塗布膜乾燥プロセスの解明・考察・本質の理解と塗布膜の設計、不良・欠陥対策への応用

~塗布膜の乾燥過程で何が起きてるのか~
■乾燥機構の解明に必要な基礎知識と考え方
■乾燥後に起こる欠陥の改善、ムラ・凹凸等の膜厚分布の制御
■塗布された高分子溶液・溶媒の蒸発・揮発過程

勘や経験に頼らずに、均一または狙った乾燥後の膜厚分布を得るために

乾燥後の膜厚、膜質分布に影響を及ぼす要因とは

様々なムラ等、端部の凹凸の制御、塗布膜の様々な形状への応用

再現性のある塗布膜乾燥を実現するためのアプローチ

セミナー趣旨

 塗布膜の乾燥機構の解明は、様々な工学等の分野で求められている重要な課題である。塗布膜の乾燥においては、例えば乾燥後の膜厚分布が均一になることが求められるが、多くの場合、膜厚分布が均一にならず、また乾燥条件によって膜厚分布が変化することが経験的に知られていた。均一な乾燥後の膜厚分布を得るためには、塗布膜の乾燥過程の機構を解明することがまず必要で、その解明を経て、必要な制御を系に施すことにより、均一な乾燥後の膜厚分布を得るという目標へ近づくことになる。均質な膜分布を得る場合も同様である。また、乾燥後の様々な不良・欠陥を克服する際にも、同様のプロセスが必要となる。
 本講演では、塗布膜の乾燥プロセスの機構を解明するにあたり必要となる物理学的知識、考え方の講義から始めて、それらを基にした上記プロセスのモデル化の実際、およびその数値シミュレーションの実際を概説し、塗布膜乾燥機構の本質を理解する。また、これに基づいて様々な塗布膜不具合の原因を物理学的に考察する。そして、膜乾燥における様々な不良、欠陥、問題の克服と、膜厚分布の制御の方法について考察する。この講演が、今後参加者が実際に扱う系の乾燥過程の理解および乾燥トラブル対策のヒントとなることを目指す。

受講対象・レベル

・塗布膜乾燥工程に従事する研究者、技術者
・塗布膜乾燥過程のトラブル解決にお悩みの方
・効率的に乾燥条件を設定したい方
・塗布膜乾燥機構を理解したい方

習得できる知識

・塗布膜乾燥工程に関わる様々な物理学の知識と、物理学的考え方の基礎を習得できる。
・考えている系を数理的にモデル化していく方法を習得できる。
・乾燥後の膜厚、膜質分布に影響を及ぼす要因が理解でき、これを用いて様々な塗布膜の設計の提案、
 乾燥後の不良・欠陥の改善、膜厚分布の制御の方法を提案できる。

セミナープログラム

1.塗布膜の乾燥工程の概要と課題
 1.1 乾燥させるとは?
  1.1.1 乾燥が進行する原理
  1.1.2 乾燥を進行させる方法
 1.2 レジスト塗布工程の例
  1.2.1 塗布方法
  1.2.2 乾燥方法
 1.3 乾燥後に求められるもの

2.液体の理論
 2.1 液体の一般理論
  2.1.1 液体中の分子に働く力
  2.1.2 液体を固体から乱れた状態としてとらえる
  2.1.3 液体を気体論的に考える
 2.2 液体論からみた蒸発の理論
 2.3 液体の凝集力の起源
 2.4 液体の理論のモデルへの導入のポイント

3.溶液の理論
 3.1 溶液の一般論
  3.1.1 溶液とは
  3.1.2 平衡状態の溶液の化学ポテンシャル
  3.1.3 非平衡状態の溶液の化学ポテンシャル
 3.2 高分子溶液の特徴
 3.3 溶液の理論のモデルへの導入のポイント

4.表面・界面の理論
 4.1 表面張力  
 4.2 界面のぬれ 
 4.3 界面のゆらぎ
 4.4 表面張力波と緩和時間 
 4.5 表面・界面の理論のモデルへの導入のポイント

5.溶媒の蒸発速度の理論
 5.1 蒸発速度の式

6.溶液中の溶質・溶媒の動力学
 6.1 拡散方程式
 6.2 流体方程式
 6.3 揮発中という非平衡状態での動力学
  6.3.1 化学ポテンシャルからの拡散係数の導出(平衡系)
  6.3,2 化学ポテンシャルからの拡散係数の導出(非平衡系)

7.平坦な基板上に塗布された高分子溶液の揮発過程
 7.1 レイリー数とマランゴニ数  
 7.2 最もシンプルなモデル化
 7.3 シンプルなモデルの改良   
 7.4 精密なモデル
 7.5 数値シミュレーション結果の例
  7.5.1 膜厚分布の時間発展
  7.5.2 乾燥後の膜厚分布の乾燥速度依存性
  7.5.3 乾燥後の膜厚分布の塗布膜厚依存性
  7.5.4 乾燥後の膜厚分布の濃度の拡散係数依存性
  7.5.5 乾燥後の膜厚分布の溶媒の拡散係数依存性
  7.5.6 乾燥後の膜厚分布の固有粘性率依存性
  7.5.7 乾燥後の膜厚分布の蒸発潜熱依存性
  7.5.8 乾燥後の膜厚分布に対する高分子溶液特有の蒸気圧変化の効果
  7.5.9 液膜の表層と内部の乾燥の時間発展の違い

8.シミュレーション技術
 8.1 拡散方程式の解法8.2 流体方程式の解法

9.実験によるモデルの検証

10.モデルの発展
 10.1 3次元モデル
 10.2 溶質の種類が複数ある場合
 10.3 溶媒の種類が複数ある場合
 10.4 具体的な現象へのモデルの応用(様々なムラ等)
 10.5 マランゴニ効果の考慮

11.膜厚制御の実際、今後
 11.1 様々なムラ等の制御の例 
 11.2 端部の凹凸の制御の例1:温度管理
 11.3 端部の凹凸の制御の例2:気圧管理
 11.4 端部の凹凸の制御の例3:濃度管理

12.様々な形状への応用
 12.1 基板の側面への塗布の影響 
 12.2 球状体への塗布膜の場合

13.塗布膜の設計における留意点

  □質疑応答□


キーワード:塗布膜乾燥、数理モデル、拡散方程式、拡散係数、蒸発速度、化学ポテンシャル、気液界面、緩和時間

セミナー講師

周南公立大学 福祉情報学部 教授 博士(工学) 鏡 裕行 氏
【略歴】
東京大学 理学部 天文学科 卒業
京都大学 大学院 理学研究科 博士後期課程 研究指導認定の上、退学
元 名古屋短期大学 保育科 准教授
元 藤田保健衛生大学 医学部 准教授
【研究内容・キーワード】
塗布膜乾燥機構、数理モデル
【専門】
非線形・非平衡系の物理学

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