物流品質向上法 (その3)

 前回のその2に続いて解説します。
 

5. 物流品質の大敵「マンネリ化」

 標準作業の確立、それに基づく作業指導、そして作業観察と作業修正、この手順を踏めば物流品質不良が出ることはほとんど無くなると思われます。もしこのPDCAを回していても不良が無くならないのであれば、それは標準作業に問題があると考えた方がよいでしょう。類似品の識別方法やオーダーと製品の照合方法などについて標準作業書への記述が不十分なのかもしれません。今一度標準作業書を読み直し、不十分な記述を修正しましょう。そしてその後必ず勉強会を開催し、作業者の方全員に修正点を認識してもらう必要があります。
 
 もう一つ、物流品質の大敵として「マンネリ化」が挙げられます。作業者も毎日同じことを繰り返しているとそれがマンネリ化してきます。それを防ぐために日々仕事を入れ替える工夫も必要です。作業者の方には常に新鮮かつ緊張感を持った仕事の仕方をしてもらいたいと思います。さらにもう一つマンネリ化を打破するための仕組みをご紹介したいと思います。それは「意地悪チェック」の導入です。これは物流工程のどこかに不具合を仕掛けておいて、作業者がそれに気づくかどうかをチェックする仕組みです。
 
 たとえばピッキング棚でA製品のロケーションに、A製品に酷似したB製品を入れておきます。作業者がそれに気づくかどうかをチェックするのです。本来であれば製品に記載された番号とオーダーシートの製品番号を1文字ずつ照合することになっていますが、それを無視して(やったつもりになって)作業を進める人がいます。このようなトラップを現場に仕込んでおけば、誰がマンネリ化しているかがわかります。現場に緊張感が薄れるとこのような現象が起きがちです。
 
 「意地悪チェック」はそのようなことを実施する事を作業者に伝えるだけでも効果があります。つまり告知するだけで実際にやらなくても効果があるということです。なぜならいつ自分のところにトラップが仕掛けられるか気にするためです。そのために適度の緊張感が発生し、マンネリ化による誤りの発生防止につながるのです。
 

6. フールプルーフと「投資効果」

 今までご説明してきた標準化のPDCAを実行していただき、場合によってはマンネリ化解消策を行っていただきたいと思います。ここまでは「お金をかけない改善」です。もちろん改善は原則お金をかけないことが基本です。お金をかけずに知恵を出して実行していくのが改善だからです。しかし、もしゆとりがあるのであれば「フールプルーフ」を導入することも考えてもよいかもしれません。フールプルーフとは知らない人が作業を行っても間違いが起きないような仕掛けのことです。
 
 たとえば電子レンジは扉が閉まっていないと加熱できないようになっています。これは思いがけない事故を防止するための仕掛けです。自動車のエンジンはミッションレバーがパーキングかニュートラルに入っていなければ始動できません。この趣旨は電子レンジと同様です。物流工程では作業者が間違いを起こさないようなポカヨケがいくつかあります。たとえばデジタルピッキング装置。作業者はランプが点灯した間口から表示された数量だけ取り出すことでピッキングミスを防止しようというものです。
 
 この逆がデジタルアソートシステムで、ランプのついた間口に表示された数量だけ投入します。これと類似したしくみがシャッター式ピッキング装置です。ピッキング棚の各間口にシャッ...
ター(蓋)がついており、オーダーに基づき該当間口のシャッターが開きます。これは他の間口からピッキングすることを防ぐためのサポートツールです。デジタルピッキング装置よりもサポート性は高いと思われます。デジタルピッキングではランプが点灯した間口からでなくても製品を取り出せますが、シャッター式ではそれができません。
 
 最近は間口にスクリーンが付いていて、オーダーに基づき該当間口にオーダーが表示されるしくみもあります。システムは徐々に進化してきています。自社にふさわしいポカヨケを導入することをお勧めします。ただしこれらのしくみは万能ではないことは認識しておくべきです。ポカヨケを導入しても標準作業を守らないことでエラーは発生するからです。もちろんこれらのしくみは投資が必要ですから「対投資効果」をきっちりと見極めてから実施しましょう
 

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