機械学習を用いた医薬品有害事象の安全性評価

セミナープログラム

【10:00〜13:45】
【第１部】 医薬品安全性評価における因果推論
東京大学大学院医学系研究科　竹内 由則 氏
専門分野
薬剤疫学方法論, 生物統計学
略歴
2011年 東京大学大学院 農学生命科学研究科 獣医学専攻 博士課程 修了
2012年 東京大学大学院 医学系研究科 公共健康医学専攻 専門職学位課程 修了
同 　独立行政法人 医薬品医療機器総合機構　調査専門員
2016年 東京大学大学院 医学系研究科 生物統計学分野 特任助教
2019年 東京大学大学院 医学系研究科 疫学・予防保健学分野 助教　
【講座主旨】
　医薬品の市販後安全性評価を行う薬剤疫学研究において、医薬品と副作用の因果関係を評価するためには、どのような集団に対してどのような効果を推定するかを定めたうえで、適切な交絡要因の調整を行う必要がある。本講演では、因果推論の基礎となる反事実因果モデルについて概説し、様々な交絡要因の調整法について薬剤疫学研究の事例を用いつつ分かりやすく解説する。さらに、近年提案された、機械学習方法論を用いて因果推論を行う手法についても紹介したい。
【講演内容】
１．薬剤疫学研究の基礎
　1.1 薬剤疫学研究と医療情報データベース
　1.2 疫学研究のデザインと効果指標
２．反事実因果モデル
　2.1 反事実因果モデルと因果推論
　2.2 交絡
３．デザインによる交絡調整
　3.1 制限
　3.2 マッチング
４．解析による交絡調整
　4.1 層別解析
　4.2 回帰モデル
５．傾向スコアの利用
　5.1 傾向スコア
　5.2 傾向スコアを用いた交絡調整
６．因果構造モデル
７．機械学習方法論を用いた因果推論
８．まとめ
【質疑応答】

【14:00〜17:00】
【第２部】 医薬品の重大な有害事象とその化学構造からの予測
大阪大学大学院薬学研究科　高木 達也 氏
専門分野
計量薬学、計算薬学　
【講座主旨】
　医薬品の多くは、稀ではあるが、時には重大な結果をもたらす可能性のある有害事象を起こす場合がある。稀であるということは研究が進まないことも同時に意味する。
　ここでは、
(1) Stevens-Johnson症候群、
(2) 横紋筋融解症、
(3) 白質脳症、
(4)悪性症候群、
(5)ライエル症候群、
(6)QT延長症候群、
(7)可逆性後頭葉白質脳症、
(8) 血小板減少、の8つの重篤希少有害事象を取り上げ、その特質と、機械学習・AIによりこれらの有害事象の確率を高める化学的因子の推測に関して論じてみたい。
【講演内容】
１. 医薬品の有害事象
　① 軽微な有害事象も医薬品の併用によって重篤化する場合がある
　　1)　SSRIとNSAIDSの併用による上部消化管出血
　　2)　ソリブジン事件
　② 希少重篤有害事象とその問題点
　　1) Stevens-Johnson症候群とライエル症候群
　　2) 横紋筋融解症
　　3) 悪性症候群〜いまだに全身麻酔薬のメカニズムは不明？
　　4) その他の希少重篤有害事象

２. 機械学習・AIによる、化学構造と希少重篤有害事象の関連性の解析
　① 機械学習、AIとは
　② 幾つかの機械学習法の解説
　　1) 木構造型モデル（決定木、GBM、ランダムフォレストなど）
　　2) サポートベクターマシン
　　3) 深層学習
　　4) その他最近の機械学習（多様体学習、強化学習など）
　③ 悪性症候群、血小板減少症と化学構造との関係性の解析

３. 有害事象を念頭に入れた医薬品との付き合い方
　① 多数の医薬品併用に関する問題点
　② 如何にして早期発見するか

【質疑応答】

セミナー講師

【第１部】東京大学大学院医学系研究科　健康科学・看護学専攻　疫学・予防保健学分野　助教　竹内 由則 氏
【第２部】 大阪大学大学院薬学研究科　情報・計量薬学分野　教授　高木 達也 氏 　

セミナー受講料

1名につき50,000円（消費税抜き/昼食・資料付き）
〔1社2名以上同時申込の場合1名につき45,000円〕