3D-CAD、2D-CADデータの活用、どうしたら3Dデータはできるのか

1.2D-CADデータの活用

 3D-CADの導入の話を始めると必ず話題になることがあります。それは、これまでの紙図面や2D-CADで作成した図面の取り扱いについてです。

 その中でも、よく尋ねられることは『2D-CADのデータから3D-CADの立体形状は、簡単にできるの?』という質問です。質問の趣旨は、3D-CADによる過去の図面資産の活用についてですが、活用できるかどうかは3D-CADを導入される各企業の事業内容や考え方によって変わってきます。

 そこで今回は、2D-CADデータから3D-CADで立体形状を作成する具体的な手法をご紹介し、有効活用の判断材料として一助になればと思います。

 

2.2D-CADデータの3D化はできるか?

 冒頭で紹介した質問を次の二つに分けました。

(1)2D-CADのデータから3D-CADの立体形状はできるか?
(2)3D-CADの立体形状は簡単か?

 (1)の答えは、『できます。』になります。

 (2)は、立体形状作成に関する質問ですが、正直なところ簡単ではありません。また、この質問に関して『正面、側面および上面などの三方向から見る展開図から、立体形状を自動的に作図できないか?』と尋ねられることもあります。

 次節以降にて詳細をご説明いたします。

 

3.2Dデータから3Dデータは自動的にできるの?

 1970年頃から3D-CADの開発が始まりました。その開発過程において、展開図から立体形状を自動的に作図する研究も始まり、ソフトウエア開発も盛んにおこなわれるようになりました。しかしながら、30年以上も研究・開発が行われながら、実現させることができなかったのが現状です。

 実は2D-CAD図面を見たとき、人は隠れた部分を想像力で補います。しかし、コンピュータ(正確にはプログラム)には想像力を組み込めません。そのため、隠れた部分については図面を描き加えるなど、情報の補足が必要になります。

 したがって、2Dデータから3Dデータは自動的にはできません。

 

4.どうしたら3Dデータはできるの?

 市販されている多くの3D-CADはスケッチャーと呼ばれる機能を使い、立体形状を作成します。3D-CADで作成する立体形状は、プリミティブとフィーチャー形状を足したり引いたりした組み合わせです。ここで、プリミティブは直方体や円柱のような基本形状の総称です。フィーチャー形状はポケットや傾斜などの特徴的な形状のことを意味します。このプリミティブやフィーチャー形状を作成する機能がスケッチャーです。

 スケッチャーに対し、コピーした2D-CADデータを貼り付けてプリミティブやフィーチャー形状を作成し立体形状を作成します。(図1) 

図1  2D-CADデータから3D-CADの立体形状作成例

 また、貼り付けた2D-CADデータが不完全な場合、手直しが必要になります。具体的には、線の途切れや、余分な線が残っているような場合です。立体形状を作成するために、これらの不要な線を削除することが必要になります。ほとんどの場合、このような手直し作業が発生し、スムーズに立体形状は作成できません。さらに、スケッチャーに2D-CADのデータを貼り付けるためには、事前にDXFやDWGフォーマットで保存し直しておく必要があります。

 3D-CADを使い慣れていないと、このような修正作業はスムーズに進みません。

 

5.2D-CADデータ活...

用の指針

 2D-CADのデータから立体形状を作図する作業は3D-CADを使い慣れないとスムーズに進みません。そのようなことから、共用部品で3D-CADでも使うデータのみ2D-CADデータから立体形状を作図し、保守部品で取扱い頻度も低いものは2D-CADデータで運用される場合が多いようです。

 また、リピート設計が多く、新規開発の頻度が少ない事業の場合、このような実情を知り、2D-CADの継続利用を選択された事業者もおられます。その一方で、外部にデータ変換を依頼し、3D-CADに切り替えられた事業者もおられます。

 3D-CADにおける2D-CADデータの活用の仕方については、いろいろな場合があり、一般的な話ができません。お悩みの際には、専門の方に意見を求めても良いかもしれません。

 ご意見やご質問をぜひお聞かせください。

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