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QUESTION 質問No.50

発注元からの厳格な要求仕様に応えるには

設計・開発 品質工学(タグチメソッド) | 投稿日時:
自動車メーカーで使用している電子部品を作っている社員800人の企業の設計課長です。

車の電子系の技術がどんどん高度化するにつれ、部品に対する要求も厳しくなっており、トラブルが起こるたびに検査項目が増えてきています。
非常にマイナーな設計変更、改良を加えるたびに、すべての信頼性試験をすると1か月近い期間と多数のサンプルが必要となり、その費用はばかになりません。
もちろん市場品質問題を起こせば膨大な対応費用が発生しますので、設計品質を上げるのは前提条件です。

設計品質と設計期間、製品トータルコストを最小限に収める方法について、是非ご意見をお聞かせください。

[これは事務局が想定した架空の質問です]


ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

自動車メーカーで使用している電子部品について、設計品質と設計期間、製品トータルコストを最小限に収める方法を設計課長のお立場で改善したいということですね。

製品の品質、価格は設計の良し悪しで、ほとんど決まってしまいます。設計課長としてのお立場から、そのことは十分理解されている事と思います。

設計品質を上げ(Q,C)、しかも設計期間の短縮(D)を図って行く方策について、設計課長のお立場でできうる対策を列挙してみたいと思います。

1.設計品質とは
 まず、ものの品質は、価格で捉えることが必要です。
品質の不備は、クレームへの対応や廃棄物の増加といったロス・ムダ…つまりコストにつながるという考え方をします。つまり、品質を図る指標は、不良率、クレーム件数などではなく「コスト(費用)」で算出します。

 ということで、トラブルが起こるたびに、検査項目を増やす、ちょっとした設計変更で、信頼性試験を一からやり直すと言った手法は、決して品質を向上させる正しい手段ではないのです。これらの方法は、製品コストを押し上げ、開発、設計の遅れや、製品納期遅れとなって、顧客に対して多大な影響を及ぼすことになります。設計の考え方として、このようなムダな費用、期間を極力抑えることをまず念頭に置かなければなりません。

2.設計手順の確立
 まず、設計部門内のルールを見直す必要があると思われます。

2.1 製造トラブルの対処
 設計上の問題、製造上の問題すべてについて、その原因を設計的な観点から分析を行います。設計上の問題として、設計単純ミス、規格オーバー、マージン不足、劣化など。また製造上の問題として、製造指示の不徹底、作り難さ、部品選定ミスなど、その要因ごとに設計そのものを見直す必要があるかどうかを判断し、図面にフィードバックを行います。

2.2 信頼性評価
 マイナーな設計変更に対する信頼性評価を1か月かけて実施するのかどうかは、再検討が必要です。また、すでに評価を終了した製品に対して、マイナーな設計変更を無理して行うべきかどうかも判断が必要と思われます。品質に重大な影響がないのなら、設計変更を見送る方法もあると考えられます。

2.3 検査項目の追加
 トラブルの対策内容は、速やかに設計図面に反映し、二度とトラブルが発生しない製品構造とし、検査項目の追加は基本的には行わないようにします。

2.4 設計手順の見直し
 方式設計、具体設計、試作評価、信頼性試験の一連の設計工程の中に、上記2.1~2.3の内容を設計にフィードバックし、図面に盛り込むよう、設計手順として確立していきます。そして、設計工程のステップごとに、設計レビューを行い、そこでの判定結果で次の設計ステップに進むようにし、判定結果がNGとなった場合は、もう一度設計内容を見直すようにします。設計レビューは、重要な設計ステップであり、参加者、判定者、開催時期を明確に規定しておく必要があります。

 以上の一連の設計作業は、設計者個人によってばらつきが出ないように、設計手順書として規定化を行い、すべての設計者が、このルールに沿って設計を進めることとします。

3.技術力の向上
 設計手順が確立したならば、設計技術力を高める方策を考えなければなりません。
技術力を高めるとは、一つは顧客に、絶対に不良品を渡さない設計を行うということです。そして二つ目は、設計期間を短縮するということです。そして最後に、製品の原価を引き下げるということです。

3.1 技術者の育成
 御社の場合、設計技術者は、少なくとも数十人は在籍しているものと思われますが、各設計者のレベル、スキルには、相当のばらつきがあるものと考えられます。入社一年目の新人から経験5年以上の中堅、10年以上のベテランと様々な技術者に対して、どのような教育を実施して、レベルアップを図っていくのか、設計課長として、手腕を発揮する場面だと思います。
 
 各技術者ごとの経験、スキルなどを見える化し(スキルマップ作成)、年間教育計画を立てて、計画的にOJT、OFF-JTを行い、技術力向上を図って行きます。

3.2 設計手法の確立
 第一に、部品の標準化、モジュール化を行います。
実績のあるモジュールの組み合わせ設計を行うことにより、短期間に信頼性の高い製品を設計することが可能になります。特に自動車用の部品であれば、基本部に、多少のアレンジを加えた製品も多いと思われるので、顧客に対して、自社の標準モジュールを品ぞろえし、提案すると言った方法も考えられるのではないでしょうか?

 第二に、パラメータ設計(品質工学)手法の導入です。
安い部品を使って、しかも不良を発生させない、安定した設計が可能になります。品質工学の講習会などに積極的に参加して、自社製品の設計へ導入を図って行くことも有効な手段と思われます。

以上、ご質問内容から、一般的な回答を差し上げましたが、実際に御社訪問により、ヒヤリング、および設計工程等を確認させて頂くことにより、より具体的な提案をさせて頂くことが可能と考えます。