創造思考、「1人の時」「他の事をしている」と「突然」に!

 

1.現代のビジネスマンは寝歩車で考える

 私の研究所で、1984年に「現代の発想パターン調査」を実施しました。ビジネスマンを中心に、821人を対象としました。

 まず、アイデアを考えるのに適した場所を聞いた結果が下図1左です。ベスト3は「寝床」「歩きながら」「乗り物の中」で、この3つがダントツです。

 唐栄八大家の1人として知られる北宋の文学者、欧陽修は文章づくりに「馬上、枕上、廁上」の三上がよいといっています。これになぞらえれば、現代人の三中は「寝中、歩中、車中」となり、「現代の進歩者は『寝歩車』で考える」ということになります。湯川博士の中間子論は寝床の中、フォードの車製造フォードシステムは散歩中、作家の松本清張さんは電車のなかでよく発想したそうです。

 あなたのアイデア思考の場所はどこが多いですか。大切なことは、自分なりのアイデア思考の場所をみつけ出すことです。あそこへ行けば、何かアイデアが浮かんでくるという場所を持つことが、創造者になるには必要です。ぜひ自分の思考に最適の場をみつけてください。

 

2.アイデア発想の瞬間を考える

 アイデア発想の誕生の時、つまり発想の瞬間を日本・韓国・米国・ドイツのビジネスマンに尋ねたところ、まず日本人では、夕方以降、寝入りばなまでの「夜」が圧倒的に多く、朝起きてから午後(日中)までの「昼」が1に対し「夜」は2となり、日本人は夜型の発想ということがわかりました。 〔 「日韓米独比較発想パターン調査」1989年 創研より 〕

 一方、他の3国では昼型と夜型が半々です。さらに、他国では朝型が30%近くはあるのに、日本人はわずかに11%、発想の時間にもお国ぶりがあるようです。

 次に、アイデアが誕生する場所の結果は、アイデアを考える場所とほぼ同じでした。アイデアが誕生する状態についての質問の答えは、下図1右のとおりです。 

 まとめると「1人の時...

」「他の事をしている」と「突然」ということになります。

 このように、アイデアの誕生は、前もってあまり予測できるものではなく、いつ出てくるかわかりません。ですから、メモ用紙やテープレコーダーなど、思いついた時にすぐ記録できるように常日頃から準備しておくことが大切です。いったん忘れたアイデアはなかなか思い出すのはむずかしいからです。

図1 アイデア発想の場所と状態

◆関連解説『アイデア発想法とは』

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