不満顧客の存在 クレーム対応とは(その2)

 
  
 

1. 顧客が腹を立てている

 

(2) ジョン・グッドマンの法則

 
 前回のその1に続いて解説します。
 
 不満顧客の存在を少しでもイメージすることができたら、企業が置かれている状況の深刻さが、理解できるでしょう。さらに深刻な問題は、近年とくに、顧客の不満が急増しているという現実です。バブル経済崩壊後、抜本的な経営改革を行わないまま体力を消耗し続けてきた多くの企業は、いまだに「売れない時代に売れる商品」や「飽和市場に訴求できる商品」を見つけだせないでいます。
 
 「とにかく主力商品が売れない」
 「放っておけばすぐに在庫の山になる」
 「ライバル企業が矢継ぎ早に連発する新商品の影響で、販売戦略が構築できない」
 
 販売の第一線は、にっちもさっちも行かない状況に追い込まれています。
 
 「何でもいいから、売れるヒット商品を開発してくれ。目先を変えただけのモノでも何でも構わない。消費者心理は極限まで冷えきっている」
 
 販売現場から本社の開発部隊に向かって、悲鳴のような新商品待望論やヒット商品願望がぶつけられています。あの手この手の販売促進策も底をつき、ライバル企業との値引き合戦が利益をさらに低下させ、販売員の人件費さえ稼ぎ出せないほどの瀬戸際に追い込まれてしまったのです。
 
 人員縮小のリストラは、もうとっくに断行されています。販売現場では、一人二役、三役、四役が当たり前の過重労働が恒常化しています。こうした販売現場の悲鳴を受け止めなければならない商品開発部隊にも、「とにかく利益を稼げる商品を間発しろ!」とトップからの大号令が追いかけてくるのです。
 
 先代、先々代のトップが「開発の失敗を許容するのが我が社の風土」と胸を張っていたのも今は昔です。研究費はもちろん開発期間まで大幅に短縮されながら、「数打ちや当たる式」の乱開発が繰り返されてきました。
 
 その結果、いったい何か起こったのか。
 
 商品の粗製濫造は、顧客からのクレームを一気に大発生させました。生産管理さえ十分に行われない製造現場の実態は、異物混入事件や食中毒など、マスコミで大きく報道される事件を含めて、大量の顧客クレームを引き起こしています。まさしく「貧すれば鈍する」...
のたとえどおり、現在の製造業は生産者としての自覚さえ失いかけているといえるでしょう。
 
 次回に続きます。
 
【出典】武田哲男 著 クレーム対応、ここがポイント ダイヤモンド社発行
            筆者のご承諾により、抜粋を連載 
 

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