フレッティング摩耗 金属材料基礎講座(その46)

 

◆ フレッティング摩耗

 

図1.接触応力における応力場の分布

 機械部品の中には歯車やベアリングなど、他の部品と面接触するものが多くあります。

 このような部品の疲労については疲労破壊の他に接触面の摩擦・摩耗やピッチング・フレッティング損傷などが起きます。これらは材料表面の皮膚がめくれたような損傷です。その大きさは約数mm、深さ約数百μm程度です。

 ピッチング・フレッティング[1]においても応力集中や疲労破壊の起点を扱いますが、2種類の部品が接触するので摩擦係数などの表面粗さや、オイルの潤滑などの要因も新たに考慮する必要があります。これらの分野をトライボロジー[2]といいます。

 破壊の起点としては表面または内部になります。接触面からは接触によって小さな割れが多数発生するので、これが表面破壊の起点になります。また最大応力場は表面直下ではなく、接触面の下側の約数百μmの位置に存在します。その様子を図1に示します。内部から破壊が起きる時はこの最大応力場から起きます。

 次回に続きます。


【用語解説】

 [1]フレッティング:フレッティング(英: fretting)とは、接触する二物体間に微小な往復滑りが繰返し作用したときに生じる表面損傷のことである 。日本語ではフレッチングと表記される場合もある。微小な相対滑り振動のことをフレッティングと呼び、これにより発生する損傷をフレッティング損傷と呼び分ける場合もある(引用:Wikipediaから、 https://ja.wikipedia.org/)。

 [2]トライボロジー:トライボロジーとは潤滑、摩擦、摩耗、焼付き、軸受設計を含めた「相対運動しながら互いに影響を及ぼしあう二つの表面の間におこるすべての現象を対 象とする科学と技術」です。トライボロジーの科学と技術から、機械や部品の低摩擦、低摩耗、表面損傷の低減を実現し、私たちの社会の省エネルギーおよび省資源に貢献しています。

 語源:トライボロジー“tribology”とは、“擦る&rd...

quo;を意味するギリシャ語“tribos”と、学問を意味する“ology”とをつなぎ合わせた造語。英国教育科学省による、英国における潤滑に起因する経済的損失の調査と産業界へのその必要性の提案を行うための報告書の中で、1966年3月9日に始めて提唱された(引用:一般社団法人 日本トライボロジー学会、ホームページから)。

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

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