実践的マニュアル作り クレーム対応とは(その51)

 
  
 
 前回のその50に続いて、解説します。

【マニュアル作成のヒント】

 
 お客さま相談室が日常業務を行うために、最低限必要なマニュアルは、ずばり次の三冊です。
 
 
 電話応対、クレーム応対、そして心得に関しては、この連載で詳細に説明、紹介している内容であり、極めて専門的なノウハウが求められる部分です。顧客からの電話を受けるときのノウハウ、多様なクレームやコンプレインに対応するときのノウハウ、そしてサービスマインドがつねに求められる相談室業務を行う際の基本的な心構えや心得は、スタッフとして最低限マスターしておかなければならない最重要の業務ノウハウです。
 
 加えて、お客さま相談室では「顧客に対するマナーやルールに関するマニュアル」「丁寧語や敬語の使い方に関するマニュアル」なども実力に応じて必要になります。しかし、こうしたマニュアルを分冊化していくと、前述したような「細分化の不便」が生じる可能性があるので、これらのマニュアルは要点をコンパクトにまとめて、電話応対マニュアルの中に収録すればよいでしょう。
 
 もし、「これからお客さま相談室のマニュアルを作成したい」と考える方がいらっしゃるならば、ぜひこの連載で紹介した業務ノウハウを参考にして、すぐに実践で使えるマニュアルを三冊だけ、準備してみたらいかがでしょうか。
 

【マニュアル作成のヒント】

 
 くどいようですが、マニュアルは日々の仕事の中で使いこなせなければ意味がありません。相談室の書棚に飾っているようでは、何の価値も生まないのです。では、使いやすいマニュアルを作るためには、どうしたらよいのでしょうか。
 
 ポイントは一つです。現場の実態をベースにした内容のマニュアルを作ることです。
 
 ここで、厄介な問題が生じます。お客さま相談室で取り扱う問題は、社内の多様な部門にまたがる性質のものが少なくないのです。商品に関するトラブルといっても、開発、生産、販売、サービスといった具合に、さまざまな段階でトラブルは発生してしまいます。
 
 ゆえに、相談室が他の部門と協調して問題解決を進めていくためにも、「仕事を分担し合う他部門の業務を取り込んだマニュアルを作る」ことが大切になります。仮に、相談室が独断で問題解決のための業務マニュアルを作成しても、相談室のマニュアルどおりに他部門が仕事をしてくれる保証はありません。
 
 「相談室さんではそう言っても、うち(他部門のこと)では、そうした対応はできない」
 
 緊急を要するトラブル解決の現場で、相談室と他部門がいがみ合うようでは、せっかく作成したマニュアルの意味がなくなってしまいます。
 
 したがって、相談室業...
務のマニュアルを作成するときには、関連する可能性のある他部門とのヒアリングを綿密にして、互いが使いやすいマニュアルを作ることが大切になります。相談室で作成したマニュアルは、最終段階で必ず「このほかに修正するところはありませんね」と、関連部門の同意と承認を得ておくことも、忘れてはならないポイントです。
 
 苦労して完成させたマニュアルが、後に問題点を指摘され、役立たないことにならないように、他部門の現場の意見を十分参考にして、問題解決の共同歩調がとれるマニュアルづくりを心掛けて下さい。
 
 次回に続きます。
 
【出典】武田哲男 著 クレーム対応、ここがポイント  ダイヤモンド社発行
            筆者のご承諾により、抜粋を連載

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