地熱発電とは

 

火山列島と呼ばれる日本には、地下深部に膨大なマグマのエネルギーが眠っています。地熱発電はこのエネルギーを蒸気という形で利用するもので、エネルギー資源にめぐまれないわが国にとって、貴重な再生可能エネルギーの資源です。

 

日本の地下には世界第3位の埋蔵量を誇る熱源、地熱エネルギーが眠っていますが、日本の地熱発電設備は53万kWeにすぎません。しかも近年、国内で新たな地熱発電の技術開発はすすめられていません。

 

世界に目を向けるとその開発熱は旺盛で、発電設備容量は年間、約30万kWeのペースで増えいます。日本の地熱開発は、平成になってから約31万kwの開発が行われ、それまでの22万kwの開発と合わせると約53万kwを超える電源となり、ようやく本格的導入段階を迎えています。

 

今回は、このような背景を踏まえて、地熱発電の概要を解説します。

 

1. 地熱発電の特徴

 

地熱発電の特徴は、太陽光発電、風力発電をはじめとした太陽エネルギーに由来する発電共通の大きな弱点である天候、時間、気候による変動がないこと。地球に蓄積された内部のエネルギーであることから、資源枯渇がないこと。エネルギー密度が高いことから、面積対比で大きな出力を得られること。燃焼エネルギーの採取ではないことから、炭酸ガス排出量がライフ・サイクルで見て極めて少ないこと。発電技術が確立しており、発電コストも一般火力発電と競争できる段階にあるものの、普及のために、2021年度以降も高値による買い取りが維持されること。が挙げられます。

 

火山国、日本では、地熱発電の資源量は多く、米国、インドネシアに次いで、地下の浅い部分で世界第3位の2,347万キロワットという、原子力発電所23個分に相当するポテンシャルを持っています。一方、日本は発電容量52万キロワットと、地熱発電設備は世界第10位にとどまっており、地熱発電については世界の後塵を拝しています。その理由は、15年程度の開発のリード・タイムが必要なこと、地熱資源の8割が国立公園、温泉地帯にあり、法的規制や地元の合意などの制約条件が厳しかったこと、地熱資源の探鉱リスクが大きいことが挙げられます。

 

2. 地熱発電のメリット

 

地熱発電は天候に左右されずに、年間を通じて安定した電力を供給することが可能なため、設備利用率が高いことがメリットです。日本は世界第3位の地熱資源量を保有していながら、設備容量では世界第8位に止まっています。火山も多く、地熱開発の技術水準も高い日本で地熱発電がそれほど盛んでないのは、候補地となりうる場所の多くが国立公園や国定公園に指定されていたり、温泉観光地となっていたりするため、景観を損ない、温泉の源泉に影響を及ぼす懸念がある発電所建設に理解を得にくいことが一因です。

 

3. 地熱発電、本格導入に向けて

 

2050年、1,200万キロワットという地熱発電の目標を日本は掲げ、2020年度から、JOGMECが初期調査、開発段階の支援制度を拡充しています。

 

世界においても、日本企業が参画して、地熱資源の豊富な米国、フィリピン、インドネシア、ニュージーランド、ケニア等のアフリカ諸国、メキシコ等の中南米諸国において開発の動きが拡大しています。2020年末時点、世界においては1,400万キロワットを超える地熱発電所が稼動し、2050年には世界の地熱発電能力は2億キロワットを超えることが見込まれ、特に、中国企業に市場を席捲された太陽光発電の場合と異なり、地熱発電は、地熱資源の開発、蒸気タービンの重金属対応、発電機をはじめとしたモノづくりの製造ノウハウについて日本企業が優位性を持つ分野で、東芝、三菱重工業、富士電機の3社が世界シェアの7割を占めています。

 

近年、天然の熱水や蒸気が乏しくても、地下に高温の岩体が存在する箇所を水圧破砕し、水を送り込んで蒸気や熱水を得る高温岩体発電技術も開発され、地熱利用の機会を拡大する技術として期待されています。

 

4. 地熱発電のまとめ

 

火山列島と呼ばれる日本には地下深部に...

膨大なエネルギーが眠っています。地熱発電はこのエネルギーを蒸気という形で利用するもので、エネルギー資源にめぐまれないわが国にとって、貴重なエネルギー資源です。

 

地熱発電は天候に左右されずに、年間を通じて安定した電力を供給することが可能なため、設備利用率が高いことがメリットです。

 

日本は、2050年に1,200万キロワットという地熱発電の目標を掲げ、2020年度から、JOGMECが初期調査、開発段階の支援制度を拡充しています。

 

近年、天然の熱水や蒸気が乏しくても、地下に高温の岩体が存在する箇所を水圧破砕し、水を送り込んで蒸気や熱水を得る高温岩体発電技術も開発され、地熱利用の機会を拡大する技術として期待されています。

 

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