「KT法」とは、キーワードからわかりやすく解説

 

1. 「KT法」とは

KT(Kepner&Tregoe)法とは、米国のケプナーとトリゴーが体系化した、意思決定の効率的な思考プロセスです。 二人は意思決定のプロセスを分析し、複雑な状況を理解し、物事の因果を解明し、良い選択をおこない、未来を予測することで問題解決に対する適切な判断ができるとしました。

 

KT法は目的・目標を明確にして、論点を整理して議論を進め、議論の進め方も参加者が考えを同一にして結論を求めていくので非常に合理的な方法となるはずです。そしてKT法は情報の集め方、思考の手順、議論の進め方をモデル化しています。どこからでも入り込み、時にはプロセスを省略して4つの手法を柔軟に使いこなせばよいのです。またプロセスの中でフィードバックすることも必要です。

 

2. 「KT法」の狙いと4つのプロセス

KT法は「状況分析」「問題分析」「決定分析」「潜在的問題分析(リスク分析)」という4つのプロセスから構成されています。ところで、多くの人たちは、次のような特徴(クセ)を持っているようです。

  • 先入観にとらわれる
  • 定義を明確にしないで議論に入る
  • 結論を急ぎ、対策にジャンプする
  • 自説に固執する

これらに対して、KT法は、事実に基づき可能な限り論理的に堂々巡りのムダを最小化して、抜け・モレ・勘違いなどの落とし穴にはまることなく、精度の高い結論を効率的に導き出します。

 

3. 四つの思考プロセスの詳細解説

KT法を実務で使いこなすためには、四つのプロセスそれぞれの役割と、そこで使われる「思考の枠組み」を理解することが不可欠です。

① 状況分析(SA:Situation Analysis)
混迷した状況を解きほぐし、優先順位を明確にするプロセスです。ここでは「気になること(関心事)」をすべて洗い出し、具体的な課題へと分解します。

分離: 漠然とした大きな問題を、解決可能な小さな要素に分けます。
優先順位付け: 「緊急性」「重要性」「拡大傾向」の三つの指標で、今すぐ取り組むべきは何かを客観的に判断します。 これにより、「何から手をつければいいかわからない」という混乱状態を脱却します。

② 問題分析(PA:Problem Analysis)
「あるべき姿」と「現状」のギャップ、つまり起こってしまったトラブルの原因を突き止めるプロセスです。KT法において最も特徴的な「IS / IS NOT(~である / ~ではない)」という比較技法を用います。

事実の整理: 発生している事象と、発生してもおかしくないのに「発生していない事象」を対比させます。
原因の特定: 両者の違い(変化)に着目することで、推測や勘に頼らず、論理的な裏付けを持って真因を特定します。

③ 決定分析(DA:Decision Analysis)
複数の選択肢から、最適な解決策を選び出すプロセスです。単なる多数決ではなく、評価基準を明確にすることがポイントです。

MUST条件とWANT条件: 絶対に譲れない条件(MUST)と、できれば満たしたい条件(WANT)に分けます。
リスク評価: 最も魅力的な選択肢であっても、将来的に致命的なマイナスを生む可能性がないかを慎重に検討します。 これにより、組織全体が納得感を持って合意形成を行うことが可能になります。

④ 潜在的問題分析(PPA:Potential Problem Analysis)
決定した計画を確実に実行するために、未来のトラブルを予測し、予防策を講じるプロセスです。

想定外を想定する: 「もし~が起こったら」というシナリオを描き、発生確率を下げると同時に、万が一発生した際のダメージを最小限に抑える対策をあらかじめ準備しておきます。

 

4. KT法を支える共通言語としての「キーワード」

KT法が世界中で支持されている理由は、思考の過程を「見える化」し、共通言語化できる点にあります。議論が紛糾した際、以下のキーワードに立ち返ることで、チームの歩調を合わせることができます。

「事実は何か?」 感情や意見を排除し、客観的なデータに基づいて議論を進めるための合言葉です。
「比較対象は何か?」 問題の原因を探る際、正常な状態と比較する癖をつけることで、思考のバイアスを防ぎます。
「その対策の効果と犠牲は?」 メリットだけでなく、必ず「代償(リスク)」にも目を向けることで、より健全な意思決定を促します。

 

5. 日常の思考をアップグレードするために

KT法は、決して特別な会議のためだけの道具ではありません。日々の小さな判断や、部下への指示、予期せぬトラブルへの対応など、あらゆる場面で応用可能です。 重要なのは、型に縛られすぎることではなく、このプロセスを通じて「自分の思考のクセ」を客観視することです。

「なぜその結論に至ったのか」というプロセスが透明化されれば、周囲からの信頼も高まり、組織としての実行力は飛躍的に向上します。情報の波に飲まれ、複雑化し続ける現代のビジネスシーンにおいて、KT法という論理の羅針盤を持つことは、確かな成果を出し続けるための最強の武器となるはずです。 まずは目の前の小さな課題に対して、一つひとつのプロセスを丁寧に当てはめてみることから始めてみてください。その積み重ねが、やがて揺るぎない「判断の軸」へと変わっていくでしょう。

意思決定のためのKT法 【 KT法の全てがここに! 連載記事紹介 】

 


「KT法」のキーワード解説記事

もっと見る
意思決定のためのKT法 【 KT法の全てがここに! 連載記事紹介 】

  KT法の全てが、無料でお読みいただけます!   【特集】連載紹介の一覧へ戻る ◆こんな方におすすめ!=慢性的な品質不良...

  KT法の全てが、無料でお読みいただけます!   【特集】連載紹介の一覧へ戻る ◆こんな方におすすめ!=慢性的な品質不良...


KT法とは

     リスク対象に囲まれた不確実性の時代、状況を分析し意思決定する立場の管理者、技術者に求められる能力は、価値観や社会システムがどん...

     リスク対象に囲まれた不確実性の時代、状況を分析し意思決定する立場の管理者、技術者に求められる能力は、価値観や社会システムがどん...


潜在的問題分析 意思決定のためのKT法(その5)

【目次】  1、KT法とは  2、状況分析  3、問題分析  4、決定分析  5、潜在的問題(リスク)分析 ← 今回の解説 &nbs...

【目次】  1、KT法とは  2、状況分析  3、問題分析  4、決定分析  5、潜在的問題(リスク)分析 ← 今回の解説 &nbs...