‐標準化へ取組み事例‐ 製品・技術開発力強化策の事例(その25)

 前回のその24に続いて解説します。標準化へ取組み事例としては、複数の方法の組合せで事業展開を図り、技術面、作業面での再利用頻度を高くして、生産性の向上と品質の安定化した製品を開発するような組織運営を行います。次に、この事に関連した事例を、3件、記述します。
 

1.類似品の分類標準化

 試験研究機関向けの試験設備を受注生産している企業で、仕様がその都度異なり、外形寸法も全て違っていた。受注の都度、設計から始めなければならないため、生産工数が多くなり、利益率が非常に低く収支トントンの状況でした。このような事を繰り返していては、何時まで経っても経営業績を向上させる事は出来ない。と考えて今までに受注した製品について、類似品別に分類整理して、共通事項、少し異なるが、一つにまとめられる点、等の検討をして、大分類、中分類などに分けて技術部で標準化の案を作成しまし。その結果を営業部に示して標準品の販売に協力を求めました。営業部としては、こちらの都合を顧客に押し付けると、購入してもらえなくなり、他社に受注を奪われのではないかとして反対しました。この状況を見ていた社長は、標準化で納期が早く、かつ、価格も安く出来き、その都度の特別仕様との価格差を設ければ説得できるのではないのか、と考えて標準品の販売を実施してみる事にしました。実際に販売してみると、特別仕様を要求されても、標準品の特徴を説明すると「納期が早く価格面でも割安になるのであれば、購入する」そのような反応が多く、この会社の試験設備の受注は大きく伸び、同業者を抜き去って成長しました。
 

2.外形寸法の標準化

 レストラン業界向けの食品専用のリフトを受注生産している企業では、建築設計事務所から受注される製品の外形寸法及び仕様が全て異なり、その都度図面の引き直しを行い、生産に流すため、図面製作の工数、生産面での寸法の差異がもたらす材料のムダ、作業工数の増加などのムダな経費に食われて採算性が良くありません。類似寸法が多く、いくつかにまとめる事で、標準化が図れるに違いない。と考え、外形寸法と仕様に段階を設けて、標準化を図り、それをカタログに掲載して、建築設計事務所に配布しました。設計事務所ではこのカタログを利用して、施主からリフトの位置に指定された場所に所要の空間を確保した図面を描く事が出来、いちいち見積もり照会をする手数が省け、好評を得る事になりました。それまでは、空いた空間にリフトを無理に収めるような事が生じていましたが、カタログで図面が描かれ、建築図にはリフトのメ-カ-指定が行われて受注活動が効率的になりました。
 

3.部品標準化が遅れたため、損失増加に歯止めが効かぬ企業

 セキュリィティ関係で、センサ-の開発・生産・販売を一貫して行っている企業で発生している事例です。開発した製品の売上高は年々好調に推移しているが、年月の経過と共に以前に購入した製品の部品の供給依頼が増加しました。ところが、開発品に使用されている部品に共通のものがないため、部品の在庫が次々と増加していき、これらの在庫管理の負担が増えました。中には、部品在庫のないものまで供給の要求が顧客から出て来ました。数個の部品を生産するために、古い図面を探し出して生産指示を出すので、生産コストが販売高以上になり、利益を圧迫しました。一つずつ部品を調べると何故、寸法の差異が必要なのか、理解に苦しむようなものが非常に多く、最初から部品の共通化を考えた設計を行わなかったために、設計技術者は顧客から供給の要請に対処するため、振り回されていました。
 
 この事例で考慮しておく必要のある事は、次の二つです。
 
  (1)設計の段階で類似した製品に対する部品の再利用度を高くするよう    
    に部品の登録による標準化のル-ルを決めておくこと。
 
 (2)出荷されている製品の販売後の部品供給の期間に限度があることを、 
     顧客に周知する。最初の販売時に供給期限を予告しておき、期限が到来する
        半年位前に再度供給期限が切れるから、必要であれば期限内に発注するよう
        に...
通知する事で顧客の了解を求める。
 
 以上の事例に限らず視点を様々に変えて検討し、過去に設計した要素技術の再利用を図り、設計工数を減らして、利益率を高めるようにします。技術の再利用を図るために、最初の段階で発生した設計ミスを図面上で即座に訂正するル-ルを設け、以降の再利用に役立てていけば、省力化とトラブル発生の防止に貢献し、品質の安定化とコストダウンに貢献する開発活動ができるようになります。初回の設計図は多くの場合設計ミスは避けられず、図面訂正や生産に移行してからの手直しなどで余分な工数を発生させます。そのため、最初に見込んだ利益が失われることになります。部分標準化の組み合わせで、顧客の要求事項を満足させ、かつ、自企業の利益確保も可能になる取り組み方を徹底的に推し進める事が何よりも大切な事です。このような取り組み方と営業における顧客の潜在ニ-ズに関する情報収集とを併せて根気良く取り組んでいけば、標準化の推進がやり易くなり製品開発の効率化にも寄与します。
 

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