設計部門と組織政治の影響(その1)

 これまで数回にわたって、設計部門における仕組み構築の考え方や手順を解説してきました。仕組み構築のためのシステム化計画作成は、頂上を目指す登山ルートを設計するというクリエイティブな作業であることを解説し、例として、開発効率2倍を実現するための登山ルート(下図)を設計しました。
 
                                  
 
 作成した登山ルートは、麓から頂上までの道のり(工程)を示したもので、それぞれのステップで実施する対策を具体化し、必要となるシステム(ツール)や技法、必要となるスキルや費用なども明らかになっています。ただ、仕組み構築を進めるための日程が入ったスケジュールはまだ明確になってはいません。登山をはじめるには、食料、装備、メンバー、天候などを考慮して時間軸を記入したスケジュール(日程表)を作る必要があります。

 時間軸が入ったスケジュールを作成する際には、必要最小限の効率的な作業計画にすることと、予定外のことが起きないようにできるだけ正確に発生する作業を計画することを両立させる必要があります。最終的に実績と計画との乖離がないことがベストです。

 これまでのシステム化計画の作業を通じて、登山ルートは十分に検討したので必要となる作業は積み上げによってかなり正確に詳細化することが可能になっているはずです。したがって、この段階で重要となるのは、積み上げでは出てこない、実際の仕組み構築作業に影響を及ぼす作業をスケジュールに組み込むことです。そのために必要となるのは「政治的」要因を考慮することです。

 政治的要因とは、部署間・マネジャー間の力関係、設計部門あるいは事業部の中期・短期計画実施の背景、上位マネジメントの行動や考え方、反対勢力の動向など、組織政治と考えられることです。どんなに綿密に必要となる作業をブレークダウンしても、また、どんなに技術的検討や設計を行ったとしても、政治的要因は計画や状況をガラッと変えてしまう可能性があります。

 どのような原因であれ、スケジュールを守ることができなければ仕組み構築そのものに対する不信感を生むことになり、目標達成に前に頓挫してしまうことになりがちです。したがって、確度、精度の高いスケジュールにするためには、『政治的要因を考慮すること』が大切なのです。
 
 次回、...
その2では、政治的要因のリストアップを解説します。
 
 
 
◆関連解説『技術マネジメントとは』

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