
マイクロ・ナノプラスチックの体内侵入に脅かされる人類とその活路─ 生体内分解吸収性ポリ乳酸技術の最前線 ─
知らぬ間に経口摂取、人類のマイクロプラスチックの誤飲・誤食は避けられない──
人体への影響の報告も次々と──
受講可能な形式:【Live配信】or【アーカイブ配信】のみ
◎マイクロ・ナノプラスチックのヒトの体内への侵入と健康リスクへの懸念が高まる今、生体内で安全な物質に分解・吸収される生体内分解吸収性(bioabsorbable)プラスチックに焦点を当て、人類の活路としての可能性を探ります。
◎マイクロプラスチックの体内侵入の実態から、生体内分解吸収性高分子の基礎や医用材料への応用展開、そして、活路となり得るポリ乳酸については、その特性から最新の技術・製品開発動向までを詳しく解説します。
日時
【Live配信受講】 2025年8月6日(水) 10:30~16:30
【アーカイブ受講】 8月7日(木)~8月21日(木)
セミナー趣旨
本講では、この必須の要件を満足するほとんど唯一のプラスチック素材としてポリ乳酸を取り上げ、これまでの様々な自然環境下における生分解挙動に加えて、生体内分解吸収性医用材料として既に実績のある骨接合材(スクリュー等)などについても詳述する。
習得できる知識
◇ 自然界におけるマイクロ・ナノプラスチックの発生要因と実態
◇ 生体内分解吸収性ポリ乳酸の基礎と医用材料への応用・実績
◇ 生分解性/生体内分解吸収性ポリ乳酸の基本特性と技術・製品開発動向
セミナープログラム
1.ヒトの体内に“侵入”するマイクロ・ナノプラスチック
1.1 マイクロ・ナノプラスチックの生成要因とその経口摂取ルート
1) マイクロプラスチックの発生源(海洋、道路、農耕地)と発生・蓄積量
2) 経口摂取ルート
① 食物連鎖…自然界で分解、拡散したマイクロ・ナノプラを動物や魚介類が摂取、
そしてこれらを食物連鎖の頂点に位置する人間が摂取
② 直接摂取…食品容器・包装材の成形加工や流通過程で生成・付着したマイクロ・ナノプラを直接摂取(例:ティバッグ)
1.2 マイクロ・ナノプラスチックの生体内吸収性に関する研究
1) オーストリア/ウイーン医科大学、その他
2) 小腸組織の構造と機能
① 絨毛…栄養素を効率的に吸収するための小突起で、表面は高分子量糖タンパク質のムチンに覆われている。
② パイエル版とM細胞…多くの免疫細胞が集まるドーム状の免疫器官で、
消化管に入ってきた抗原(細菌や未消化の食物等の外来異物)が侵入する入り口で、
内側で待機するマクロファージや樹状細胞に抗原情報を伝える。
③ タイトジャンクション…隣り合う吸収上皮細胞をつなぐ細胞間結合で、細胞と細胞の隙間
3) マイクロ・ナノプラスチックの粒子径と生体内吸収性実験
① 動物実験(ラット)
② 腸管培養モデル(腸管の吸収上皮細胞の培養液)実験
2.生体内分解吸収性高分子の基礎と医用材料への応用展開
2.1 基本的要件…生体内での加水分解特性と分解産物の安全性並びに代謝特性
2.2 生分解性とはどこが異なるのか?
1) 生分解性…自然界で分解され、微生物菌体内に取り込まれ資化・代謝されること
2) 生体内分解吸収性…生体内で分解され、生体内細胞に吸収され代謝されること
2.3 各種生分解性プラスチックの生体内分解吸収特性
素材 | 生体内分解性 | 分解産物 | 分解産物の安全性と生体内代謝性 |
PLA | 〇 | LA | ◎ |
PBAT | △~✕ | BDO,AA,TPA | △~✕ |
PBS | △ | BDO,SA | △ |
PBSA | △ | BDO,SA,AA | △ |
PHBH | △~✕ | HBA,HHA | △~✕ |
2.4 代表的な生体内分解吸収性合成高分子と医用材料としての応用展開・実績
1) ポリグリコール酸(PGA)…縫合糸、心臓・血管外科における欠損部や
脆弱部の補強・止血用織物、気管や食道吻合部の補強材、薬剤徐放担体
2) ポリ乳酸(PLA)…骨接合材(骨折固定用スクリュー、ロッド、ミニプレート)、靭帯再建用不織布、薬剤徐放性担体
2.5 生体内分解挙動に及ぼす一次構造と高次構造(結晶化度、分子量)の影響
3.生分解性/生体内分解吸収性ポリ乳酸の基本特性と最新技術・製品開発動向
3.1 天然有機酸としての乳酸
1) 光学異性体…L-乳酸とD-乳酸
2) 安全性、食品衛生性、抗菌・防カビ性
3) 生体内での乳酸の生成と代謝経路…解糖系、腸内善玉菌としての乳酸菌
3.2 合成高分子としてのポリ乳酸
1) 生分解性バイオマスプラ(JBPA識別表示制度)…持続可能で環境負荷低減
2) 可食(コーン)から非可食バイオマス原料(木材パルプ)への転換…王子HD
3) L-乳酸/D-乳酸のランダム共重合体…各種用途別銘柄と最適共重合比
4) 生分解機構…2段階2様式の特異的な生分解機構(非酵素分解/加水分解型)
① 分解制御機構…分解開始の自動スイッチオン機構内蔵
② 製品寿命制御…使い捨て用途から長期使用耐久性構造材料まで
5) 既存石油系汎用プラスチックと同等以上の高性能・高機能性
6) 成形加工性…繊維・不織布・モノフィラメント、フィルム・シート、
真空成形、射出成形、発泡成形(押出発泡、ビーズ発泡)、ブロー成形
7) リサイクル…マテリアルやケミカルリサイクルに加え、バイオリサイクルとして
好気性下の堆肥化や嫌気性下のメタン発酵によるバイオガス発電
3.3 ポリ乳酸の様々な使用環境下における応用展開
1) 生体内…生体内分解吸収性医用材料(タイプS又はM)
2) 自然環境下(土壌、海水)…農林・園芸・土木・水産資材(タイプM)
3) 室温下・短期使用…使い捨て容器・包装資材、生活・衛生・雑貨(タイプM)
4) 室温下・長期使用…リターナブル食器、電気・電子機器筐体・部品、産業資材、自動車内装材(タイプL)
5) 高温高湿下・長期使用(自動食器洗い機)…リターナブル食器(タイプL)
□質疑応答□
セミナー講師
<ご専門>
高分子材料科学、特にバイオプラスチックや生分解性高分子
高分子の高性能・高機能化材料設計と成形加工技術、繊維・不織布の構造と物性
1968年 京都大学工学部高分子化学科卒。京都大学工学部助手を経て
1969年 ユニチカ㈱入社、中央研究所から大阪本社技術開発企画室を経て
2003年 理事、テラマック事業開発部長。この間山形大学と京都工芸繊維大学客員教授、京都工芸繊維大学バイオベースマテリアル研究センター特任教授兼務
2007年 ユニチカ㈱定年退職後、京都工芸繊維大学繊維科学センター特任教授(常勤)として5年間勤務。この間、日本バイオプラスチック協会(JBPA)識別表示委員会委員長、(社)繊繊学会理事関西支部長等を歴任。繊維学会功績賞、日経BP技術賞、その他を受賞。
<著書>
「生分解性プラスチック入門―生分解性プラスチックの基礎から最新技術・製品動向まで―」(CMCリサーチ)
「生分解性プラスチックの素材・技術開発―海洋プラスチック汚染問題を見据えて―」(NTS)
「バイオプラスチックの素材・技術最前線」(シーエムシー出版)、「生分解性ポリマーのはなし」(日刊工業新聞社)、その他多数
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