高圧水素タンクの樹脂化とバリア性の向上

★高圧水素環境下での樹脂材料の耐久性、安全性、強度の要求課題とは?


講師


1.日本大学 生産工学部 機械工学科
  専任講師 博士(工学) 坂田 憲泰 氏

2.電気通信大学 産学官連携センター
  教授 博士(工学) 田村 元紀 氏

3.JFEコンテイナー(株) 高圧ガス容器事業部
  技監 工学博士 高野 俊夫 氏

4.日本合成化学工業(株)
  中央研究所長付 技術担当部長 澁谷 光夫 氏

5.東京大学 生産技術研究所
  教授 工学博士 吉川 暢宏 氏


受講料


1名につき60,000円(消費税抜き・昼食・資料付き)
〔1社2名以上同時申込の場合のみ1名につき55,000円(税抜)〕


プログラム


【10:00〜11:10】 
1.CFRP製圧力容器の補強方法とその効果
日本大学 生産工学部 機械工学科 専任講師 博士(工学) 坂田 憲泰 氏

【講座概要】 
 CFRP製高圧水素貯蔵容器では,CFRP層の厚肉化に伴い圧力容器の重量が増加し,圧力容器のコストも増加するという欠点が問題となる。
 さらに,内圧を受ける円筒では,外径/内径比が大きくなっていくと厚肉による効果はそれほど大きくなく,材料を無駄に使用することになる。
 CFRP製圧力容器の補強方法は種々考えられるが,軸対称形状に軸対称負荷を受ける圧力容器の補強方法には制約がある。
 本講演では,CFRP製圧力容器の破裂圧力向上と軽量・低コスト化を実現するために,既存のCFRP製圧力容器を二つの方法で補強し,その合理性を実験とFEM解析の両面から検証した結果について紹介する。 
 
1.フィラメントワインディング成形

2.自動車用CFRP製圧力容器
 2-1 圧縮天然ガス自動車用容器
 2-2 燃料電池自動車用容器

3.CFRP製圧力容器の補強方法
 3-1 形状記憶合金ワイヤによる補強
 3-2 グリッド構造による補強

4.破裂実験による補強効果の検証
 4-1 形状記憶合金ワイヤで補強したCFRP製圧力容器
 4-2 グリッド構造で補強したCFRP製圧力容器

5.有限要素法解析
 5-1 形状記憶合金ワイヤで補強したCFRP製圧力容器
 5-2 グリッド構造で補強したCFRP製圧力容器

6.最適構造設計
 6-1 形状記憶合金ワイヤで補強したCFRP製圧力容器
 6-2 グリッド構造で補強したCFRP製圧力容器

【質疑応答】



【11:20〜12:30】 
2.水素ガスバリア膜の開発とバリア性、水素耐性向上
電気通信大学 産学官連携センター 教授 博士(工学) 田村 元紀 氏

【講座概要】 
 水素エネルギーの導入が積極的に進められているが、これにともない、高圧・低圧、高温・低温などの様々な条件下で金属系・無機系・ポリマー系を含む多くの材料と水素とが接触する状況が格段に増えた。
 水素は金属材料の機能性や安全性を阻害する場合がある。鉄鋼材料では、高強度ほど水素脆化しやすいことが知られている。材料特性や安全性を維持・向上する観点から、水素バリア機能を付与する技術開発が始まっている。
 本講演では、水素エネルギー社会実現に向けた様々な動向を意識しつつ、水素が材料特性に及ぼす影響、バリア技術の基礎、水素バリア機能の評価方法、機能薄膜と生成プロセスの各論について平易に解説する。 
 
1.はじめに

2.水素エネルギー社会

3.水素と材料

4.ガスバリア機能とその評価
 4-1 ガス透過のメカニズム
 4-2 ガスバリア機能の評価

5.水素バリア機能薄膜材料
 5-1 薄膜生成プロセス
 5-2 各種皮膜の特性
 5-3 薄膜材料の微細組織

6.おわりに

【質疑応答】



【13:10〜14:20】 
3.高圧水素タンク、CFRP複合容器の設計・要求課題と開発動向
JFEコンテイナー(株) 高圧ガス容器事業部 技監 工学博士 高野 俊夫 氏

【講座概要】 
 本講座では、燃料電池自動車・水素ステーションを中心とした高圧水素ガスタンクの開発と要求特性・今後の課題について解説する。
 具体的には、高圧水素容器の要求仕様、関連する技術基準、各種高圧容器の製造方法、各種高圧容器の開発のトレンドと技術課題について解説する。 
 
1.燃料電池自動車の市場動向

2.燃料容器としての高圧ガス容器に関わる基礎知識
 2-1 水素の供給プロセス
 2-2 高圧ガス容器の仕様(圧力・充填回数)
 2-3 天然ガス、水素の急速充填時の温度変化の相違点
 2-4 CNGVとFCVの燃料システムの相違点
 2-5 CNGVの事故事例
 2-6 CNGV搭載容器の要求仕様とその背景
 2-7 FCV搭載容器の要求仕様
 2-8 FCVの安全性検証

3.高圧水素タンクの種類(タイプ1〜4)と構造

4.FCV搭載用タイプ3容器
 4-1 製造方法
 4-2 開発状況と課題
  4-2-1 CFRP層の設計、ライナ用アルミニュウム合金(A6061-T6)水素脆化

5.FCV搭載用タイプ4容器
 5-1 製造方法
 5-2 開発状況と課題
  5-2-1 口金用ステンレスの水素脆化
  5-2-2 低熱伝導率
  5-2-3 水素透過性能
  5-2-4 繰返し高圧水素環境下でのPLライナの耐久性 

6.水素ステーション蓄圧器用タイプ1容器
 6-1 製造方法

7.水素ステーション蓄圧器用タイプ2容器
 7-1 製造方法
 7-2 開発状況

8.今後の展開・展望
 8-1 海外の技術基準の動向
 8-2 規制緩和への取組
 8-3 鉄鋼材料の高圧水素容器への適用

【質疑応答】



【14:30〜15:40】 
4.蓄圧器用樹脂ライナーの課題及び高圧水素ガスバリアを利用した複合材の開発
日本合成化学工業(株) 中央研究所長付 技術担当部長 澁谷 光夫 氏

【講座概要】 
 EVOHを含むポリビニルアルコール系樹脂は、PEの20万倍〜7000倍ものガスバリア性を示す機能性材料であるが、自油体積が小さい為、低温下では脆性破壊挙動を示す。
 低温(-40℃乃至-70℃)から高温(85℃)と広い温度範囲に晒される高圧(70MPa〜)水素タンク用樹脂ライナーを品質設計するにあたり、例えば高圧水素加圧脱圧時のボイド形成抑制因子(降伏応力、弾性率、水素侵入量等)に影響する結晶領域と非晶領域の制御等が不可欠である。
 今回、高分子素材の非晶部の改質例、ガスバリア材の自由体積制御による水素ガスバリア性の更なる向上、トレードオフの関係にある水素耐性と低温特性を両立するための非相溶系ポリマーアロイ及びその留意点、自由体積の観点を交えた非晶部の補強を目的とした相溶系ポリマーアロイなど、樹脂ライナーの開発例について紹介する。 
 
1.日本合成化学工業(株)の会社紹介

2.水素ステーション及び高圧水素タンク概要(圧力、プレクール、樹脂の熱伝導等の課題)

3.高圧水素下での要求特性と対応
 3-1 高圧水素の侵入/脱圧による破壊挙動
 3-2 層構成の課題等

4.各種高分子素材の課題
 4-1 低温特性
 4-2 自由体積の制御
 4-3 非晶部の補強等

5.高分子素材の自由体積
 5-1 水素ガス透過度
 5-2 水素溶解量
 5-3 自由体積の関係等

6.新規ガスバリア材
 6-1 溶融成形性
 6-2 力学的特性
 6-3 自由体積
 6-4 分子運動性の制御等

7.ポリマーアロイ化の課題と配合処方の考え方
 7-1 海島系
  7-1-1 相分離系の自由体積
  7-1-2 低温緩和成分量と力学的特性の関係
  7-1-3 相溶化剤種の違いによる自由体積への影響
  7-1-4 低温特性付与と高圧水素脱圧時の耐性のトレードオフの関係について
 7-2 相溶系
  7-2-1 ポリアミド系樹脂の自由体積制御
  7-2-2 低温緩和成分の変化
  7-2-3 複合材連続層(マトリックス)層及び非晶部の補強等
 
8.結言

【質疑応答】



【15:50〜17:00】 
5.CFRP製高圧水素容器の設計及び製造の高度化 
東京大学 生産技術研究所 教授 工学博士 吉川 暢宏 氏

【講座概要】 
 高圧水素容器は軽量化の要求から炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製が主流となっている。
 これまでは設計確認試験によってのみ安全性が確保されると考えられており、試行錯誤的な設計に陥っていた。
 設計確認試験に代わるCFRP製容器の合理的設計手法を確立するためには製造まで含めたシミュレーション技術の開発が必須であり、その現状を紹介する。
  
1.水素燃料電池自動車(FCV)の市場拡大

2.高圧水素容器を中核とする水素供給マネジメント

3.炭素繊維強化プラスチック製高圧水素容器の活用

4.フィラメントワインディング製法

5.鋼製容器の設計

6.CFRP製容器設計および製造の現状

7.許容応力による設計のために

8.有限要素法による詳細な応力評価
 8-1 積層形状の正確なモデル化
 8-2 フィラメントワインディングを直接的にモデル化

9.硬化成形プロセスシミュレーション

10.まとめ

【質疑応答】


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キーワード

高分子・樹脂技術   環境マネジメント

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