられます。

②上からの指示・命令には絶対従うと思っている

 上の立場から指示・命令すれば言うことを聞<と思っている人がいます。中国経験の長い年輩の鈴木さ...

ん(仮名)という方がそうでした。鈴木さんは定年後の再就職で、ある中国工場の工場長になりましたが、上手くいかず1年で辞めました。

 中国人とどのような接し方をすれば良いかについてポイントはいろいろあると思いますが、一つ挙げるとすれば「価値観、判断基準」がぶれないことだと思います。問題が起きるたびに判断基準が変わったり、言うことが変わったりするようでは、中国人スタッフに信用されません。

 次回は、(3)中国人に対する指示の出し方から解説を続けます。

 【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行、筆者のご承諾により抜粋を連載 

◆関連解説『品質マネジメントとは』

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