データを活用する領域とは データ分析講座(その115)

◆ドメインは、データサイエンス成功に欠かせない

 データサイエンスに対して、どのような印象があるでしょうか。「データサイエンス」の字面からだと「データ」と「サイエンス」ということで、データを科学しているかのような印象があるのではないでしょうか。大学などのアカデミアの世界では、それで問題ないかもしれません。しかしビジネスの世界ではちょっと異なり、応用の側面が強くなります。応用の側面が強くなったとき、データサイエンス上欠かせないものがあります。それは「ドメイン」です。

 もちろん、ビジネス以外のデータサイエンスでもドメインは非常に重要です。今回は「ドメインはデータサイエンス成功に欠かせない」というお話しをします。

◆関連解説『情報マネジメントとは』

1、ビジネスにおけるデータサイエンス

 そもそもビジネスにおけるデータサイエンスとは何でしょうか。端的に申し上げますと、ビジネスの世界では「データとドメインを結びつける」のがデータサイエンスになります。色々な定義や考え方があるとは思いますが、大きくは異ならないかと思います。ここで「ドメイン」というワードがでてきます。データサイエンスにおける「ドメイン」とはデータを活用する領域のことです。

 例えば営業活動やマーケティング活動、調達管理、在庫管理、生産活動などです。製造業の営業活動とサービス業の営業活動が大きく異なれば、それぞれが別のドメインとなります。

2、紛らわしい「ドメイン」というワード

 ドメインという用語は、データサイエンス以外でも使用されていますが使われる業界や分野が異なれば、その意味も異なります。例えばインターネットの世界では、ネットワークにおいて個々のコンピュータを識別する名称を意味します。生物学の世界では分類の最高位に使われ、数学の世界では関数の定義域をドメインとしています。また経営学の世界では事業領域のことをドメインといいます。このように探せば色々な業界や分野でそれぞれ別の意味として使われていることが分かります。では、データサイエンスのドメインに近いのはどのドメインになるのでしょうか。

3、経営学とデータサイエンスのドメイン

 データサイエンスのドメインは経営学のドメインにやや近い気がします。しかし経営学のドメインでは大雑把な気がしますし、ニュアンスもどこか異なります。以下は経営学のドメイン(事業領域)の例です。

4、経営学のドメインをデータサイエンスのドメインとする不幸

 データサイエンスを始めた企業に多いのが、この事業領域レベルのドメインでデータ分析・活用を考えるケースです。データ分析・活用の対象が広すぎます。広すぎるため何ができそうか、何をすれば良いのかが思い浮かびません。例えば電子部品事業。「電子部品事業でデータサイエンスをしろ」といわれ、何をすれはいいのか思い浮かぶ人はあまり多くないでしょう。思い浮かんでも、人によってバラバラだと思います。

 これ以外にも電子部品を生産するための原材料や部品などの「調達」を思い浮かべる人や電子部品の「歩留まり改善」(良品率の向上)、電子部品の「営業活動」、電子部品の「在庫管理」が頭に浮かぶ方々もいらっしゃると思います。要するに事業領域という意味での「ドメイン」は、データサイエンスのドメインとするには広すぎ、具体性に欠けるのです。このあたりのドメインを混同すると不幸が訪れま...

す。曖昧模糊(あいまいもこ)で誰も動けないからです。

5、データサイエンスのドメイン例

 経営学のドメインの内容をもう少し具体化・詳細化すると、データサイエンスのドメインに近づくでしょう。例えば電子部品事業とするのではなく、もう少し内容を下記のように具体化・詳細化してみます。

  • 電子部品の部品Aの生産工程における良品率向上のための歩留まり改善活動
  • 年間取引金額が大きく、かつ取引年数の長い上客の離脱阻止のためのマーケティング・営業活動
  • 国をまたいだ拠点間の輸送コストの削減のための輸送管理業務
  • 新規顧客獲得の営業活動を効率化するためのマーケティング・営業活動

 このように挙げてみることでかなり具体化されているのではないかと思います。少なくとも誰のどのようなお仕事に対するデータ分析・活用なのかがみえてくるのではないかと思います。

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