自動車用48V電源システム 欧州勢の思惑と日本企業が目指すべき技術開発の方向性

島根大学 大学院 総合理工学研究科 准教授 博士 (工学) 山本 真義 氏

構成

B5判並製本 145頁

分野

固有技術 > 自動車技術

価格

44,000円 (税抜 40,000円) 3点 在庫あり

商品説明

~48Vシステムで変わる世界市場・技術規格・各社戦略~

≪国内外の市場・製品動向+要求される技術解説+市場戦略指南を盛り込んだ一冊≫


欧州がおこす新たな技術潮流に、日本の自動車産業はどう立ち向かっていくべきか
48Vシステムは、ますます厳しくなっていくCO2排気量規制に、本当に貢献するのか

48Vシステムではどのくらいの燃費改善効果があるかを具体的に検証しながら
日本企業は市場参入するべきか、また、今後の技術開発や市場へどのように影響するかを説いた一冊 

発刊にあたって

本書は、欧州からの新しい技術潮流である自動車用48V電源システムに対する、最新情報、技術解説、並び我が国における市場戦略指南を盛り込んだ、新しい形の技術書である。本分野並びに他分野を見渡しても、コンサルタント会社による市場動向書籍、並びに技術者による専門技術書は数多く出版されている。しかしながら、技術者、研究者の経験、知識、実測データをベースに、市場動向予測まで架橋した書籍は数多の出版物の中にほとんど見ることがない。
 本書は、その新しい形の技術指南書として、技術分野と市場分野の隙間に切り込んでいくものである。堅固な技術力、学会情報、新解析データを基盤として世界の自動車潮流の先を読み解く本書が、我が国の自動車業界における戦略の一助となれば、著者としてこの上ない喜びである。

内容紹介

【本書の特長/徹底解説ポイント】

 
◆徹底解説1:欧州の思惑 -なぜ欧州は48Vシステムを選ぶのか-

 └ 欧州が見据える将来展望―48V電源規格「LV148」が内包する欧州の戦略
 └ 欧州がPHEVの開発・市場投入を加速させる2つの大きな理由
 └ 国外からみた「日系メーカ各社の独自性」を構築するための欧州の戦略事例紹介


◆徹底解説2:日本市場への適用可能性 -日本企業は対応すべきか、否か-

 └ 既にフルHEV技術を持つ日本が、コストをかけても48Vシステム市場に参入するべきか?
 └ 48Vシステムの開発方向を定める 42Vシステム(2001年)との相違点と残された「宿題」
 └ 「車種別の燃費改善率」「CO2排出量規制(2025年)への達成度合い」からよみとく未来


◆徹底解説3:変わりゆく規制と製品・技術要件 -何が、いつまで、どう影響するのか-

 └ 48V電圧条件下の補機類は、はたして48Vシステム車と同じ未来を迎えるのか
 └ SiC・GaNパワー半導体適用による高効率化、ノイズ問題の検証
 └ 実測データから検証する「48V導入車種予想とその合理性」「燃費改善効果寄与コンポーネンツ」
 └ 48Vシステムは今後生き残るか― 経験・知識・データから導かれた市場予測

 
パワー半導体メーカ勤務後、トリノ工科大学、そして現在は島根大学の研究者といった経歴をもつ著者の
経験・知識・実測データに基づく 「市場・製品技術解説」+「市場予測・戦略指南」 のハイブリッドな一冊!

 

目次


はじめに

第1章 なぜ今,車載用48Vシステムなのか?
 1. 欧州自動車メーカが協定を結んだ理由
 2. 欧州が48Vシステムを選定する理由
 3. 日本のハイブリッド車(ストロング・ハイブリッドシステム)と
   欧州の48V系ハイブリッド車(マイルド・ハイブリッドシステム)との違い
   3.1 12V電源システム車(従来)が抱える課題
   3.2 48V電源システム車がもたらす利点
   3.3 ストロング・ハイブリッド車(欧州主流方式)が秘める可能性
   3.4 ストロング・ハイブリッド車(トヨタ方式)の高電圧化の狙いと今後
   3.5 プラグイン・ハイブリッド車の思惑
   3.6 12V電源マイルド・ハイブリッド車の戦略
 4. 車載用48V電源システムのメリットとデメリット
 5. 日本における48V電源システム車の市場可能性


第2章 車載用48V電源システムに対する各完成車メーカ・サプライヤの動き
 1. 48V電源システムに対する完成車メーカの動き
   1.1 リチウムイオンバッテリ
   1.2 ターボサポート用電動コンプレッサ(EC)
   1.3 電動アクティブスタビライザ
 2. 48V電源システムに対するサプライヤメーカの動き
   2.1 各サプライヤメーカの動き
   2.2 48V電源システム車の種類
   2.3 48V電源システム用モータの概要
 3. 国際的な燃費・排ガス測定方法の動き


第3章 アウディA3 Sportback e-tron試乗記
    (欧州における48V電源システム車とストロング・ハイブリッド車との棲み分け戦略図)

 1. 欧州のプラグイン・ハイブリッド車導入活発化の意味
   1.1 現状のプラグイン・ハイブリッド車の市場の動き
   1.2 プラグイン・ハイブリッド車の各使用状況における性能
   1.3 欧州におけるプラグイン・ハイブリッド車の活発な動きの意図
 2. アウディA3 Sportback e-tron
   2.1 A3 Sportback e-tron概要
   2.2 A3 Sportback e-tronの内部機構
   2.3 アウディA3 Sportback e-tron試乗記


第4章 車載用48Vシステムの市場に対する商機とその未来
 1. 48V電源システム用DC-DCコンバータにおける商機とクリアすべき課題
   1.1 Bosch
   1.2 Continental
   1.3 Valeo
   1.4 Hella
 2. 48V電源システム用補機類における商機とクリアすべき課題
   2.1 大容量オルタネータ・モータ(48V電源システム用ISG)
   2.2 ブレーキ回生システム
 3. 48V電源システム用バッテリにおける商機とクリアすべき課題


第5章 車載用48V電源システムに要求される最新パワーエレクトロニクス技術
 1. 48V電源システム用DC-DCコンバータ
   1.1 多相化技術
   1.2 結合インダクタ方式
 2. 車載用電力変換器へのSiC,GaNパワー半導体の適用とノイズ問題
   2.1 新材料パワー半導体の高周波動作に対するアドバンテージ
   2.2 高周波動作における問題点 -ノイズの観点から-
    2.2.1 ノイズ評価方法
    2.2.2 伝導性ノイズ評価
 3. 燃料電池車用DC-DCコンバータ技術の48V電源システムへの適用
   3.1 トヨタ「ミライ」のDC-DCコンバータ
   3.2 ホンダ「クラリティFUEL CELL」のDC-DCコンバータ
   3.3 次世代DC-DCコンバータ -小型化の観点から-
   3.4 次世代DC-DCコンバータ -高効率化の観点から-


第6章 2025年へ向けた欧州規格と
     それに対応した自動車産業の目指すべき技術の方向性

 1. 過去のマイルド・ハイブリッド車における課題抽出
   1.1 クラウン・マイルドハイブリッドの誕生
   1.2 クラウン・マイルドハイブリッドのシステム概要
   1.3 クラウン・マイルドハイブリッドと48V電源システム車との違い
 2. 車載用48V電源システムの燃費改善効果と限界
   2.1 48V電源システムが導入される具体的な車種予測
   2.2 燃費計算用シミュレータ
   2.3 燃費計算用シミュレータ解析結果
 3. 48V電源システムにおける将来予測
   3.1 48V電源システムに関する今後の技術動向
   3.2 48V電源システム車の今後の市場について
   3.3 次世代自動車用電気システム構成
 4. 今後の国際競争激化に対する完成車メーカ,サプライヤメーカへの提言