実践的マニュアル作り クレーム対応とは(その52)

 
  
 
 前回のその51に続いて、解説します。
 

【マニュアル作成のヒント】

 
 マニュアルは単なる仕事のノウハウ集、と考えていると、思わぬ間違いを犯すことになりかねません。とくにお客さま相談室の業務マニュアルは、顧客と直接向かい合いながら仕事を進めていく内容になるので、顧客に接する姿勢(企業理念や企業の姿勢)がストレートに反映されることになります。問題を抱えて困り果てている顧客に対して、いったいどのような態度で応対し、どのような解決手段を選択するのか。そうした対応の一つひとつに、企業理念や企業の姿勢が表れます。だからこそ、お客さま相談室の業務マニュアル作成に当たっては、「対外的に企業理念が表れてしまう」ことを十分考慮すべなのです。
 
 お客さま相談室の業務マニュアルは、単なる仕事を進めるための虎の巻ではなく、会社全体のイメージや姿勢を代表するものであることをしっかり認識して、「顧客本位」のマニュアルを完
成させましょう。
 

【マニュアル作成のヒント】

 
 お客さま相談室のマニュアルは、確かにスタッフが活用する「内部資料」ですが、記述する言葉に関しては、細心の配慮が求められます。
 
 マニュアル集で使われる言葉は、丁寧語を基本にしたほうがよいのです。「客」とか「お客」という表現ではなく、「お客さま」ときちんと書くことです。「相談する」「言う」ではなく、「ご相談させていただきます」とか「申し上げます」と記述します。
 
 また、「お客に◯◯させる」「客に◯◯してもらう」といった乱暴な表現は、絶対に使わないことです。
 
 なぜでしょうか。
 
 それは、日常的にマニュアルを使いながら仕事をしていると、ついついマニュアル集で暗記した言葉が、口を突いて出てしまうからです。
 
 頭の中では「客」ではなく「お客さま」と言わなければならないとわかっていても、咄嵯のときにふと、「客は……」と言ってしまいかねません。一度言ってしまったら、すぐに言い直しても、顧客の印象は変えられないものです。逆に、浮いたような丁寧語を使えば使うほど、不誠実なイメージを与えてしまう危険性が高いのです。たった一言の不用...
意発言で、企業イメージ全体が悪くなり、相談業務の進行にも重大な支障をきたしかねない危険があります。
 
 マニュアルどおりに対応し、業務を遂行できるかどうかは、日頃のマニュアル活用にかかっています。その事実を理解すれば、日常的に使いこなすマニュアルで使う言葉は、すぐに実践で使える「丁寧語」で統一されなければならない意味も、わかっていただけるでしょう。
 
 次回に続きます。
 
【出典】武田哲男 著 クレーム対応、ここがポイント  ダイヤモンド社発行
           筆者のご承諾により、抜粋を連載

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