新製品垂直立上げ失敗の原因とは

 『垂直立上』とは、新製品の売り上げをその発売と同時に急速に増加させて売り上げの変化が垂直に上昇していくようにマネジメントすることです(パナソニック)。新製品製造のポイントはトラブルなく生産の直立ち上げができるかどうかです。
◆関連解説記事『技術マネジメントとは』
 
 

1. 生産技術の衰退と、中小企業に求められるもの

 
 海外生産があたり前になる中で、生産技術部門の役割がが大きく変わって来ました。組立産業においては、生産技術者と呼ばれる人達が少なくなっています。 生産技術者が活躍する業務は、新製品の立ち上げ、治工具・設備・金型の生産準備、改善活動の推進などですが、コストダウンを進めるうち、部品加工部門ではアウトソーシングが常套手段となって、冶工具、設備、金型の生産準備する人達が社内では必要とされなくなってきました。汎用技術である基板実装、金属加工、射出成型などを社内に置くセットメーカーはごく僅かです。セットメーカーは、生産技術の替わりに調達部門が注目されるようになってきました。さらに、生産性向上や作り込み品質活動で活躍していたIE・QCの改善技術者も少なくなりました。原因は、グローバル調達環境で、調達先の改善がすぐに機能しにくいと言う事情も考えられます。今、真の改善業務の推進者に求められる能力は、次の3点です。
 
 (1) 問題の本質を深く掘り下げる思考力・観察力
 (2) 課題を解決する方策を導き出す能力と実行力
 (3) 改善策を仕組みに落とし込み、定着させる能力
 
 製造業はかつての系列関係も薄くなり、いかに専門機能型企業を活用するかにかかっています。国内に残る製品の技術は、容易にキャッチアップできない複雑な構造のハードウエア、ソフトウエアでなければ直ぐに陳腐化の運命にあります。そして、それを支えるモノづくりにおいても、生産技術、製造技術分野において、開発型の技術が求められているのです。これからの中小ものづくり企業の課題にとって、一番の課題は「開発型の技術者の育成」です。
 

2. 日本のものづくり企業の新たな役割

 
 このような環境変化の中で、中小製造業の役割は重要性を増しています。新製品開発から試作、製造に至るプロセスの中で、設計と量産とを橋渡しする「開発型生産技術」の重要性に着目しなければなりません。製品開発期間の短縮、生産の垂直立上を余儀なくされる中で、いかに品質を確保しながら、コストを抑えるか、企業の腕の見せ所であり、これからの生き残り策の重要な課題となっているのです。
 

3. 新製品立ち上げ失敗の原因

 
 新製品立上げの失敗例は枚挙にいとまがありません。その主な例を4つ上げてみます。
 

 (1) 設計不備

 
   ・量産直前まで図面を変更している(確認作業、納期に影響)
   ・製造を考慮しない設計(加工性・組立性、部品調達性)
   ・機能不良(機能欠陥、信頼性が低い)
 

 (2) 潜在不具合のレビュー不足(製造)

 
   ・工程能力不足(量産になって規格外品多発)
   ・低い生産性(設備能力、人員不足、外注対応力不足)
   ・ポカミスが多い(作業手順の確認漏れ、ポカミス対策不備)
 

 (3) 初品、初期流動管理不十分

 
   ・プロジェクト体制不備、責任部門不明確
   ・異常検出、異常処理フロー不備
 

 (4) 変化点管理不十分

 
   ・重要要因、重要特性の管理不十分
   ・ポカミス対策不十分
 
 これらの原因に対応するには、設計不備を見抜き、改善提案を行うこと、そして、量産までの必要なステップを手抜きせずに確実に実施することが垂直立上げの近道です。
 

4. 製造準備、工程設計のポイント

 

 (1) 製造設計のポイント

 
   製造設計とは、設計された製品(仕様書、図面)を実現するための設計
   ・工程系列、モノの流れづくり(内作/外作、製造ライン方式)
   ・製法、工作法、加工法の決定
   ・工程条件の設定(製造手順、点検点、管理点、検査点を定めたQC工程図)
   ・設備選定、設備開発(工程能力、生産能力、自動化)
   ・協力工場選定
...
 

 (2) 工程の機能設計と信頼性設計

 
   ・機能設計
    設計仕様書、図面要求通りの機能を満足する5M条件の設定
    (抜け漏れを防ぐため、設計レビュー:PRを実施する)
   ・信頼性設計
    人、機械など5Mの要因変動に影響を受けない製造設計
    (設計が十分かどうか、工程FMEAで評価、確認する)
 
 企業の生き残り策は新製品の迅速な市場導入です。垂直立ち上げ戦略は新商品の発売時点における高い需要に対して供給力を確保し、高価格での販売の機会損失を防ぐのに効果的です。それには、初ロットから商品をスムーズにトラブルなく立ち上げる力量を有した「開発人材」の育成に掛かっています。
 
  

↓ 続きを読むには・・・

新規会員登録


この記事の著者