「コンフィギュレーションマネジメント」とは

コンフィギュレーション・マネジメントは構成管理といわれています。他には形態管理、変更管理といわれることもあります。ある事柄を厳格に管理しようとするとき、管理するための枠組み、何をどうすればその事柄を管理できるか、管理するためにはまず何をすれば良いのかを決めることから始まります。プロジェクトであるなら、その目的、内容、進め方、成果物、およびこれらを含めた全体像、制約などの条件が明確である必要がありますが、そのためには、何があれば、何をすれば、どういう状態になっていれば管理されている、管理しているといえるのかから始まります。それが分かれば、あるいは決まれば、それを実現し、周知し、次はそれらがその通りになっているか、状態が保たれているか、また、当初計画したときとプロジェクトを取り巻く環境その他全般に変わりはなく、目指す管理状態に変化はないかを常に注視していくことが重要となります。

 

それらに差異、異常、変化が認められた時に何かを変えるのか、変えないのか、追加するのか、止めるのか、維持するのかを意思決定し、それをプロジェクト活動全体に周知・浸透させ実行し、その理由を含めてどう変更したかをしっかり残し、あとから検証や追跡ができるようにする、そしてその状態を維持していくことが必要になってきます。コンフィギュレーション・マネジメントとは広く捉えればこういう活動全体をいっているのであって、ある側面に着目すれば「変更」の管理であり、また別の側面からは「物の構成」の管理、また「仕組みや体系といったある種の形態」の管理であるといえるのです。

 

では、なぜこれほどまでに厳格な管理が求められるのでしょうか。その最大の目的は、プロジェクトという動的な営みにおいて「情報の整合性と再現性を担保すること」にあります。複雑化した現代のプロジェクトでは、一つの変更が細部にまで波及し、当初の全体像を容易に歪めてしまいます。もし構成管理が機能していなければ、今目の前にある成果物が、どの時点の決定に基づき、どの承認を経て、どのバージョンと組み合わされるべき正当なものなのかを証明することができなくなります。これは単なる事務的な混乱に留まらず、品質の低下や手戻りの増大、ひいてはプロジェクトそのものの信頼性を揺るがす事態を招きかねません。

 

具体的な管理対象に目を向ければ、それは目に見える「成果物」だけには限定されません。設計書、ソースコード、図面といった物理的な記録はもちろんのこと、それらを構成するための「環境」や「ツール」、さらには「要求事項」の変遷までもが管理の射程に入ります。例えば、特定の成果物を再現するためには、作成当時のライブラリのバージョンや設定値、あるいはその決定を下した際の会議体での合意事項といった「コンテキスト(文脈)」が必要です。コンフィギュレーション・マネジメントとは、いわばプロジェクトの『正史』を編纂し続ける作業であり、いつ、誰が、何を、なぜ変えたのかという履歴を糸のように紡ぎ、いつでも過去の状態を復元し、現状を正確に把握できる状態を維持することに他なりません。

 

また、この管理体系を維持していくことは、プロジェクトメンバー間のコミュニケーションコストを劇的に削減する効果も持っています。「最新版はどれか」「この変更の影響範囲はどこまでか」といった疑念が解消されることで、個々のメンバーは確固たる基盤の上で本来の創造的な業務に集中できるようになります。共通の「ものさし」があるからこそ、変更に対する議論が建設的になり、場当たり的ではない、プロジェクトの目的に合致した適切な意思決定が可能となるのです。

 

さらに、この活動はプロジェクトの終了後にも大きな意味を持ちます。運用保守のフェーズにおいて、あるいは次なる類似プロジェクトの立ち上げにおいて、過去の構成情報は貴重な資産(ナレッジ)となります。何が成功の鍵となり、どの変更がリスクを回避させたのか。それらを追跡可能な状態で残すことは、組織としての学習能力を高め、将来の不確実性に対する耐性を備えることと同義です。

 

結論として、コンフィギュレーション・マネジメントとは、単なる「ルールによる縛り」ではなく、プロジェクトという航海における「羅針盤」と「航海日誌」の役割を果たすものです。変化を拒絶するのではなく、変化を正しく受け入れ、制御下に置く。この規律あるプロセスを徹底することこそが、複雑怪奇な事象を「管理可能な状態」へと導き、最終的な目的達成を確かなものにするための要諦といえるでしょう。

プロジェクトマネジメント関連の解説記事

プロジェクトマネジメント関連のセミナー紹介

プロジェクトマネジメント関連の教材紹介

コンフィギュレーションマネジメント関連の記事紹介

 


「コンフィギュレーションマネジメント」のキーワード解説記事

もっと見る
コンフィギュレーション・マネジメントの概要と実践(その2)

 前回は、コンフィギュレーション・マネジメントの概要やプロジェクトマネジメントの中での位置づけについてお話しましたが、今回はその実践などについて解説致...

 前回は、コンフィギュレーション・マネジメントの概要やプロジェクトマネジメントの中での位置づけについてお話しましたが、今回はその実践などについて解説致...


コンフィギュレーション・マネジメントの概要と実践(その1)

  1.コンフィギュレーション・マネジメントとは  コンフィギュレーション・マネジメントは一般に「構成管理」といわれていることが多いです...

  1.コンフィギュレーション・マネジメントとは  コンフィギュレーション・マネジメントは一般に「構成管理」といわれていることが多いです...