ロボット導入に関わる補助金制度・税制の内容とは

 

 今回は、ロボット導入の設備投資の際、補助金を活用するケースを想定し、国・自治体のロボット導入に関わる補助金制度・税制について解説します。

1.ロボット導入実証事業

 ロボット導入実証事業は、日本ロボット工業会が経済産業省から補助金を受け実施しています。この事業の目的は、モノづくり分野やサービス分野におけるロボット活用の支援です。

 (1) ロボット導入実証補助事業

 モノづくり分野やサービス分野でのロボット未活用領域に対するロボット導入実証を行う事業者に当該実証事業に要する費用(ロボットシステムの設備費用、ロボットSIerによるシステムインテグレーション費用など)の一部を補助する。

 (2) ロボット導入FS補助事業

 モノづくり分野やサービス分野におけるロボット未活用領域への当該ロボット導入の実現可能性調査を行うための費用(ロボットSIerによる業務分析、ロボットシステムの検討、費用対効果の算出等のための費用など)の一部を補助する。

 (3) コスト削減に向けたSIプロセス実証事業

 ロボットシステムの構想・設計・導入を担うロボットSIerと密に連携し、ロボット導入コストの削減に向けたシステムインテグレーションなどを実施する事業者(ロボットユーザー)に対し、その実証に要する費用(システムインテグレーション費、機械装置費など)の一部を補助する。

2.ものづくり補助金

 ものづくり補助金とは、新しいモノづくりやサービス開発に挑戦する中小企業と小規模事業者を支援するため、中小企業庁が実施する補助金制度です。年度ごとに新しい「公募要領」が発表され、その内容に則って公募が行われます。

表1.補助金制度

3.中小企業経営強化税制

 「中小企業等経営強化法」の認定計画に基づき、かつ一定の設備投資を行った場合、即時償却、または税額控除の支援を受けることができます。

 中小企業・小規模事業者は経営力向上のための人材育成や財務管理、設備投資などの取組みを申請、認定されることで固定資産税の軽減措置や各種金融支援が受けられます。また、対象設備も従来の「機械及び装置」に「器具及び備品」が追加され、幅広い領域での適用が可能となりました。

4.中小企業投資促進税制

 中小企業における生産性向上を図るため、一定の設備投資を行った場合に、特別償却、または税額控除の支援を受けることができます。

  適用期間:2020年度末まで

5.先端設備導入計画(生産性向上特別措置法)

 中小企業が設備投資を通して労働生産性の向上を図る「先端設備等導入計画」を策定し、市区町村の認定を得ることで各種の支援が受けられます。

 2018年6月6日に「生産性向上特別措置法」が施行されたことで、同法に「先端設備等導入計画」が措置されました。これは中小企業や小規模事業者が、設備投資をに労働生産性の向上を図るための計画です。対象者は地方税法において、固定資産税の特例が受けられます。

6.コネクテッド・インダストリーズ税制(IoT税制)

 一定のサイバーセキュリティ対策が講じられたデータ連携・利活用により、生産性を向上させる取組みについて、それに必要となるシステムやセンサ・ロボットなどの導入を支援する税制措置です。2019年4月から認定を受けた中小企業などは、計画に関する設備投資について日本政策金融公庫から特別利率での貸付を受けられます。認定事業計画(認定革新的データ産業活用計画)に基づいて行う設備投資について、税額控除3%(賃上げを伴う場合は5%)または特別償却30%を措置します。

 一定のサイバーセキュリティ対策が講じられたデータ連携、利活用により生産性を向上させる取組みに関する事業計画を作成し、認定を受けることで税制措置が適用できます。この制度では、生産性を上げるための取組みとして、ロボットの導入も対象となっています。

 この制度は、要件さえ満たせば業種や資本規模による制限はありません。また、セキュリティ対策としてデータの不正アクセス対策やシステムの脆弱性がないことなど、IT専門家やセキュリティ専門家の証明が必要となります。

7. 固定資産税の特例(軽減)措置

 設備導入計画の要件が認められれば導入設備の固定資産税が3年間、軽減されます。2019年3月末に終了する中小企業等経営強化法に代わる支援制度としてスタートした「生産性向上特別措置法」(適...

用期間:2018年6月6日〜2021年3月31日)です。

 認定機関は市区町村で、設備導入の計画書「先端設備等導入計画」を申請し、認定されれば固定資産税が3年間にわたり最大ゼロから1/2に軽減されます(最寄りの市区町村へ確認)。

8. ロボット導入に関わる補助金制度・税制利用の留意点

 ここで紹介した各種制度は、補助金の目的や条件が細かく規定されており、その公募要領に合致しなければ申請が通りません。たとえ同じ名称の補助金であっても、年度によって公募要領が変わることもあります。そのための補助金の申請は、正確な情報収集が非常に重要です。補助金事業を運営している機関のホームページなどで、最新情報を確認することが必要です。しかし、必ずしも自動化にロボットが必要というわけではないのです。ロボットは非常に汎用性が高いのですが、場合によってはオーバースペックになってしまいますので作業内容が、ロボット、専用機、人のいずれが向いているかを、よく検討する必要であります。

表2.優遇税制

 この記事は、『工場管理』2019年12月号に掲載の内容を筆者が改編したものです。

 

◆関連解説『生産マネジメントとは』

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