IPI(Integrated Process Innovation)とは、改善・改革の実践的な方法を知る

 

 「モノづくり革新は“頭と道具の使いよう”」をモットーに活動している鈴木甫です。多くの方々が、どんな道具を使ったら効果的に問題を解決できるのか思案しておられるかと思います。
 
 筆者は、30年にわたる海外と国内での経験から、5S、カイゼン、トヨタ生産方式、TPM、などなどの管理技術(道具)の使い方をニーズに合せて工夫し、効果的に改善・改革を実現させる方法をIPI(アイ・ピー・アイIntegrated Process Innovation)として体系化し、実践して、成果を上げてきました。IPIは、筆者が企業のお手伝いをする時に活用してきましたが、公開はしていませんでした。今回、初めて、その概要をごくごく簡単に解説することに致します。
 
 IPIは、1.実践的なアプローチ、2.実践的な道具、3.インテグレートな活動、の3本の柱で構成されています。
 

1.実践的なアプローチ

 
 改善・改革を進める上で成功のカギをにぎるのは、当該企業のトップ・管理者・スタッフの問題意  識と当事者意識です。ところで、これらはどうしたら得られるでしょうか。それにはまず、社内(工  場内)で“最重要問題(例えばP,Q,C,Dのどれか)”を選ぶことです。次に、その問題に“取り組む職  場”を決めることです。この2つが決まれば、意思疎通も容易になり問題意識と当事者意識が得やす  くなります。後は、精力的に取組んで、目に見える成果を短期間で出すことです。これが実践的アプ
ローチです。
 

2.実践的な道具(Practical Tools)

 
 最重要問題と取り組む職場が決まったら、その問題の解決に適した道具を使って改善・改革に取り組むわけですが、既存の道具(例えばIEとかQCとか5Sとかの管理技術)をそのまま使ってもうまく行かない場合が結構あります。それぞれの道具を正しく理解し、その時々のニーズに合せて効果的なものに再編することが必要で、この再編したものを“実践的な道具”と呼んでいます。
 
 例えばIE(Industrial Engineering)は、かつて日本のものづくりを世界レベルにした立役者の一つで
トヨタ生産方式の基礎になっているものですが、今はその存在すら知らない人が多くなってしまいました。工場でのものづくりは、工程(原料入荷~商品出荷の流れ)と作業(日々の人と機械の動き)から成り立っていて、これを改善するにはIEが必須の道具です。筆者は、IEを工程と作業の改善・改革に焦点をあて、多種少量生産時代のニーズに合せて再編してPractical IEとしています。筆者が対象にしている道具は、ものづくりの基礎である5Sからマーケティングや戦略まで、企業で必要とするものすべてで、これらをPracticalな道具にするためのガイドラインを作っています。また、マーケティング・戦略については新着Q&Aの、コトラーのマーケティング3.0による商品開発戦略に2人目として回答しておりますので参考になるかと思います。
 

3.インテグレートな活動

 
 モノづくり(広くいうとマネジメントとか経営)には原理原則があって、それを効果的に実施するためには、道具(管理技術、マネジメントツール)を、5Sといった基礎的なものから、品質工学といった高度なもの、或...
いは戦略といった広範囲のものまで、目的達成に向けて、インテグレートした形で効果的に活用していく必要があります。そのためには、“ものづくりの原理原則は何か”ということをしっかり認識する必要があり、筆者は、1)流れる生産、2)ベスト・コンディションズ、3)価値ある仕事、4)見える化、5)廻るPDCAの5つを挙げています。5Sも、トヨタ生産方式も、この5つを意識して活用することにより、その企業の現状レベルから世界的レベルまで、着実に成果を積み上げていくことが出来ます。
  
◆関連解説『生産マネジメントとは』

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