課題解決への近道とは

◆対立を明確にして問題を解決 

 議論していくうちに、図らずも「総論賛成、各論反対」に陥ってしまうことがよくあります。私の経験では、意見の対立を避けた結果「問題」に対する理解が関係者によって異なり、議論がある程度進んでから各論反対という形で見解の相違が噴出します。しかも問題が明定されていないため、各論が的外れであることも多いようです。
 
 直感に反するようですが、実は意見の対立を避けるべきではありません。好ましくないのは人間関係の対立であって、意見の対立は問題解決に極めて有用だからです。
 
 例として、製販一体の会社によくある対立を取り上げてみましょう。本音では、製造部門は「営業部門は売上第一で、無理な受注で設計開発や生産にしわ寄せが来る」と言い、営業部門は「製造部門は自分の都合を言って、顧客の要望を第一に考えない」と言う。部門間で感情がもつれたら、問題の解決には程遠いのです。
 
 まずやるべきことは、意見と人を切り離して図1のように対立に注目することです。「仕様と生産計画を変更する」(D)と「仕様と生産計画を変更しない」(D’)は対立するが、上位目的「売上を伸ばす」(B)と「効率を維持する」(C)は共存し、「利益を増やす」(A)という共通目的を持ちます。これならどちらの部門も異論はなく、協働して問題解決に取り組むことができます。
 
      
                    図1.問題解決への議論事例
 
 図1を精査すると、D’には見直しの余地があることが分かります。費用比率の維持を前提に仕様や生産計画が調整できれば、共通目的の利益向上に寄与できます。方針に合意できて初めて、業務プロセス改善やIT活用などの具体的な方法を検討することができます。仮にここまでの手順を省いて具体的な方法を検討...
したならば、技術的には妥当な施策でも中長期的な成功は難しいでしょう。問題の定義と解決策が関係者の腹に落ちていないからです。
 
 対立を明確にすることで解くべき問題を明定し、解決策を建設的に議論することです。そのために、関係者が腹蔵なく意見を言える雰囲気を醸成するように、私はいつも顧客に助言しています。
 
 この文書は、 2016年4月14日の日刊工業新聞掲載記事によります。
 

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