よくわかる技術文書の作成法<実習付き>【LIVE配信】
~技術者に必須の表現方法から実際の文書作成まで~
セミナー趣旨
文章を作ることは、考えをまとめるだけでなく、思索によってさらに考えを深めることである。基本的な文章作成の考え方から技術者として必要な文書の作成方法まで、実例を挙げながら学習する。講師はプラントエンジニアリング技術者、開発者として、設計作業や業務連携、伝承技術集成、技術教育業務を担当してきた。顧客向け、製作者向け、社内向け、そして業界向けの文書作成と添削指導を行ってきた経験に基づいて分かりやすく説明する。生成型AIを文書に利用する方法と注意点も述べる。
本講では、まず、文章書きの基本的なスキルはどのようなもので、どう力を付けるかを述べる。その上で、打合せ議事録、トラブル報告書、実験報告書、各種の提案書、宣伝資料、謝罪文など、仕事で用いられる内部文書に加え、論文、雑誌記事、取り扱い説明書、納入仕様書、購入仕様書など外部に提出する技術資料を念頭に置いて文章の書き方を示す。受講生には、多くの添削事例を提示しながら、どうすればより良い文章を書けるかを一緒に考えていただく。また、理解を深めるために文章作成および間違い探しの演習を織り込む。
実用的な付録として、1) 文のつながりを示す接続語句、2) 技術系の用語・漢字と常用漢字、3) 送り仮名の付け方、4) 公用文における漢字使用等について、5) 単位の表記方法、6) ローマ字の表し方と入力方法、7) である・ですますの変換法、8) 技術文書における読点(、)の打ち方、9) 文章のチェックと校正、10) 技術系用「異字同訓」の漢字の使い分け例、11) オズボーンのチェックリスト、12)実験報告書・論文の書き方、 13) 定型実験レポートの作法、 14) 稟議書2例、15) 採用された開発テーマの公的資金申請書例、16)平仮名書きと漢字書きの早見表、17)一般技術原稿の提出直前チェックリスト、18)ChatGPT などの生成AI で文章をまとめる方法と注意、を示す。
セミナープログラム
1.文書作成の心構え
1-1 技術文書は文学と異なる
1-2 気ままに書いたものは冗長である
1-3 読み手を特定してイメージする
1-4 読み手の気持ちを考える
1-5 読み手に信頼感を与える
(1) 客観的でありながら心を伝える
(2) 誠実さが読み取れる
(3) 誇張のある表現、尊大な表現の例
(4) 品格を保つ
(5) 引用を正確に示す
1-6 変化する文章の作法に対応する
(1) 伝統的な用法・用語の減少
(2) 平明化
(3) 話し言葉の変化に対応
(4) 敬語の変化
2.技術文章の基本
2-1 基礎的事項
(1) 厳密な文書では必要十分を基本にする
(2) 確実に伝えるときは冗長さも必要である
(3) できるだけ断定する
(4) 難しい概念は図示する
(5) 分かりにくいときは実例を示す
(6) 比喩などを加えて理解を助ける
(7) 同じ言葉の繰り返しに甘んじる
(8) 文書内の参照元を明確に示す
(9) 箇条書きを利用する
(10) 主要な点を誠実に強調する
(11) 説明(プレゼン)を意識する
(12) 単なる感想文はいらない
(13) 感情的な表現は避ける
(14) 前向きに示す方が印象がよい
(15) 重要なことを先に書く
2-2 推論のよりどころ
(1) 帰納法と演繹(えんえき)法
(2) 三段論法
(3) 弁証法(正反合)
(4) 仮説と実証の繰り返し
2-3 文書の構造
(1) 文書の構造化
(2) 定型的な項目立て
2-4 論述の進め方と順序
(1) 読み手が知りたい結論の場所
(2) 起承転結
(3) 序論・本論・結論
(4) 序破急
(5) 記述する流れの原則
(6) 重要性を基準にした順序
(7) 詳細事項を付属書にする構成
(8) 業務文書の型式
2-5 結論の示し方
(1) 個々の結論を示す
(2) 総括的な結論を示す
(3) 結論に関わる条件を示す
(4) 結論の例外を示す
(5) 考え方を表現する
(6) 謙虚な態度をとる
2-6 気の利いた文章
3.文の作成
3-1 正確さと厳密さ
(1) 形容の程度を明確にする
(2) 「〇〇など」は多用しない
(3) 「〇〇や〇〇」は多用しない
(4) 接続語で前後関係を明確にする
(5) 難解な文を避けて平易にする
(6) 動作の主体をはっきりさせる
(7) 主語と述語を近づける
(8) 述語をまとめる
(9) 「こそあど」言葉はほどほどにする
(10) 専門語・略語は初出時に説明する
(11) 文の分割の可能性を考える
(12) 重ね言葉を避ける
(13) 接続する語を重ねない
(14) 時制を明確にする
(15) 文中の体言止めは避ける
(16) 「のである」は技術文にはあまり向かない
3-2 文法上の誤り
(1) 主語と述語を確実に整合させる
(2) 修飾語とその対象を誤解させない
(3) 倒置法にならないように語順を守る
3-3 他の方法による表現
(1) 類語・反対語による表現
(2) 二重否定による表現
(3) 対偶による表現
3-4 ものごとの並べ方
(1) および(AND)を並べるとき
(2) または(OR)をつなぐとき
(3) 説明を並列させるとき
(4) 英語で便利な and/or
(5) 論理の AND と OR
(6) [参考] 異なる or の意味
(7) 法律文でのANDとORの表現
(8) 並列の「と」
3-5 用語を解説する方法
3-6 敬語の使い方
(1) 敬語の重要性
(2) 敬語の指針
(3) 敬語のレベル
4.用字用語の使い方
4-1 使う言葉の選び方
(1) 使えない話し言葉
(2) 文語的な用語
(3) 意味を文脈から判断させること
(4) 理由は「より」でなく、「から」
(5) 「~的」「~性」「~化」
(6) 「行う」、「する」の使い方
(7) 他人の言葉・表現
(8) 「ら抜き」、「さ入れ」、「れ足す」、「い抜き」
(9) 専門用語の統一
(10) 差別(禁止)用語
(11) 低俗表現
(12) ビジネスで嫌われる言葉
(13) 方言で間違えやすい言葉
(14) 使わない方がよい文学的な表現
(15) 商品名と一般名
(16) 言葉の正確な組み合わせ
(17) オノマトペの利用
4-2 顧客との関係に伴う用語
(1) 会社名
(2) 株式会社など
(3) 企業などの略称例
(4) 御社と貴社
(5) 弊社と当社
(6) 自分の呼称
(7) 相手の呼称
(8) 殿から様への流れ
4-3 時の表現と「とき」
(1) ときと時の違い
(2) 時間と時刻の違い
(3) 時の相対性と絶対性
(4) 時刻であることを明確にする表現
4-4 用字
(1) 学習すべき漢字の変化
(2) 必要な漢字力
(3) 一般の用字用語の手引
4-5 送り仮名
4-6 単位の使い方と表記法
4-7 格助詞「の」の意味と使い方
(1) 多様な「の」の意味
(2) 「の」の分類
(3) 「の」の連続使用
4-8 ローマ字の表し方と入力方法
4-9 英語の語尾の長音符号
(1) 各分野における慣例と推移
(2) JISの規定
(3) 学会の規定
5.文章作成の手順
5-1 実際の文章作成の流れ
(1) 敬体(ですます)か常体(である)かを決める
(2) 資料を集める
(3) リード(概要)文を書くことでアウトラインを作る
(4) ワープロソフトで構造化を考えながら書き始める
(5) 文書の目的と価値を明確にする
5-2 著述の流れ
(1) 書くべき事項を順不同で書き出す
(2) 文章の流れを考えて、いくつかの見出しを仮決めする
(3) 見出しの順序を付けて並べ替える
(4) 内容をある程度書いてみる
(5) 流れの自然さを考慮して順序とタイトルを決め直す
(6) 書き進める
(7) 見出し、順序に無理があるときは、随時並べ替える
(8) 読み手にとって不要な内容を削除する
(9) 推敲する
5-3 文書に必要な項目
(1) 読む人に対応する
(2) 5W2Hを意識したチェック
(3) 技術文章の内容を充実させるためのチェック
(4) 深みのある内容にするためのチェック
(5) 特定の事項に関して記述すべき事項と内容
5-4 句点・読点の打ち方
(1) 句点「。」の打ち方
(2) 読点「、」の打ち方
(3)句点を省略する伝統
(4) 句読点記号の種類
5-5 文章の修正
(1) チェック・校正リスト
(2) 技術用語の同音異義語
(3) 抜けている項目の探し方
(4) ソフトウェアの文章校正機能
5-6 最後の文チェック
(1) 読点「、」を検索して修正する
(2) 句点「。」を検索して修正する
(3) 改行マークを検索する
(4) 全体を通して読み返す
(5) 見た目をよくする
5-7 文章以前の問題
(1) 語彙力こそが教養である(齋藤孝)
(2) 科学することは分解能を高めることである
(3) アイデアの作り方(ヤング法)
(4) 発想することは訓練できる(オズボーン)
(5) 「文(ふみ)を広げて・・・」書物には知恵がある(兼好法師)
(6) 技術の基本は専門力である
(7) 総合的な判断が加わって価値が生じる
6.技術文書作成の実践
6-1 技術関連の文書
(1) 技術文書の種類
(2) 文書の保存
(3) 文書の変更手続き
6-2 打合せ議事録
(1) 記録するための力
(2) 主観性と客観性
(3) 記録で明確にしておくべきこと
(4) 記録する方法と注意点
(5) 記録の表現例
(6) 承認、フォローと再配付
(7) 逐一記録(録音複製)
6-3 取扱説明書、操作基準書
(1) 操作基準書とは
(2) 異常時の操作
(3) 製造物責任と安全に関する記述
(4) 操作基準書の主要な項目
6-4 実験報告書・論文
(1) 実験報告書の留意事項
(2) 記述すべき項目
(3) 考察をとりまとめて結論づけるための要点(調査報告にも共通)
(4) 学術論文
(5) 技術論文
6-5 調査報告書
(1) 留意事項
(2) 記述すべき項目
6-6 稟議書(起案書、立案書)
(1) 留意事項
(2) 記述すべき項目
6-7 新規事業提案書
(1) 留意事項
(2) 記述すべき項目
6-8 公的補助金申請書
(1) 留意事項
(2) 記述すべき項目
6-9 トラブル報告書
(1) 留意事項
(2) 提出のタイミング
(3) 記述すべき項目
6-10 特許申請関連書類
(1) 特許のアイデア提出書
(2) 特許申請書
(3) 特許共同申請契約書
(4) 稟議書
6-11 納入(見積・受注)仕様書
(1) 仕様書作成での失敗例
(2) 記述すべき項目
6-12 購入(引合・発注)仕様書
6-13 機器仕様リスト
6-14 各種設計図の補足書
6-15 出張報告書
7.文章作成の勉強法
7-1 良い文章に触れる
(1) 文章をたくさん読む
(2) 品質の高い内容の番組を視聴する
7-2 よく考えてたくさん書く
(1) 常に気を付けて書く
(2) 模範文をまね書きする
7-3 試験を受ける
(1) 日本語検定(読売新聞・時事通信社・東京書籍系)
(2) 漢字検定(公益財団法人 漢字検定協会)
(3) 文章読解・作成能力検定(漢字検定協会)
7-4 文章法の本を読む
7-5 文章講座を受ける
(1) 講習会
(2) 通信添削・ネット講座
7-6 今から勉強する方法の例
(1) まず復習をする
(2) 自分の弱点を知り克服する
(3) ずっと気を付けていく
7-7 参考書
セミナー講師
フルード工業(株) 執行役員研究開発室長 工学博士 技術士(機械部門)小波 盛佳 氏
【現在】
鹿児島大非常勤講師、日本技術士会千葉県支部技術者教育支援委員長、日本創造学会研究倫理委員長、技術関連の著書180件超、編集・校閲多数、セミナー等の講演320件超、工学博士、技術士(機械部門)
【経歴】
横浜国立大学大学院修了後,日曹エンジニアリング(株)で各種粉体プラントの設計、物性解析、プロセス開発、プロジェクト推進の業務に携わり、工場の製造管理システム構築、半導体設備、新規事業開発を担当。退職時は技術開発研究所所長。鹿児島大学客員教授、横浜国大・千葉大・滋賀県立大非常勤講師、日本能率協会技術士試験講座添削講師、芝浦工業大学技術士試験講座講師(添削付)、月刊「粉体技術」誌 編集委員(36年間)
セミナー受講料
55,000円(税込、資料付)
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2名同時申込の場合計55,000円(2人目無料:1名あたり27,500円)で受講できます。
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受講について
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