「おもてなしの神髄」 CS経営(その62)

 
  
 

◆なぜ、あの企業の「顧客満足」はすごいのか

19. 誰もが楽しめるマジックという魔法:株式会社ニュージェネレーションカンパニー

 前回のCS経営その61、(1)、(2)に続いて解説します。
 

(3) ブライダルマジック

 マジシャンはセレモニーに参加する新郎、新婦、家族、会社の人々、時には会場スタッフを含めたすべての人々を楽しませます。私事ですが、息子の結婚式で菅原氏に演じていただき、大いに会場が和やかに、そして晴れ晴れしい空気に包まれた体験を持っています。全参加者の共通の話題を提供することで、そこには一体感の伴った場が生まれることになります。
 
 たとえば、空中から突然バラの花が登場します。このバラの花を新郎に渡し、新郎が新婦に捧げます。また、新郎の目の前で新聞の中から赤ワインが登場します。このワインを結婚式にご参加の皆様に振る舞うのです。会場は大賑わいとなるといった具合です。
 

(4) リハビリテーション

 身体や心の苦痛が伴うリハビリに対して、逃げ腰になるのは人の常でしょう。しかし、マジックの要素を組み込んだリハビリは一味違います。自分のマジックが他の人々を喜ばせた事実に人々は驚き、満足感を覚えます。結果としてマジックは、リハビリの苦痛を取り除くだけでなく、モチベーションを高め、快復にすら貢献することになります。
 

(5) ネイチャーマジックーチャイルドマジック・親子教室

 その場にある木の実や枝などを使用し、自然と仲良くなるマジックは、子供たちを楽しませるだけでなく、大人たちの童心すら呼び覚します。これらは、日本国内に止まらず、マジックの道具に事欠くような貧困国、紛争地域などでも実践可能で、人々が日頃忘れていた笑顔を取り戻すきっかけとなり得るのです。
 
 事実、2015年6月、菅原氏は、フィリピンの恵まれない子供たちにその辺に転かっている枝や葉などを使用し、消したり増やしたりするマジックをボランティアでプレゼントして、子供たちを驚かせ、和ませ、元気づけました。
 
 マジシャンは、お客様同士の絆を紡ぐ重要な演出家、エンターテイナー、コミュニケーターに変身するのです。デート中の二人に対してロープを使用し、はさみでロープを切断しますが、二人の愛情がまた1本のロープに戻るなど、絆づくりのマジックは、両人の心が通い合う場面を創造します。また商談、誕生日のお祝いなど、コミュ...
ニケーション、絆づくり、心の通い会う会話が生まれる場を提供するのが、マジックの持つ本当の魔法なのかもしれません。
 
 順不同に列挙しましたが、マジックはさまざまな場で付加価値を創造するのです。今まで全く関係ないと思われていた分野をつないだり、人々が抱える課題や不満を解消したりと、従来であれば、「脇役」であったマジックが、場を提供する主体となっていることに、私は驚きを禁じ得ないのです。
 
 【出典】武田哲男 著 なぜ、あの企業の「顧客満足」は、すごいのか PHP研究所発行
     筆者のご承諾により、抜粋を連載
 

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