テキストマイニング技術のビジネスへの応用とその効果(その4)

 

 前回のその3に続いて解説します。

5. PDCAサイクルへの適用

 PDCAサイクルは1950年にエドワード・デミングが日本で行ったセミナーでデミングホイールについて説明したものを、日本の経営者が1951年にPDCAとして発表しました[1]

 先ほどのA社の例に戻りますとPlanのフェーズではA社に対しての営業戦略を立てることになります。A社に関する社内外のデータを活用してA社の仕入先、競合会社各社の市場評価、風評情報などから A社の問題点についての仮説を立てます。

  Doのフェーズでは仮説に基づきA社の問題点に対して自社と取引をすることが問題解決になることをアピールします。あるいはA社の本当の問題点が違うところにあればその問題点を把握して仮説が正しかったかどうかをチェックします。

 Actionフェーズでは最初の仮説が誤っていればPlanフェーズに戻りますが、このときにDoフェーズで得た新しい情報を元にさらに社内外のデータを活用して素早くA社の状況を分析することによりPDCAサイクルを迅速に回すことが出来きます。

 これは特に営業戦略だけではなく、すべての知識労働者の業務に当てはまるものです。

6. 本システムの概要

 データ収集システムとしては社内情報を集めてくるドキュメントクローラー、社外情報を集めてくるブログクローラー、サイトクローラーからなります。ここで収集されたデータは日々日本語解析エンジンによってインデックス、関連性が作られ管理されます。実際に検索がおこなわれるとその結果はグラフ構造データベースによって見やすいグラフ・表データとして出力されます。グラフの一例からオリジナルのデータに戻ることも可能です。

 グラフはインタラクティブに簡単な操作でさまざまな見せ方をすることが可能です。

 また他のデータをフィルタリングすることで特定のデータに絞って見ることも出来きます。

7. ビジネスの実績

 ここで説明してきたシステムはInfoSpire(インフォスパイア)というシステム名ですでにPOCを行っており、正式導入が間近にせまっています。また他にも数社から引き合いがあり企業内、およびネット上のデータを関連づけ、一元化して管理する要求の強いことがうかがえます。他にも社内用、社外用のエンジンを使用しての単機能の製品、サービスへの需要もあります。一部はすでに出荷を開始しています。その中のいくつかをここに紹介します。(システム化予定も含みます)

(1) 飲食店向け中傷被害対策アプリ

 飲食店では ネットで悪い評判が立つとそれが顧客の利用減少に直結します。例えば食べログの評価が1になると、ほとんどの飲食店は経営が成り行かなくなるのです。そこでネット上のビッグデータ、CGM を解析してネガティブ風評・炎上などをいち早くキャッチして風評...

被害を防ぐ飲食店向けスマホアプリを提供しています。

(2) コンプライアンス対策システム

 社内の報告は 階層が上がるごとにフィルターがかかり 経営層から現場の問題点が見えません。経営層は現場の隅々まで見渡せないため何も問題がないと思っていても、実際には現場で問題のシグナルが出ている場合があります。そこでコンプライアンスを確立するシステムで社内情報を解析してリスクをアラームで通知します。

 以上で、テキストマイニング技術のビジネスへの応用とその効果の連載を終了します。

文献 [1]hptdtfp ://pkpinc.com/files/NA01MoenNormanFullpaper

↓ 続きを読むには・・・

新規会員登録


この記事の著者