理想のダッシュボードとは:データ分析講座(その311)

 

 

ビジネスの現場のダッシュボードは、パワーポイントやワードなどのレポートが担っていた役割を、ダッシュボードが代替するようになりました。それでもダッシュボードが効果的に情報を伝達できているのかというと、そうでないケースもあります。なぜ、効果的に情報を伝達できていないのでしょうか?幾つかポイントがあります。今回は「理想のダッシュボードは取り除く情報がなくなったときに完成される」というお話しをします。

【記事要約】

ダッシュボードの情報詰め過ぎ問題。情報の詰めすぎで、意思決定が遅れたり、意思決定の遅れを取り戻すために急かされ間違った行動をしてしまったり、色々です。ダッシュボード作りは、何を付け加えるかという作業より、何を取り除くかという作業が重要です。理想のダッシュボードは追加する情報がなくなったときではなく、取り除く情報がなくなったときに完成されるのです。

【目次】

1. ダッシュボードとは

ダッシュボードの名前は、車のダッシュボードからきています。ダッシュボードの一部に計器盤(運転席の前にあるタコメータなど)があります。計器盤は何のためにあるのでしょうか?それは、車を安全に運転するためです。車を安全に運転するための情報を、ダッシュボードの計器盤などを通しドライバーに提供するのです。抽象化すると、ダッシュボードの計器盤などは、ある目的を達成するための、最低限必要かつ超重要な情報を、一目で把握できるように、1つの画面に集約したものです。ビジネス現場のダッシュボードも同じです。

 

ダッシュボードの中に、車の計器盤などに相当する表やグラフといった視覚的に情報を伝達するパーツを埋め込みます。

 

2. 情報の詰込みすぎは事故のもと

車のダッシュボードにある計器盤(運転席の前にあるタコメータなど)には、どのようなものがあるかイメージしてみてください。恐らく必要最低限のものしかないと思います。しかも、重要なものだけ厳選された情報だけです。そして、ぱっと見て分かるようになっています。

 

ビジネスのダッシュボードも同じです。必要最低限かつ重要な情報を、ぱっと見て分かるようであることがポイントです。車のダッシュボードに、各都市の天気予報やメール通知、ニュース速報などがごちゃごちゃあると、気が散って事故を起こしてしまうかもしれませんし、どれが本当に重要な情報なのかわからず「情報迷子」になってしまうかもしれません。

 

ビジネスのダッシュボードも同じで、詰め込みすぎると、何が本当に重要な情報なのかわからず、情報の海の中で迷子になるかもしれません。そして、最悪事故を起こします。よそ見運転による事故です。情報の詰めすぎで、あれこれ情報を見てしまい、意思決定が遅れたり、意思決定の遅れを取り戻すために急かされ間違った行動をしてしまったり、色々です。

 

3. 理想のダッシュボードとは

ダッシュボードは、意思決定者が、必要最低限の情報で適切な意思決定を行えるようなものである必要があります。ダッシュボードに一番やってはいけないことは、あれもこれも情報を詰め込むことです。そのため、理想のダッシュボードは、取り除くものがなくなったときに完成されます。ダッシュボード作りは、何を付け加えるかという作業より、何を取り除くかという作業が重要ですし掛ける時間も多くなります。

 

要は、理想のダッシュボードは追加する情報がなくなったときではなく、取り除く情報がなくなったときに完成されます。

 

4. ダッシュボードを設計する前に最低限すべきこと

ダッシュボードを設計する前に、ダッシュボードで何を達成しようとしているのかを、認識しておく必要があります。もう少しかみ砕いて言うと、ダッシュボードで表示する情報をもとに、その情報を見る人を意識して、次の点を認識しておく必要があります。

  1. 何のため(目的)に見るのか?
  2. どのような変化(Before → After)を起こすのか?
  3. その変化を起こすためのアクション(意...
思決定や具体的な行動など)は何か?
  • 表示された情報がそのアクションをどのようにサポートするのか?
  •  

    さらに、ダッシュボードに表示される価値を評価も実施した方がいいでしょう。ダッシュボードの価値評価の考え方は非常にシンプルで、以下の2つを比較すれば十分です。

    • ダッシュボードのない場合、KPIなどの指標はどのような値になるのか?
    • ダッシュボードがある場合、KPIなどの指標はどのような値になるのか?

    ダッシュボードがある場合とない場合の、KPIなどの指標の値の差分が、そのダッシュボードの価値です。

     

    そのような数値をどのように見積もればいいのか? という疑問がありますが、何となくの実現可能な数値で構いません。重要なことは、KPIなどの指標の値がどうなりそうかを考えることです。

     

     

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