事例から分かるデータインサイト×現場感 データ分析講座(その209)

 

2000年ごろのデータマイニングブームの頃、盛んに取り上げられた事例があります。それは、ビールおむつ事例です。この事例を元に、データ分析の結果を「どう実務に活かすか?」というワークを実施したことがあります。そうして分かったことは、持っている前提知識やその人の背景によって、その解が大きく異なるということです。今回は「ビールおむつ事例から分かる『データインサイト×現場感』」というお話しをします。

◆関連解説『情報マネジメントとは』

【目次】

1.ビールおむつ事例
(1)ワークのお話し
(2)いくつかの解答例
(3)現場は知っている
(4)現場感のない人から見たら発見だった
2.「データインサイト×現場感」でゴスペルアウト

 

1.ビールおむつ事例

よくあるデータ活用の事例の1つです。

 

「ビールおむつ事例」とは「缶ビールと紙おむつが一緒に買われている」というもので、1998年の米国のForbes誌で紹介されたものです。これは、当時のNCR社が、米国にある小売店であるオスコのデータを分析して得た併買ルールです。

 

しかし、この新たに発見されたルールで収益を拡大したとは記載されていません。

 

(1)ワークのお話し

データサイエンスの研修の中で、このビールおむつ事例を取り上げたことがあります。

 

実施したワークは「ビールとおむつの併買関係が分かったとき、あなたはどのような施策をとりますか?」というものです。

 

面白いことに、持っている前提知識やその人の背景によって、その解が大きく異なっていたのです。このことから、同じデータ分析・結果でも人によって大きく異なり、現場感の融合が有効な施策にとって重要だと再認識しました。

 

(2)いくつかの解答例

そのワークででてきた幾つかの解答例です。

 

 

他にも色々ありましたが、店舗知識のある人ほど、店舗滞在時間や色々な商品との接触機会を増やすためという理由が多かった印象があります。「データインサイト×現場感」が非常に重要だということが分かります。

 

(3)現場は知っている


そもそも、本当に缶ビールと紙おむつがよく併買されているのなら、レジ係は知っているはずです。毎日のようにそのレジ打ちをするため、目の前で見ているからです。この分析結果を現場のレジ係に伝えれば、おそらく「そう! そう!」と言ってもらえるはずです。

 

新しい発見でもなんでもなく、単なる思い出しの手助けをしただけです。それはそれで重要ですが……

 

(4)現場感のない人から見たら発見だった

では、その分析結果を見て「新たな発見だ!」という人は、どのような人でしょうか?これは、現場感のない人(現場から遠い人)でしょう。

 

「缶ビールと紙おむつ」という併買ルールは、現場感のない人(現場から遠い人)からは新たな発見でも、現場にとって日常的に現象の再確認に過ぎません。なぜならば、データは過去に起こったことを記録したものにすぎないからです。

 

その過去に起こったことに接している現場の人にその分析結果をみせれば、「そう! そう!」と言ってもらえます。

 

2.「データインサイト×現場感」でゴスペルアウト

データ分析の結果を見たときに、何を思い・感じ・気づくのかは、人によります。

 

データは所詮過去の出来事を投影したものに過ぎません。現場から見たら、多くの場合、思い出させてくれる感じのものが多いことでしょう。要は、データ分析の結果の多くは、新たな発見ということは少なく、忘れていたことを気づかせてくれる、という感じです。そらに、そこから何をすべきかということも、現場知識が...

ないと、現場の即した何かをなかなか思い浮かばないことでしょう。

 

データ活用の世界に次のような言葉があります。

 

  • ガベージイン・ガベージアウト(ゴミのようなデータから、ゴミのような分析結果が生まれる)
  • ジュエルイン・ガベージアウト(宝石のようなデータから、ゴミのような分析結果が生まれる)
  • ガベージイン・ゴスペルアウト(ゴミのようなデータから、福音のような分析結果が生まれる)
  • ジュエルイン・ゴスペルアウト(宝石のようなデータから、福音のような分析結果が生まれる)

 

ガベージアウトではなく、ゴスペルアウトしたいものです。そのためには、「データインサイト×現場感」がキーになります。

 

 

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