‐市場の観察から開発テ-マを得る‐ 製品・技術開発力強化策の事例(その6)

 前回の事例その5に続いて解説します。新技術が社会に普及し始めると、それに関連した新商品を顧客の要求に即応して供給出来ないで、新技術搭載製品の供給不足が起こることがあります。その供給不足に着目して新規参入する企業も増えます。これらの事象は、新商品の市場規模と流通状況をどう経営判断するのかという市場の理解にかかってきます。又、市場の観察から開発テ-マを得るチャンスでもあります。
 

事例:特殊工具の供給体制確立

 板金用の特殊工具を注文しても納入が遅い。何故そのようなことが起こるのか、知人を頼りに調べるとメ-カ-の生産体制が弱体であることが判ります。このことを知ったA氏は勤務先を退職して工具メ-カ-になる道を選びます。貸工場にベッドを持ち込み、24時間体制で生産し、即納を売り文句にして事業を進め、その後、企業として成長しました。このような隙間を狙って事業を行う業者が必ず出てくるので、現在のように厳しい時代では、販売した製品の部品供給などで納期が長くなるような営業をしていると、足元を救われることになります。しっかりと生産体制を固める必要があります。製品開発で成功してもその後のサ-ビス体制が弱体では顧客を奪われる可能性が高く、自企業で全ての生産を行う必要は無く、外注で協力者を確保することや企業連携を選択する方法もあります。
 
 この場合、取引先との共存を図る考えがないと、良い協力者が得られません。大企業のような一方的な値引き要求だけでは協力者は得られません...
。機械の販売において本体では薄利で、消耗部品で利益を上げるビジネスモデルは多くあります。機械の部品は必ず自企業に発注されると高をくくっていると、足元を救われる羽目に陥ります。過当競争に巻き込まれないように、市場規模を見極め、かつ、需要家の動向と開発製品の特質を比較検討して、製品の供給と販売の方法に反映させる必要があります。
 

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