身の回りのなぜを考え、なぜを考えて行動する

 なぜを考えると言うことは非常に大切なことです。今回は“身の回りのなぜ?”について事例を含めお話します。読者の皆さんが、“なぜ”を考える機会になれば良いと思います。

 

 会社在籍中にこんなことがありました。昼食を食べに社員食堂に行った時のこと、定食を買い求め、テーブルにつきました。そしたら、同席した人が、「あなた、肉ではなく魚の定食にすれば良かったですね。その方が健康の為に良いでしょ」と言うんです。

 そこで、「魚の定食が売り切れてしまったのでこちらにしました。でも、どうして魚の方が良いのですか」と聞きました。すると「だって昔からそう言うじゃないですか」と答えましたが、それだけで明確な答はありませんでした。つまり、私が知りたかった“なぜ?”を聞くことができなかったのです。

  そこで、私は思いつくままこんなことを言いました。「食肉は牛や豚、鳥などですが、こういう動物は触ると温かいと感じます。人間が温かく感じると言うことは、人の体温より高いと言うこと。その高体温で働く脂ですから、それより体温の低い人の体内では、その脂は分解され難く残ってしまうのではないでしょうか。例えば肉の料理は冷めると脂が浮いたり、固形化します。それが体内に蓄積されてしまう。でも魚は水中にいるので体温が低い。その低体温で働く脂ですから、それよりも体温の高い人の体内では十分分解すると思います。そのため体に良いんだと思います」と言ったところ、「なるほど、そこまで考えたことが無かった」と言われました。

 これは、その場で言葉が出てしまった、出まかせであって、本当は正しいのかどうかわかりません。 でもこんな風に、なぜを考えながら日常を過ごすと楽しいものです。 

 私も子供が小さい時は良く一緒にお風呂に入りました。「ねえパパ、どうして蛙は跳ねるの?」「どうして種なしスイカの種が売っているの?」などと質問攻めにあいました。これは幼稚園に入る前のことでしたが、全く答えられませんでした。そこで、「色々言っていなで、肩まで沈んで、十数えたら出なさい」などと言って追い出してしまうことが度々でした。

 幼稚園に入っても、読む本もテレビも“趣味の園芸”でしたが、種なしスイカの謎は解けませんでした。幼稚園でひらがなの読み書きが出来るようになって、ひらがなばかりでしたが、趣味の園芸に自分で手紙を書き、親が宛先を書いて投函しました。でも、ついつい返事は来ませんでした。 本人は、ずっと疑問を持ち続け、色々調べ、小学生の高学年になる頃は、その“なぜ?”が分かったようです。こんな風に、子供達は、なぜ?の宝庫ですね。きちんと分かるように説明出来ると、親も子も嬉しいものです。 

 これらは、普段の生活の中でのことですから、疑問を持てば楽しいと言うくらいで終わってしまうかも知れませんし、それでも良いかも知れません。しかし、仕事や私の専門であるクリーン化では、原因究明や対策を講じる必要が生じるので、なぜ?を紐解き、ある程度の答えが必要になります。言われたことを言われた通りにやるだけでは、その企業、その仕事に進歩が無いと言うことですね。 

 訪問先では、上層部の方から、社員は会社のいう通りに仕事をすれば良い、余計な事をするなと厳しく指導しているとか、社員からも、仕事は言われたことだけをやればいいんだ、と言う話も聞き...

ました。そう言う場に遭遇すると、淋しさを感じます。“なぜを考える”と言うことが通用しないからです。そうなってしまうと、一方で規格人間を作ろうとして、また片方ではそう言う規格にはまった、自分の考えを持たない社員が出来てしまう、こういう会社は、将来大丈夫だろうかと考えてしまいます。

 会社の従業員、部下には、なぜを考えて行動するよう指導したいものです。また、上位職の方は、なぜをきちんと説明、指導できるように努力してもらいたいです。行動が、考動になれば、会社の体質も変わって来るものなのです。

◆関連解説『環境マネジメント』

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