【プリント基板の放射ノイズ低減技術】デバイスからI/Fケーブルまでの具体的対策手法

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【プリント基板の放射ノイズ低減技術】デバイスからI/Fケーブルまでの具体的対策手法

 

【目次】

    近年、電子機器の高機能化と高速信号処理の進展に伴い、プリント基板から発生する放射ノイズへの対策はますます困難を極めています。不要輻射は製品の誤動作や通信障害を招くだけでなく、EMC規格への適合を阻む大きな壁となります。今回は、ノイズの発生源となるデバイス周辺の回路設計から、伝搬経路である基板配線、そして最終的な放射体となるI/Fケーブルまでの各フェーズにおける具体的な低減手法を解説します。

     

    1. デバイスからの放射ノイズ対策

    デバイス部の対策では、高速信号やクロックなどをドライブするデバイスに対して特に注意する。

    <IC電源ピン近傍へパスコンを配置>

    回路図上では明確に配置まで書ききれていないが、高周波対策用のパスコンと低周波対策用の電解コンデンサの使い方を理解してパターン設計を行う。

     

    <コンデンサ配置の最適化>

    LSIの電源ピンの近傍にパスコンを配置し、電源変動が発生しても高周波ノイズを抑制する。

     

    <電源リターンルートの見直し>

    • デバイスとパスコンのGND側が離れて接続されると、リターン電流に大きなループを描いた放射が増大する。
    • デバイスとパスコンを近づけた配置にして、リターン電流を小さくさせ、放射を抑制する。

     

    <動作速度と最適ICの選択>

    • 低電圧CMOSロジックICには、超高速用「ALVC」、高速・低消費電力用「LVC」「AC」、中低速・低消費電力用「HC」などがある。
    • 必要とされている回路の動作速度に合わせて、出力特性や周波数で最適なICを選択する。

     

    <スペクトラム拡散の利用>

    人が暮らしている環境ではさまざまな機器が電波を発しているため、多くの電波が混在している。多くの電波が存在する中でデータの送受信を行おうとしても、他の電波からの妨害を受け正しく行えないが、スペクトラム拡散を使用すれば干渉をやわらげ、データの送受信を行いやすくできる。

     

    2. 信号パターンからの放射ノイズ対策

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    【プリント基板の放射ノイズ低減技術】デバイスからI/Fケーブルまでの具体的対策手法

     

    【目次】

      近年、電子機器の高機能化と高速信号処理の進展に伴い、プリント基板から発生する放射ノイズへの対策はますます困難を極めています。不要輻射は製品の誤動作や通信障害を招くだけでなく、EMC規格への適合を阻む大きな壁となります。今回は、ノイズの発生源となるデバイス周辺の回路設計から、伝搬経路である基板配線、そして最終的な放射体となるI/Fケーブルまでの各フェーズにおける具体的な低減手法を解説します。

       

      1. デバイスからの放射ノイズ対策

      デバイス部の対策では、高速信号やクロックなどをドライブするデバイスに対して特に注意する。

      <IC電源ピン近傍へパスコンを配置>

      回路図上では明確に配置まで書ききれていないが、高周波対策用のパスコンと低周波対策用の電解コンデンサの使い方を理解してパターン設計を行う。

       

      <コンデンサ配置の最適化>

      LSIの電源ピンの近傍にパスコンを配置し、電源変動が発生しても高周波ノイズを抑制する。

       

      <電源リターンルートの見直し>

      • デバイスとパスコンのGND側が離れて接続されると、リターン電流に大きなループを描いた放射が増大する。
      • デバイスとパスコンを近づけた配置にして、リターン電流を小さくさせ、放射を抑制する。

       

      <動作速度と最適ICの選択>

      • 低電圧CMOSロジックICには、超高速用「ALVC」、高速・低消費電力用「LVC」「AC」、中低速・低消費電力用「HC」などがある。
      • 必要とされている回路の動作速度に合わせて、出力特性や周波数で最適なICを選択する。

       

      <スペクトラム拡散の利用>

      人が暮らしている環境ではさまざまな機器が電波を発しているため、多くの電波が混在している。多くの電波が存在する中でデータの送受信を行おうとしても、他の電波からの妨害を受け正しく行えないが、スペクトラム拡散を使用すれば干渉をやわらげ、データの送受信を行いやすくできる。

       

      2. 信号パターンからの放射ノイズ対策

      パターンの信号配線からのノイズ対策は、クロックなど頻繁に変動する信号に対して特に配慮して行う。

       

      <配置、配線の見直しによる配線長の短縮化>

      高速で動作するクロック系の配線は、パターン設計時に最優先で最短となる配置、配線で設計する。クロック配線を短くすることで、低い周波数での放射効率を低減し、信号配線からの放射ノイズを低減する。

       

      <ダンピング抵抗による信号波形整形>

      信号配線にダンピング抵抗をドライバ側に配置して、送受信の伝送波形を整形する。

       

      3. 電源-GND層間からの放射ノイズ対策

      電源層、GND層がベタパターンを構成している場合は、層間からアンテナになって放射しないように配慮する。

       

      <電源にフェライトビーズを実装>

      • フェライトビーズはフェライトのビーズにリード線を通した単純な構造になっている。
      • リード線に電流が流れると中に磁束が発生し、インダクタンスとして働く。

       

      高周波領域では電流のエネルギーがフェライトにおける損失となって失われるため、周波数の高い電源ノイズを除去し、ノイズのエネルギーを熱として消費する。しかし、フェライトビーズの使い方を誤ると、望ましくない共振が生じてしまうなど悪影響が生じる場合があるので、インピーダンスの周波数特性はどのようになっているか、正しく理解して使用することが必要である。

       

      <源層にパスコンを分布的に配置>

      電源層に3.3Vと5Vがある場合、各電源層のパスコンを分布的に配置することで、電源層が平面アンテナとしての効率を低減させ、放射しないように配慮する。回路図上では実装部品の配置までの指定は困難なので、あらかじめダミーのパスコンを複数個搭載しておき、パターン図面が出来上がった時点でパスコンの分布を指定する。実際の基板が完成したら、電源層にアンテナ状況を見ながら何処に実装するか、最適配置を判断する。

       

      <電源分割の形状の留意点>

      電源層に3.3Vと5Vがある場合、5V層の中に3.3V層があると5V層でループがあるため、アンテナになってノイズが放射される。そこで3.3V層の位置をずらしてループを遮断することで、効率の良い形状に改善される。これも、回路設計時点では表現が難しいので、パターン設計で電源分割の形状を認識して注意を払うようにする。

       

      4. 信号I/Fケーブルからの放射ノイズ対策

      クロック信号を伝播しているI/Fケーブルに対しては、特に放射ノイズを抑制するように留意する。

       

      <コネクタ近傍の電源―グランド間にパスコンを実装>

      ノイズをケーブルに伝播させないために、コネクタを介して外へ供給される電源にはパスコンをコネクタの近傍に実装する。パスコンが実装されてないと、プリント基板の電圧変動がそのままケーブルに伝播して、大きな放射ノイズが発生してしまう。そこで電源とGND間にパスコンを配置することで、高周波ノイズのケーブルへの伝播を抑制する。

       

      <I/F信号にフェライトビーズを挿入>

      I/F信号にクロック信号が流れると、プリント基板上の電圧変動がそのままケーブルに伝播し、大きな放射ノイズが発生してしまう。そこで、I/F信号の高周波電流を抑制するためにフェライトビーズを挿入して、高周波ノイズのケーブルへの伝播を抑制する。フェライトビーズではなくダンピング抵抗でも、高周波電流を抑制することができる。

       

      5. まとめ

       

      【プリント基板の放射ノイズ低減技術】デバイスからI/Fケーブルまでの具体的対策手法

       

      • 電子機器のノイズは発生源や伝わり方により種類や特性、有効な対策方法が異なってくる。基本を理解し、どのようなノイズが機器の誤動作を引き起こしているのかを正確に把握することで、適切な対策が見つけられる。
      • ノイズの発生メカニズムは、「急峻な電流変化による急激な電圧の変化」により、電流が大きく変化すると、それに伴って電圧も急激に変化し、ノイズが発生する。
      • ノイズの伝わり方は、「ノイズ発生源から被害装置への伝播経路」によって不具合が発生し、その経路は電力線・アース線・信号線から伝播するラインノイズと空中を伝播する放射ノイズがある。

       

      対策を進めていくためには、まずは現状を把握して、基本的なノイズの知識を理解し、適切な対策を行うことが、信頼性の高いシステムの構築には不可欠である。

       

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      この記事の著者

      芥 正二郎

      民需向け情報通信機器の開発設計業務に約30年従事 その後、電子部品から電子機器のEMC/製品安全試験の評価と対策、信頼性評価/故障解析の業務に約13年従事

      民需向け情報通信機器の開発設計業務に約30年従事 その後、電子部品から電子機器のEMC/製品安全試験の評価と対策、信頼性評価/故障解析の業務に約13年従事


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