製造業でやるべきプロジェクトマネジメント

プロジェクトマネジメント

 

 プロジェクトマネジメント…。恥ずかしながら、私は製造業に勤務していた10年間でこの言葉に触れたことは一切ありませんでした。その後も、コンサルを始めて数年の間は全く知りませんでした。私はプロジェクトマネジメントの資格を有しているわけでもありませんし、まだまだ学ぶことは沢山あると自覚しています。とはいえ、そんな“プロジェクトマネジメント”(PM)について、私がこれまでに学んできたことだけでも、製造業で活用するべき考え方は沢山あります。

 今回はA社(鋼材加工メーカー)向けのPM手法導入レポートから解説いたします。

【目次】

1. プロジェクトマネジメント導入の経緯

2. なぜ製造業にPM手法が必要か

3. なぜ私たちがPM手法を教えられるのか

4. 現場の声はどうか

5. どのようにPM手法が悩みを解決してくれるのか

 

1、プロジェクトマネジメント導入の経緯

 今回、A社様のお困りごとをヒヤリングしたきっかけは、PM手法という内容ではありませんでした。A社様の担当部長の話としては「金型を設計、加工して納品するまでの一連のプロセスを効率化したい」という要望でした。私は業務効率化のコンサルタントではありますが、とある企業の代表(Xさん)に相談いたしました。

 Xさんは、図面の3D化をはじめとした設計業務効率化や加工データ自動作成など、まさに製品設計・金型設計・金型加工のプロフェッショナルとして、日本全国でその手法を教えるコンサルタントとして活躍されている方です。

 そんなXさんと共にお客さまに再度ヒヤリングしていったところ、真のお悩みは「日常の開発業務が管理できていない」、「誰が何をしているか分からない」、「計画だけはあるものの、なかなか進まない」など、日常の業務管理やプロジェクトの遂行方法に問題があることが分かりました。

 このA社様にとって、今最も優先して手を入れるべき事は何か。PM手法を自ら実践していたXさんも、PM手法をかじっていた私も、今A社様に必要なのは「金型業務の効率化ではなく、日常業務を確実に、かつ効率良く進めるための確かなPM手法の導入だ」と、当初のお話とは異なる結論を導き出し、A社様担当部長や工場長とも合意し、PM手法導入についての研修を行うこととなりました。

 

2、なぜ製造業にPM手法が必要か

 自動車業界や大手メーカーでは、既にPM手法を取り入れている企業も多いのかもしれません。ただ、私が知る限り、同手法を導入していない企業の方が圧倒的に多いようです。現に、私が新卒入社した大手企業では、PM手法なんて使用していませんでしたし、言葉すら聞いたことがありませんでした。海外では、特にIT業界を中心にPMBOK(Project Management Body of Knowledge)などに体系化されたPM手法が活用されていると聞きます。

 こうした手法を取り入れることは、日本の製造業にとっては抵抗があったものと思われます。ところが、高度経済成長やバブル経済崩壊を経て、人口や市場が縮小していく時代に突入し、ただ仕事をすればお金になる時代はとっくに終わりを迎え、いかにプロジェクトのライフサイクルを速く回すかが求められる時代になっています。

 これまでに自分が、自社が、自社の業界が積み上げたものだけに頼るのではなく、他の考え方を取り入れながら、より効率の高い、言い換えると、生産性の高い企業活動をしていく必要があるのです。逆にいえば、PM手法などのこれまでと違う考え方を取り入れない限りは、その企業がいつ淘汰(とうた)されてもおかしくない時代になったともいえます。日本の製造業が重要だからこそ、PM手法の導入も一つの重要な要素になると考えています。

 

3、なぜ私たちがPM手法を教えられるのか

 PMはかなり難易度の高い国家資格です。Xさんも私も、PMの資格は保有していません。しかし二人とも、元々は大手製造企業で、製品や金型を設計・開発していた技術者です。プロジェクトの遂行はもはや日常であったと共に、製造業の組織内で行われるプロジェクトだからこそ生じる問題や、発生するコンフリクトなどは多く経験してきています。いわば製造業におけるプロジェクトリーダーとしての失敗経験が沢山あるのです。

 さらに、その問題の一つひとつに照らし合わせても、PM手法を活用することで、大半の問題を予め潰しておくことができることもまた知っているのです。資格を保有しているからといって、製造業でのプロジェクトの経験が少ない人に教えてもらうより、私たちのような経験がある人と共感し合いながら学ぶ方がはるかに学習意欲が湧き、学習密度も高まります。

 それに、PMの資格を取ってほしいというわけではありません。あくまで目的は、生産性高くプロジェクトを遂行することです。本格的なPMを知りたい方は、PMBOKなどを勉強されると良いと思います。

 

4、現場の声はどうか

 今回、Xさんを講師に迎えて行ったA社様での研修の最初に「これまでなぜプロジェクトが失敗したか」についてブレーンストーミングのように沢山書き出してもらいました。その結果「そもそも不要なプロジェクトだった」、「途中で予算がなくなり中止となった」、「本当はやる価値がないのに誰も止められなかった」、「コミュニケーション不足で何をしていいのか分からなかった」など、多くの原因が挙がってきました。

 現場では様々なプロジェクトの失敗を敬遠したり、見たり聞いたりしています。ところが、どのようにプロジェクトを遂行するのが良い方法なのか、なかなかこれといった答えが見つけられないのです。そんな時、体系的にまとめられたPM手法を改めて学ぶことは、学びの必要性も感じているため、大変意義のあることなんです。

 

5、どのようにPM手法が悩みを解決してくれるのか

 研修の内容を一部紹介します。PMBOKには“10の知識エリア”と“5つのプロセス”いう項目が定められています。

<10の知識エリア>

プロジェクトマネジメント

 

 プロジェクトマネジメント…。恥ずかしながら、私は製造業に勤務していた10年間でこの言葉に触れたことは一切ありませんでした。その後も、コンサルを始めて数年の間は全く知りませんでした。私はプロジェクトマネジメントの資格を有しているわけでもありませんし、まだまだ学ぶことは沢山あると自覚しています。とはいえ、そんな“プロジェクトマネジメント”(PM)について、私がこれまでに学んできたことだけでも、製造業で活用するべき考え方は沢山あります。

 今回はA社(鋼材加工メーカー)向けのPM手法導入レポートから解説いたします。

【目次】

1. プロジェクトマネジメント導入の経緯

2. なぜ製造業にPM手法が必要か

3. なぜ私たちがPM手法を教えられるのか

4. 現場の声はどうか

5. どのようにPM手法が悩みを解決してくれるのか

 

1、プロジェクトマネジメント導入の経緯

 今回、A社様のお困りごとをヒヤリングしたきっかけは、PM手法という内容ではありませんでした。A社様の担当部長の話としては「金型を設計、加工して納品するまでの一連のプロセスを効率化したい」という要望でした。私は業務効率化のコンサルタントではありますが、とある企業の代表(Xさん)に相談いたしました。

 Xさんは、図面の3D化をはじめとした設計業務効率化や加工データ自動作成など、まさに製品設計・金型設計・金型加工のプロフェッショナルとして、日本全国でその手法を教えるコンサルタントとして活躍されている方です。

 そんなXさんと共にお客さまに再度ヒヤリングしていったところ、真のお悩みは「日常の開発業務が管理できていない」、「誰が何をしているか分からない」、「計画だけはあるものの、なかなか進まない」など、日常の業務管理やプロジェクトの遂行方法に問題があることが分かりました。

 このA社様にとって、今最も優先して手を入れるべき事は何か。PM手法を自ら実践していたXさんも、PM手法をかじっていた私も、今A社様に必要なのは「金型業務の効率化ではなく、日常業務を確実に、かつ効率良く進めるための確かなPM手法の導入だ」と、当初のお話とは異なる結論を導き出し、A社様担当部長や工場長とも合意し、PM手法導入についての研修を行うこととなりました。

 

2、なぜ製造業にPM手法が必要か

 自動車業界や大手メーカーでは、既にPM手法を取り入れている企業も多いのかもしれません。ただ、私が知る限り、同手法を導入していない企業の方が圧倒的に多いようです。現に、私が新卒入社した大手企業では、PM手法なんて使用していませんでしたし、言葉すら聞いたことがありませんでした。海外では、特にIT業界を中心にPMBOK(Project Management Body of Knowledge)などに体系化されたPM手法が活用されていると聞きます。

 こうした手法を取り入れることは、日本の製造業にとっては抵抗があったものと思われます。ところが、高度経済成長やバブル経済崩壊を経て、人口や市場が縮小していく時代に突入し、ただ仕事をすればお金になる時代はとっくに終わりを迎え、いかにプロジェクトのライフサイクルを速く回すかが求められる時代になっています。

 これまでに自分が、自社が、自社の業界が積み上げたものだけに頼るのではなく、他の考え方を取り入れながら、より効率の高い、言い換えると、生産性の高い企業活動をしていく必要があるのです。逆にいえば、PM手法などのこれまでと違う考え方を取り入れない限りは、その企業がいつ淘汰(とうた)されてもおかしくない時代になったともいえます。日本の製造業が重要だからこそ、PM手法の導入も一つの重要な要素になると考えています。

 

3、なぜ私たちがPM手法を教えられるのか

 PMはかなり難易度の高い国家資格です。Xさんも私も、PMの資格は保有していません。しかし二人とも、元々は大手製造企業で、製品や金型を設計・開発していた技術者です。プロジェクトの遂行はもはや日常であったと共に、製造業の組織内で行われるプロジェクトだからこそ生じる問題や、発生するコンフリクトなどは多く経験してきています。いわば製造業におけるプロジェクトリーダーとしての失敗経験が沢山あるのです。

 さらに、その問題の一つひとつに照らし合わせても、PM手法を活用することで、大半の問題を予め潰しておくことができることもまた知っているのです。資格を保有しているからといって、製造業でのプロジェクトの経験が少ない人に教えてもらうより、私たちのような経験がある人と共感し合いながら学ぶ方がはるかに学習意欲が湧き、学習密度も高まります。

 それに、PMの資格を取ってほしいというわけではありません。あくまで目的は、生産性高くプロジェクトを遂行することです。本格的なPMを知りたい方は、PMBOKなどを勉強されると良いと思います。

 

4、現場の声はどうか

 今回、Xさんを講師に迎えて行ったA社様での研修の最初に「これまでなぜプロジェクトが失敗したか」についてブレーンストーミングのように沢山書き出してもらいました。その結果「そもそも不要なプロジェクトだった」、「途中で予算がなくなり中止となった」、「本当はやる価値がないのに誰も止められなかった」、「コミュニケーション不足で何をしていいのか分からなかった」など、多くの原因が挙がってきました。

 現場では様々なプロジェクトの失敗を敬遠したり、見たり聞いたりしています。ところが、どのようにプロジェクトを遂行するのが良い方法なのか、なかなかこれといった答えが見つけられないのです。そんな時、体系的にまとめられたPM手法を改めて学ぶことは、学びの必要性も感じているため、大変意義のあることなんです。

 

5、どのようにPM手法が悩みを解決してくれるのか

 研修の内容を一部紹介します。PMBOKには“10の知識エリア”と“5つのプロセス”いう項目が定められています。

<10の知識エリア>

  • プロジェクト統合マネジメント
  • プロジェクト・スコープ・マネジメント
  • プロジェクト・スケジュール・マネジメント
  • プロジェクト・コスト・マネジメント
  • プロジェクト品質マネジメント
  • プロジェクト資源マネジメント
  • プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
  • プロジェクト・リスク・マネジメント
  • プロジェクト調達マネジメント
  • プロジェクト・ステークホルダー・マネジメント

 

<5つのプロセス>

  •  立ち上げ
  •  計画
  •  実行
  •  監視・管理
  •  終結

 先ほどの現場の声に対しても、このフレームに当てはめながら事前に計画を立てて実行できていたら、防げている失敗も多くありそうじゃないですか?研修では、このような知識を活用しながら、実際のお客さまのテーマに沿って、体系的に学習を進めていくことで、成果を上げつつ、手法を取得していただける内容になっています。

・・・・・・・・・・・・・・・

 先ほども述べましたが、目的は「生産性の高いプロジェクトの遂行」です。これができなければ、今後日本の製造業は衰退の一途を辿(たど)るかもしれません。日本にとって重要な産業だからこそ、そして、確かな世界のトップを走る品質を持つ日本だからこそ、新たな手法を取り入れながら、パラダイムシフトに成功し、さらに発展してほしい。延(ひ)いては、日本の製造業を含む中小企業に従事する人たちが、もっと輝く社会になってほしいと願うばかりです。

 次回は「IT分からない人の気持ち、わかります!」について解説します。

 

 【出典】GEMBAコンサルティング HPより、筆者のご承諾により編集して掲載

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この記事の著者

大原 健佑

中小ものづくり企業の経営者・管理者へ 現場が自ら動く!現場に任せる!現場の生産性向上と人財育成を圧倒的に加速させます!

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