クリーンルーム用の接着テープと安全通路テープ

 今回はクリーンルーム内で使用するテープ類について説明します。 

1.接着テープ

 クリーンルームの清浄度を維持するために、クリーン化4原則の最初にある“持ち込まない”と言う項目に照らして、基本的にあまりモノを持ち込みたくないものです。しかしどうしても持ち込む必要がある場合は、以下の各種注意事項を参考にしてその量を必要最小限にすることです。厳しい管理がされている工場・現場では詳細なルールがあると思いますので、ここでは一般的な事例や考え方を紹介します。

 セロテープは芯がボール紙のものが多いので使用時にゴミが出ます。昔はプラスチック製の芯のものは入手し難く、また輸入品等は高価でしたので、セロテープの代用として、芯がプラスチック製のスコッチテープを使うところもありました。近年はプラスチック製の芯が普及して来ましたので、そういうものを使うようにしましょう。 

 スコッチテープは、手で簡単に切れると言うメリットも有ります。しかし、剥がす時に途中で千切れ易く、また粘着物が残りやすいと言う欠点があります。綺麗に剥がせないので面倒で、そのままにしてしまうと、この残った粘着物に色々な汚れが付着し、見た目が良くないことに加え、徐々に硬化しボロボロとゴミが出るので、使用場所も良く考えなければいけません。品質に影響するところでの使用は避けましょう。 

 安全面でこんな例がありました。職場の大勢の方に周知徹底するため、スコッチテープを使ってエアシャワーの中に掲示したと言う例です。クリーンルームの職場ですから、エアシャワーは必ず通過する場所であり、エアシャワーを浴びる間に全員が見てくれるだろうと言う考え方です。

 ところがここで問題が起きました。エアシャワーの内側に貼ったものが、その役目を終え剥がす時に、テープが千切れたり、粘着物が残ってしまったのです。担当者がその粘着物をアルコール(エチルアルコール)で拭き取ろうとしたところ、エアシャワーが作動しアルコールの雰囲気を吸って具合が悪くなっってしまいました。 有機溶剤は気化すると異常に大きな堆積になりますが、更にエアシャワーのジェットエアーで掻き回す訳ですから、エアシャワーと言う狭い密室は瞬時にアルコールの雰囲気が充満します。そして人が吸い込んでしまったと言う事例です。

 日頃クリーンルーム内の清掃で汚れが落ちにくい場合に、アルコールなど有機溶剤を使うことがありますし、それに慣れてしまっている場合も有ります。先輩の行動を見て、後輩も真似をするんですね。

 このように、通常の作業以外に薬品を使う場合は、管理監督者だけでなく、現場にも有機溶剤等の作業主任者の資格をお持ちの皆さんもいると思います。その危険性は十分理解しているはずですので、安全の観点で不安全な行動には目配りし、危険性の周知、指導、アドバイスをしなくてはいけません。 

 テープの話に戻ります。クリーンルームで使うテープ自体の評価は難しいのですが、例えば、テープをある長さに伸ばし、粘着面を内側に貼り合わせ、それを剥がしてみます。その時、粘着物がどちらかに取られることが無いもの、つまり元の状態に戻るものが良いです。これは貼ったところに粘着物が残り難いと言うことです。

 2.安全通路用テープ

 クリーンルームに限らず、ものづくりの工場内では、安全通路を分かりやすく表示してあります。およそ5㎝幅の白いテープを使っているところが多いと思います。この表示は、人や台車が通行する為の表示ですが、緊急時の避難通路にもなり、労働安全衛生法でも規定されています。このことについての事例も紹介しておきます。

 1は、中国のある工場のクリーンルームです。少し古い写真ですので、現場全体は合理化や改善がされる前の写真です。この写真の床に貼られたテープに着目して下さい。白い点線が安全通路です。日系の企業ですから、日本の安全の...

考え方をそのまま持ち込んでいます。日本の労働安全衛生法では、白又はそれに近い色を指定されています。 

 写真にあるのは、クリーム色のものを使っています。クリーム色、これは蛍光テープです。停電時しばらくの間光を蓄えていますので、それを伝わって避難すると言うことです。煙が出た場合も、姿勢を低くしたり、時には床を這うと言うことも必要になります。その場合、床を這いながらも、避難経路が分かりやすいのです。                                              図1.安全通路表示

 今回は、テープについて2つの例を紹介しましたが、紹介したいことは、沢山ありますので、また別稿で説明します。クリーン化活動は、ベース基盤強化のために大切にしたい活動です。

◆関連解説『環境マネジメント』

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