
6G通信の実用化に向けた低誘電率・低伝送損失・高耐熱特性を持つ高周波基板および材料の開発動向【LIVE配信・WEBセミナー】
■注目ポイント
★世界最高レベルの寸法安定性を有する高耐熱性ポリイミドフィルムの「ゼノマックス」とフッ素樹脂の複合化により伝送損失の低減と寸法安定性を両立を実現した6G通信向け電子回路基板の開発事例を紹介!
セミナー趣旨
■本セミナーの主題および状況
★次世代の通信技術としての第6世代通信システム(6G)の運用開始が2030年頃に想定されており、想定周波数は5Gを上回る100GHz-300GHzの可能性があります。
★4G、5Gで使用されていた材料では6Gでの要求物性は満たせず、さらなる低誘電率、低損失に加え高耐熱、高熱伝導材料が求められております。同時に、高周波伝送に対応可能な機器の開発も不可欠となります。
■注目ポイント
★5G/6G時代で激変する最新電子市場、高速次世代無線通信での高周波応用、高周波対応材料開発動向について解説!
★6Gの実現に向けた樹脂とセラミックスの複合材料が持つ可能性を紹介!
★ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の表面改質と銅とPTFEの密着プロセスについて解説!
セミナープログラム
【第1講】 5G/6Gに対応する高周波対応基板材料開発動向
【時間】 10:30-11:45
【講師】
フレックスリンク・テクノロジー(株)(FlexLink Technology Co., Ltd.) 代表取締役社長 工学博士(元日本メクトロン(株) 取締役・フェロー) 松本 博文 氏
【講演主旨】
2019年のFPC世界市場は、約170億ドルまで達した。10年前の約2倍規模まで拡大してきており、基板全体でも約25%占有するまでになっている。この背景には4Gスマホ市場や電子車載市場への採用拡大があった。今後は、5G更に10年後に向けてのFPC新市場への展開はビックチャンスと見られている。但し、その実現には、FPCの新技術開発・新材料開発が最重要だ。本講演では、それらの技術開発課題とそのソリューションに関して詳解する。
【プログラム】
1.5G/6G時代で激変する最新電子市場
(高周波ロードマップ、5G/6Gに応用するIOTデバイス類、次世代高速通信トレンド等)
2.高速次世代無線通信での高周波応用
(5G/6Gインパクトへの対応、コアネットワークとモバイルネットワーク等)
3.高周波対応材料開発動向
(誘電損失のメカニズム、分極と双極子モーメント、低誘電樹脂の材料設計等)
4.高周波材料の測定試験
(マイクロストリップ構造、高速伝送特性評価項目等)
5.高周波コンポジット基板材料開発
(コンポジット化で高速材料の最適化を狙う!)
6.高周波対応銅箔開発動向
(銅箔の低粗度化(高周波対応)表面処理の低磁性化)
7.まとめ
【質疑応答】
【第2講】 6Gの実現に向けた樹脂・セラミックス複合材料開発
【時間】 12:45-14:00
【講師】
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 材料・化学領域 化学プロセス研究部門 スマートフロープロセスグループ/主任研究員 阿多 誠介 氏
【講演主旨】
本講演では、第六世代移動通信システム(6G)の実現に向け、樹脂とセラミックスの複合材料が持つ可能性を紹介する。6Gは5Gを超え、私たちの生活をさらに豊かにする技術として期待されているが、その実現には多くの障壁が存在する。これらの課題は単一の材料では解決が難しく、材料の組み合わせによるブレークスルーが求められる。本講演では、複合材料がどのように6Gの課題解決に貢献できるかを探る。
【プログラム】
1 はじめに
1.1 6Gを取り巻く状況
1.2 材料への期待
1.3 各国の材料開発の状況
2 材料の特徴
2.1 樹脂、セラミックスのもつ特徴、長所・短所
2.2 複合化の技術、成形加工技術
2.3 多孔質体の形成
2.4 物性評価
3 まとめと今後の展望
【質疑応答】
【キーワード】
6G, 基板、複合材料、分散、高周波特性
【講演のポイント】
6Gの議論は、ユースケースなどユーザー視点のニーズから出発し、材料開発へのフィードバックが重要となる。本講演では、そのような視点を交えながら、開発の背景についても紹介する。
【習得できる知識】
複合材料設計の基本、複合化技術、6Gを取り巻く現状の課題など
【第3講】 フッ素樹脂の表面改質を応用した5G、6G 向けプリント基板の開発
【時間】 14:10-15:25
【講師】
コミヤマエレクトロン株式会社 鳴沢第二事業所 第7・8工場 第二製造部 久保 博義 氏
【講演主旨】
ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene:PTFE)は比誘電率が2.1、誘電正接が0.0002と樹脂素材の中でもっとも優れた電気特性を持っていることから、ポリイミドまたは液晶ポリマーに代わって新たな電子回路基板として期待されている。しかし、PTFEという材料は疎水性であるため銅との密着性に課題があった。そこで独自の表面処理技術によって疎水性のPTFEの表面を親水性に変えることにより、銅鍍金と密着させることが可能になった。表面改質したPTFEの細部に渡る観察と銅鍍金とPTFEの破断面を観察することで低接触角とピール強度向上にむけてのプロセスの解明を行った。シート以外にも3D形状のPTFEの表面改質や、他の樹脂とのPTFEを接合することにも成功したので紹介する。
【プログラム】
独自のイオンソースを用いた独自の表面処理装置を開発した。5G+/6Gの高速通信用基板の基材として注目されているフッ素樹脂(PTFE)に表面改質を施し、銅鍍金とPTFEを密着させることに成功した。表面改質工程は撥水性のあるPTFE表面にイオンを照射することで、PTFE極表面のフッ素原子と炭素を離脱させる。これによりPTFE表面に未結合の手を持つ炭素を生成する。この加工した表面にヒドロキシル基(-OH)ラジカルを表面に付与することで、ヒドロキシル基と炭素を結合させ親水性のある表面を実現した。水接触角は大気プラズマ方式では実現できない10度以下であり、その寿命も長い。寿命を悪化させる要因として、未結合の手を持つ炭素が残っていることを突き止め、アルゴンや窒素ガスを導入する工程を加えることで、長寿命を実現した。さらに表面改質したシートを窒素封止することで9日間を達成した。表面状態を理解するために、表面改質したPTFE表面のXPSやSEM観察等を行った。表面に発生するヒダの形と銅鍍金との密着の関係を明らかにした。さらに、密着プロセスを解明するために銅とPTFEの密着部分の断面観察を行った。PTFEの片面に銅鍍金したサンプルにおけるピール強度は1.0N/mmを実現した。PTFE基材130μmCu膜18μmで製作した基板の伝送損失の特性は90GHzにおいて-8db/cmであり、優れた性能が実証された。この手法を使って、実際のフレキシブル基板(基材厚0.05mm)を製作し、実用化の実証も行った。
1.表面改質処理装置の概要
1.1 処理装置の概念について
2.PTFEの低接触角の実現
2.1 表面改質したPTFE表面の構造について
2.2 XPS、FT-IR、電子スピン共鳴等による分析結果
3.Cu鍍金したPTFE電子基板
3.1 密着したPTFEとCuの断面構造について
3.2 引き剥がしたPTFEとCuの境界面について
4. PTFE表面改質の応用展開について
4.1 グラスファイバーPTFEとCu鍍金について
4.2 ビアの表面改質について
5. 高周波基板への適用
5.1 伝送損失評価について
5.2 フレキシブル基板の試作について
6. Cu鍍金付きPTFE基板の量産化に向けて
【質疑応答】
【キーワード】
イオンビーム、フッ素樹脂、PTFE、表面改質、低接触角、ピール強度、伝送損失、フレキシブル基板
【講演のポイント】
疎水性材料の代表であるポリテトラフルオロエチレンPTFEを独自の表面処理技術によって親水性に変え、大気プラズマでは実現不可能な水接触角10度以下を達成。電子基板に実用可能なレベルの銅と密着を実現した。
【習得できる知識】
PTFEの表面改質、銅とPTFEの密着プロセスの理解
【第4講】 6G通信実用化に向けた高耐熱性ポリイミドフィルムを活用した高周波伝送向け電子回路基板の開発
【時間】 15:35-16:50
【講師】
東洋紡(株) フイルムフロンティア開発部 / マネージャー 土屋 俊之 氏
【講演主旨】
「ゼノマックス®」は世界最高レベルの寸法安定性を有する高耐熱性ポリイミドフィルムです。従来のポリイミドフィルムでは不可能だったLow-CTEガラスやシリコン基板と同等の高い寸法安定性を実現し、「薄い」「軽い」「曲がる」といったフィルムの特性を生かして、フレキシブルTFT基板などへ用途展開しています。本講座では、機能分離による高周波用回路基板材料へのアプローチとして、ゼノマックスとフッ素樹脂の複合化により、伝送損失の低減と寸法安定性を両立を実現した、6G通信向け電子回路基板の開発事例を紹介します。
【プログラム】
1. はじめに
2. 高耐熱性低CTEポリイミドフィルム「ゼノマックス®」
2.1 基本特性
2.2 応用事例紹介
3. 低CTEポリイミドフィルムを用いた低伝送損失基板の開発
3.1 高速高周波通信用材料に求められる特性
3.2 フッ素樹脂との複合化による低伝送損失かつ低CTE基板の開発
3.3 PTFEとの低CTEポリイミドフィルムとの直接接着法の開発
【質疑応答】
【キーワード】
ポリイミド、複合化、高周波、複合化、PTFE
【講演のポイント】
高周波用回路基板材料へのアプローチとして、ポリイミドとフッ素樹脂の機能分離、複合化により、伝送損失の低減と寸法安定性維持の両立を実現させています。
【習得できる知識】
・ポリイミドフィルムの基本知識
・複合材料の設計思想
セミナー講師
第1部 フレックスリンク・テクノロジー(株)(FlexLink Technology Co., Ltd.) 代表取締役社長 工学博士(元日本メクトロン(株) 取締役・フェロー) 松本 博文 氏
第2部 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 材料・化学領域 化学プロセス研究部門 スマートフロープロセスグループ/主任研究員 阿多 誠介 氏
第3部 コミヤマエレクトロン株式会社 鳴沢第二事業所 第7・8工場 第二製造部 久保 博義 氏
第4部 東洋紡(株) フイルムフロンティア開発部 / マネージャー 土屋 俊之 氏
セミナー受講料
【1名の場合】60,500円(税込、テキスト費用を含む)
2名以上は一人につき、16,500円が加算されます。
受講料
60,500円(税込)/人