改善の余地が大きい“ものづくり”のマーケティング

1.技術偏重の弊害

 技術力の優れた製造業は多く、それが日本の製造業の競争力の源泉です。しかし、「技術力」志向に偏ってきた弊害もあると思います。一部のオンリーワン企業ならそれでもいいかもしれませんが、すべての企業がそうなる必要はありません。例えば設計、製造は標準的なレベルでも、販売力を含めた総合力でバランスよく成長を目指す戦略があっても良いのです。製造業でもまれに営業も強い会社もありますが、一般的には技術偏重の会社が多いように思います。

 

2.ボトルネックは製造なのか?

 製造業ではQCDに磨きをかけ競争力を高めています。製造ラインの課題を見つけ改善を進めるのです。しかし、原価率を下げて利益に貢献することはありますが、それだけで売上がアップするとは限りません。今、製造業に必要なのは製品を売ることです。平成25年の中小企業の倒産原因の68.80%が販売不振であることからもそのことが窺えます。[1] 

ものづくりの3要素とは

 これらの総合力が求められるのです。自社のボトルネックがどこにあるのか?見極め手を打つことが大切です。 

 その前にビジネス全体を通した現状把握が大切です。全体のボトルネックはどこか?それをつかんだ上で改善ポイントを絞りこむべきです。改善ポイントは工場内だけに留まりません。流行の手法を追ったり、慣れ親しんだ改善手法でQCDに磨きをかけるだけではなく、幅広く現状を把握して改善ポイントを絞り込むことが大切です。

 

3.TOC理論でマーケティングを考える

 TOC(制約条件の理論)は製造にかかわる人には有名な理論です。一般的にはTOCは生産管理の手法として理解されています。製造工程の中でもっとも生産能力の低い(遅い)工程のスピードでしかものづくりは出来ないことに注目し、生産性向上に活用されます。制約条件=ボトルネックといわれます。大きく分けるとその方法は2つです。[2]

●ボトルネックの生産能力を高める: もっとも遅い工程の速さでしか物はつくれません。だからボトルネックの工程改善によって工場全体の生産能力を引き上げます。

●ボトルネックのスピードに合わせてものをつくる: ボトルネックの工程の速さにあわせて物をつくることで、中間在庫を削減し作りすぎの無駄をなくします。

 工場が最適化を実現できても、それは部分最適です。販売がボトルネックだったり、宣伝がボトルネックでは「作りすぎのムダ」につながります。また生産が追いつかないときに宣伝しても意味がありません。営業が足りないときに宣伝して引き合いを増やしても、かえって信頼を損ねることになりかねません。宣伝がボトルネックのときが最も宣伝効果が高いのです。意外とその視点が抜け落ちる企業があるように思います。

 

4.あなたの会社は待ち工場になっていないか

 以前は物を作れば売れていたから注文を待って仕事をすることが最適化でした。高度成長時代には待ち工場はとても理にかなっていたのです。しかし、今はそういう時代では...

ありません。技術はあるのにマーケティングに疎く、市場への働きかけができないため注文の取れないメーカーが多いのです。お客様に働きかけて需要を創るには、行動することが大切です。自社の製品を見てもらう。技術を説明する機会を作る。 どうしたら売れるのか?上手くいくまで何度も繰り返します。まるで品質などの改善活動のように・・・ものづくりにかける情熱と同じようにあなたの技術や製品を伝えることにも情熱を注いで欲しいと思います。  

 QCDが良くても知ってもらえなければ、存在しないと同じなのです。

 

5.参考文献

[1] 中小企業庁:白書・統計情報 倒産の状況(2014/3/25)

[2] エリヤフ・ゴールドラット:ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か (2001/5/18)

↓ 続きを読むには・・・

新規会員登録


この記事の著者