人財育成(その17) クリーン化について(その112)

 

◆クリーン化を基礎から学ぶ

前回のクリーン化について(その111)人財育成(その16)続けて解説します。

 

1. クリーン化を基礎から学ぶとは

 

クリーン化ということばは、馴染みが薄いです。この理由は、ものづくり企業におけるクリーン化は、お金をかけずにできる利益向上活動であり、企業体質強化、業績改善に直結すると言われてきました。これは企業競争力の根幹と言われ、その技術、ノウハウは門外不出とされてきた。つまり公開されなかったので、普及してこなかったのです。ですから、この活動の重要さを認識している、一部の企業だけの活動になっていたからです。

 

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2. 単なる現場のクリーンルーム化

“クリーン化とは何か”を知らず、客先から依頼され現場をクリーンルームにしても、その現場でやっていることは旧態依然になっていませんか?

 

クリーンルームにしても、それを適正に管理するノウハウが必要なのです。きちんと管理しないと、製品品質や歩留まりが改善されないばかりか、多額の電気代が経営を圧迫することに繋がります。クリーンルームは一旦稼働すると、止めることができないからです。

 

クリーン化の基礎を理解せず、掃除のことだろうと言う先入観や、こんなことだろうと手当たり次第に着手しても、なかなか改善には繋がりません。そればかりではなく、活動が行き詰まってしまい、元に戻ってしまうのです。そうなるともうやり直しはできないでしょう。

などのことはないでしょうか。

 

そのなぜを理解しているでしょうか。見かけだけでは、お金がかかる割に、効果は期待できません。大企業では、多くのサプライチェーンがあると思います。それら一つ一つの企業も、重要な役目をしていると思います。そのような位置づけにあるところも、クリーン化の基礎を身につけていただきたい。サプライチェーンも含めた総合力の強化にも繋がるでしょう。

 

このようなことを見直し、言われたからやるのではなく、自ら問題意識を持って、適正なクリーンルーム管理に取り組みましょう。人ごとではなく当事者意識を持つことが重要です。例えば、(先ほども触れましたが)

と言うことが理解できているでしょうか。そして説明、指導できているでしょうか。

 

先ほどのように、手当たり次第に着手したり、このような事だろうとの思い込みや推測で取り組むのではなく、基礎からきちんと学んで欲しいです。人は、とかく表面だけを見てしまいがちですが、基礎を身につけ、当事者意識を持ち、多面的に見たり考えたりすることが重要です。クリーン化は、単にルール、決まりを守るだけではなく、なぜを考える、知ることが大切です。このような事ができているところの会社、ものづくり基盤は強いと感じます。

 

これは、私が在社中25年、国内海外の現場を指導、教育してきた中で得られた、現場目線、現場視点での提言でもあります。私がセミナーでお話して来たのは、難しい技術や理論、理屈ではなく、一貫してクリーン化の基礎です。最も重要だと考えるからです。それを理解していただきたいので、より多くの事例を紹介しながら、わかりやすい解説に努めています。

 

現在、そしてこれから建設される、先進的な工場の方であっても、基礎から学んで欲しいと思います。このような先進工場建設については、最近よく報道されるようになりました。その関連で、すでに稼働している大手の工場を参考に映したのでしょうが、天井搬送しているその下を、台車に何か積んで、運んでいる方が映りました。

 

そこで気になったのは、防塵衣の着用状態です。首回りでフードの裾がつなぎから飛び出していました。また、ファスナーも上まできちんとあげていなかったのです。またテレビクルーを案内している管理職の方の着用もかなりラフだと感じました。恐らく、あまり現場に入らない方だろうと思います。清浄度の高いクリーンルームでこのような事が通用するのか疑問になりました。

 

防塵衣をなぜ着るのか?このような着用では、首付近からのパーティクルの漏洩が異常に多いです。その多くは前面に出るわけですから、作業によっては、製品側に向かうわけです。ですから、最先端の工場だけでなく、クリーンルームであればどこでも着用のポイントになっているはずです。

 

“クリーンルームの中での最大の発生源、汚染源は人である。その、人のゴミをクリーンルーム内にまき散らさないために着用するのが、防塵衣” だというこ...

とを理解していないのです。これが通用しているとすれば、発塵源、発塵量はかなり多いでしょう。

 

極端に細い線幅の製品製造ですから、パーティクルは極限を追い求めているはずです。層流方式のクリーンルームであっても、必ずしもパーティクルは下に落ちるとは限りません。基礎があればそのような先入観も排除できるでしょう。

 

このような部分は、最初から指導すべきことですが、それは、ルールやきまりだけで縛るのではなく、“なぜを教える、考える”ようにすることです。言われたとおりにやりなさいでは、定着しないのです。現在クリーンルームで、ものづくりをしているところも、建設中の超クリーンルームであっても、基本をしっかり押さえておきたいです。

 

次回に続きます。

 

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