クリーン化とは(その2)

 前回のクリーン化にまつわるお話(その1)に続いて、今回は、ノンクリーンルームのクリーン化です。私は、在社中に社内の国内、海外拠点だけではなく、取引のあった沢山の会社を訪問しました。目的は、ゴミによる品質低下、歩留まり低下であり、これらを改善したいとの要請でした。

 ところが行く先々で、その会社のトップ、経営者から「折角来ていただきましたが、クリーン化が専門とのこと。私どものところでは、半導体でやるような高いレベルのクリーン度は必要ありません」と良く言われました。そんな先入観が浸透しているようです。そんな時私は、「わかりました。折角呼ばれてきましたので、現場だけでも見させて下さい」と言って、工場に入れていただいたものです。

 私の現場確認の道具は、懐中電灯と気流確認の糸です。そこに立ち合った経営者や技術、品質部門、管理監督者の皆さんの中には、「現場はこんな見方があるんですね」「お金をかけないで出来ることが沢山ありますね」「毎日見ている私たちの現場がこんなに汚れている、不具合があるとは思いませんでした」と言う感想を持たれる方が非常に多いですね。

 クリーン化に含まれる、あるいは取り巻く技術には、静電気、分析、ケミカル汚染、気流解析、洗浄、材料、環境管理等様々な技術があります。また、クリーン資材の知識、導入判断(品質評価&コスト)も技術に加えて良いでしょう。しかしそれよりも、工場管理の基本の部分の指摘、指導をさせていただく場合や、特にお金を出来るだけかけない改善の指導が多かったものです。私が工場を這いずり回って25年になりますので、そこから得たものを現場指導や教育等に反映させてきました。その中で、事例が多く分かりやすいとか、クリーン化の見方、考え方が変わったという評価も多くいただき、たくさんの方と交流する事ができました。逆にこれらは私の勉強の場でもあり、多くの経験を積むことができました。

 訪問先はスーパークリーンルームもありましたが、組み立て工程、検査工程のような、ラフなクリーンルームも多々ありました。専門的になりますが、クラス1万~クラス10万と言うクリーンルームレベルです。また、クリーンルームの運転にはお金がかかりますが、製品によっては、クリーンルームでなくても、製造可能な場合もあります。これらの現場では、過去の経緯や、取引先からの要求でクリーンルームにしたところもあるでしょうが、思ったように成果が出なかったり、過剰品質と判断してクリーンルームの運転を止めているところも出てきています。いわゆるノンクリーンルームと言う考え方ですね。ただ、クリーン化の知識を持っていて、急所を押さえながらノンクリーンルーム化するところと、単に止めた(タガを外した)と言うところでは、その後の製品品質に差が出て来ます。品質が急に低下し慌てて元に戻したが、前の状態に戻らないと言う場合も多々あります。

 また、取引先の要望でクリーンスーツを着たけれど、それ...

以外の指導は無く、歩留まり、品質は改善しないと言う現場も多く見て来ました。クリーンスーツと言う白い服を着ただけで安心し、やるべきことが出来ていない事例です。この場合、従業員全員の教育、人財育成も重要ですが、それらを実施する知識や組織が無いと言うのが実態のようです。

 この他、クリーンルームではないものづくり現場でも、取り組み方によっては、ラフなクリーンルームに匹敵するクリーン環境が実現できる場合があります。これらの事を踏まえ、ゴミの見方、考え方、品質、安全、効率生産、生産管理、作業ミス、改善、教育・人財育成など多面的、総合的に改善できることが、現場にはたくさん残されているのです。

◆関連解説『環境マネジメント』

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