ジャストイン生産を考える

 
  
 

1. ジャストイン生産が成り立つ条件

 海外ではリーン生産と呼ばれるジャストイン方式ですが、どのような企業でもトヨタと同じように実施出来、効果を得られるのかというと必ずしもそうではありません。実際、TPSのコンサルタントを雇って自社に導入したが思ったほど効果が得られない、現場が混乱し逆効果になったという声もよく聞きます。なぜでしょうか?
 
 これを理解するには自動車はどのような生産特性を持つ商材なのかを知ることが必要です。自動車は他の電気製品例えば白物家電のような需要特性とはいえず、メーカ主導でいつどんな製品をどの位生産し市場に投入するかをある程度コントロール可能であると言えましょう。TPSでは、平準化という言葉が出てきます。これは期間を通じて常に仕事の負荷を一定に維持することより、さまざまなムダを最小化しようとする上でキーになる概念です。
 
 もちろんこれを成立させるためには、大元の需要量を計画し維持できること、よどみなく生産し続けられるよう必要な資材や部品がタイミングよく供給されること、製造工程にムラがなく一定速度で作業が継続すること などの条件が成り立たなくてはなりません。
 
 しかし、ものづくりにおいては需要量を見込む、どの位作ったらいいか計画することは常に悩みのタネであり、サプライヤーへの力関係も一般には売り手圧力は強く、故にトヨタのような企業ではない一般企業ではジャストインに必要な条件が容易に成立しないのです。
 

2. 7つのムダとジャストイン生産

 ジャストイン生産というとトヨタ自動車のTPS(トヨタ生産システム)が有名で、今日では多くの企業でジャストイン生産もしくはジャストイン的な製造 を取り入れています。トヨタ自動車のTPSの目指すところは、極限までムダを取り去ったものづくりであり、7つのムダの撲滅にあります。
 
、持ち替えるなど不必要な動作
  • 不良を作るムダ:不良品を廃棄、手直し、修理するムダ
  •  
     トヨタではこれらのムダを徹底してなくすための取り組みが長年行われ、ジャストイン生産もこの思想から出てきました。 サプライヤからの部品が来ないので、作業者が到着を待って仕事ができない、到着しても集配所まで作業者が部品をとりにゆかないといけないとその時間仕事ができない、 かといって倉庫に大量に山積みしておくと倉庫代がかかるということで必要な時に必要な量だけ持ってきて作るということになったのです。
     

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