「業績=顧客の支持率」という実感 CS経営(その14)

前回のその13に続いて解説します。
 

◆本物の顧客満足の話をしよう

4.「不満足度調査」の実力:導入する企業が相次ぐ理由

 あまり耳にしない名称かもしれませんが、実は約30年前に開発した不満足度調査を採用する企業が年々増えています。理由は大きく次の5つに分かれます。
 

(1) 市場規模の縮小

 何回も随所で触れてきたことですが、とくに日本の場合は明らかに市場規模が縮小しています。ですから、顧客との良質で長いご縁の創造を図らなければ企業は成り立たないのが道理で、そのためには顧客の価値観に合致した企業間取引・ユーザー対象・消費者対象に対する日本流おもてなしをはじめ、高付加価値の良質なサービス提供による顧客の満足創造、幸せ感の提供が必須条件になります。
 

(2) 顧客の潜在ニーズを理解する

 一通り持ちたいモノを持ち、体験したいサービスを体験するといった顧客意識の成熟時代においては、顧客が本当に欲している商品、サービス、システム、人材といった要素は具体的に何なのかを知ることはそう簡単ではないのです。そこで役立つのは、顧客の意識下に潜んでいる潜在ニーズを知るために顧客の不満、困っていることを知ることです。それこそがまさに顧客の求めている要素になるからです。
 
 つまり、顧客の買い替え・買い増し商品、リピーター・リピートオーダー商品・サービスといった需要は顕在化して見えますが、現存しない商品・サービス、顧客の心の底に潜んでいる商品・サービスについては、顧客が何を求めているのか顧客に直に聞いても、顧客自身もわからないから答えられないのです。だから潜在意識を知るために導入する企業が多いのです。
 

(3) 顧客の満足を知る。現状把握を行なうだけでは次の一手は見えない

 顧客の満足を知るための調査結果から把握する顧客満足度は、それが非常に高い点数であったとしても、業績が低迷ないしは下降線をたどっていたのでは矛盾そのものです。また現状把握をしただけでは、その度合いがわかったとしても、いずれもすでに知っていることばかりです。これでは、手間も時間も費用ももったいないでしょう。
 
 課題解決を行ない、顧客の潜在ニーズに合致する商品・サービスーシステムを提供することによって業績が向上することが望ましいという理由から導入されているのです。
 
  
 

(4) 改善・改良・革新のため

 事が起こってから手を打つ後追いの穴埋め、修復、補修などの事後対応をいくら行なっても顧客は評価してくれません。そればかりではなく「なんで事が起こる前に手を打たなかったのか」という不満を呼び起こします。改善活動の多くは、このように顧客満足はおろか顧客の不満につながりかねないのです。現在はまあまあ、ないしは少し良い程度のことに注力し、もっと良くする改良は顧客の評価が得られるのです。さらに顧客評価が高いのは革新レベル、すなわち「当社で初めて」「業界初」「世界で初めて」などの活動です。だが、簡単なことではないでしょう。
 

(5) 新商品・新サービス・新システム・新設備・ブランド構築・新人材の創造

 
 それぞれコモディティ化(同類・同質化)しているうえに、経年変化において老朽化していて、疲労が生じている要素はハード・ソフトにかかわらず増えています。この実態を明確に把握し、なお、早急に手を打つために潜在化要素を知る必要があるのです。
 
 私どもでは、約30年にわたり、時代の先取りとして「不満足度調査」を磨き続け、多くの企業から受託し、所期の目的に貢献してきたと自負しています。...
これは決して、宣伝のため、自慢のために記しているのではなく、一社でも多くの企業に「業績=顧客の支持率」という実感を得ていただきたいからです。世界広しといえども私どもにしかできない調査であり、事実、国内企業だけでなく、海外の企業からもお声がけいただいているオーダーメイド方式、カスタマイズの伴った調査です。世の中に一社として同じ企業は存在しませんし、しかも、おのおのの特性が備わっているために、人間ドック方式ではなく、精密検査方式を採用しています。したがって、一度に多くのご要請をいただいても残念ながら限られた件数しかお引き受けできていないのが現状です。 
 
 次回は、5.「不満足度調査」の実力:ロスコストを撃てから解説を続けます。
 
【出典】 武田哲男 著 なぜ、あの企業の「顧客満足」は、すごいのか PHP研究所発行
筆者のご承諾により、抜粋を連載

 

 

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