赴任者のために 中国工場管理の基本事例(その5)

1、赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その3)

 前回の赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その2)に続いて解説します。

◆ 赴任直後にすべきこと

 赴任直後に必要なことのひとつに「リーダーとして認知される第一歩を築く」ことがあります。

 中国人社員は駐在員である日本人のことを常によく見ています。「今度来た日本人はいったいどれくらい仕事が出来る人なのか」を値踏みしていますので、駐在員も常に中国人社員から業務、行動、仕草などを見られていると意識して行動をすることが必要です。

 総経理や工場長がトップとして認知されるためには、自分の会社の理念やビジョンを語れることが必要です。本社の理念やビジョンがあり、それを踏まえて中国工場の理念やビジョンがあるはずですから、そのつながりを明確に話せることが必要です。さらに本社の方針に従って、中国工場の具体的な事業戦略や方針を策定できなければなりません。これらを一貫してぶれることなく説明し、進めることが必要です。

 つまり「自分はこの工場をこうしたい、このような工場にしたい、そのためにこういうことをやっていく」という思いを周りの中国人スタッフに伝えることが大事です。

 部門長クラスで赴任した方は、自分のミッションをしっかり認識し、周囲に説明することは最低限必要なことです。また、部門最適ではなく全体最適となるように意識してください。中国の人は他部門との連携が上手くありませんから、日本人駐在員が他部門と連携して全体最適(工場最適)となるように行動することが、中国人スタッフの手本となり、信頼に繋がると考えてください。

 また日本でもそうですが、ものづくりをしていく中で、中国でもいろいろなトラブルが発生します。「トラブルが発生した時に逃げる、他人任せにする」など、このようなことでは、中国人社員から信頼されません。責任者であるあなたが逃げずに判断を下すことが大事です。

 

 最後に中国駐在において自らの言動で失敗してしまい、中国人スタッフから嫌われるケースについて触れたいと思います。

 中国で仕事をする訳ですから、中国の人たちと良好なコミュニケーションを取れることが必須です。いくらスキルがあってもこれが上手くいかないと、中国で仕事を進めていく...

ことは難しいといえます。

 失敗するパターンは様々ですが、その中で一番多いのは、日本人というだけで優越覚を持っている人。別の言い方をすると上から目線の人です。大半の人は自分はそんなことはないと思っていますが、無意識のうちにそうなっている人は少なくありません。このような上から目線や無意識の意識は、中国人スタッフに伝わってしまい信頼を失うことに繋がります。

 

 次回は、コミュニケーションで失敗するタイプや現地社員に嫌われてしまうタイプの人について具体例を紹介します。

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